記念日② ~約束~ [あの日から今日まで]
”彼”から受け取った、小さいけれど想いの詰った重い箱…。
「開けてみる?」そう言って、ベンチがある方へと私の手を引く…。
私はその”小さな箱”と”気掛かり”で返事を忘れていた。きっと、その二つの”中身”は同じモノだ
それでも”彼”に促されるままベンチに座り、リボンを解きながらも、心と目は完全に”気掛かり”の先に釘付けになっていたのだろう…。
”彼”がその視線に気付いた…。
「指輪・・・?」
私がうなずくと同時に”彼”はポケットから”気掛かり”の素を取り出して見せながら言ったのだ。
「コレはね、何か気持ちがあって、はめっ放しだったわけじゃないんだ。今の仕事始めてから間接が太くなって抜けなくなってただけだよ。」
「”だけ”って言わないで…。」
「そっか…そうだなぁ、今まで何度も何度も、今みたいに見てたンだよな?」
「見てただけじゃないよ…。」
(そう、いつの間にか確認する癖がついていた…そして、その度にソレが境界線だと感じていた。)
「初めから…せめて、美由のコト好きになった時にこうすればよかった…。」
そう言いながら、私の手に委ねられた金属は、よく見ると無限の縁円ではなくなっていて、縁が切れた…証としてそこにあったのだ。
そして…今、贈られた”小さくても重い箱”の中にある無限の円は”彼”の気持ちが刻まれた、二人の縁の証だと信じよう…。
「手出して…。」と言う”彼”の言葉に、少し戸惑いながら差し出した”右手”。
「違う、こっち…」そう言って”左手”をとった。
「左手はダメ…。」
「同じコトだよ…”この指輪”と”いつか贈る指輪”の意味が同じだから…イヤ?」
「イヤ・・・じゃない…。」
「じゃ…キャンセルなしの予約ってことで(笑)」
こうして”彼”と出合ってから2回目の”約束”をした。
”初めての約束”とは、レベルも待ち時間も全く違うけれど…同じコトが1つ。
≪必ず果たされる…と信じて待つ気持ち≫である
私たち二人には、お互いの気持ちを確認し合うだけでは済まされない”大事な話”はたくさんある…。
でも、今日だけはこの雰囲気だけを感じていたいとお互いが思っていた…。
「家まで送る…。」と”彼”が出したこの日の終わりの”合図”に従い、車を止めた所までの同じ道を戻っているのに…”二人で歩いている”幸せ感は来た時の比ではない。
エンジンを掛けながら”彼”が私に問いかけた…。
「美由?あのさ…今日は叩かれないかなkissしても…。」
「………してみたら…わかるんじゃない?(笑)」
悲しくないから、叩かなかった…でしょ
そう言って、誕生日はごめんねの気持ちを込めて…。
そして、言ってしまった”大嫌い”を取り消すために…。
指輪を外す時についた”彼”の左手薬指の傷にkissをして車を降りた。
走り去る車のテールランプを見送りながら思ったコト…。
≪オヤスミと言って同じ場所で眠れる日がくるまで、バイバイって言うのやめよう…。じゃあ、またね…がいいな≫
1999.6.20(SUN) の日記より抜粋
チギレタ指輪は”雅サンの全てを受け入れる覚悟”の印として
私がずっとしまっておくからね…。
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