時間旅行 [あの日から今日まで]
pi.pi.pi.
「ハイ」
「こんばんは」
「こんばんは」
「こんな偶然ってあるんだね」
「うん、驚いた」
こんな会話から始まって、10数年という時空を超えてお互いがあの時代の感覚で話ができるようになるまでにそんなに時間はかからなかった。わずか数分あっという間のタイムトリップ…。
当時付き合っていた人と私のやり取りを見て面倒くさい女だと思っていた事。
親友に対してのあいまいな態度にムカつく男だと思っていた事。
あの当時に言い合っていたとしたら?考えただけでも恐ろしいかなりへヴィな問題発言!!! まさに今だから言える事実である。
気がつくと時計は日付が変わって電話を受けてから三時間が過ぎようとしていた。 (ありえない!!!この私が長電話!!!ざっと計算して三年分じゃない!!!)
それでも、核心には触れていなかった。(聞かなくちゃ!)
私と親友が同様に感じた疑問(聞いちゃいけないかな!)
ちょっとした沈黙で”彼”は空気を読んだ。
「なんでココにいるか聞かないの?」
見透かされてしまった動揺と、言いたくない事かも知れないし…の不安から出た言葉が
「ココにいるわけ言いたいの?」
掟破り!!!質問の答えにならない質問返し… (バカだな私)
左手の薬指に光る指輪がアクセサリーでないことはわかっている。
夢の実現を目前に控えて空中分解したことも風の便りで薄々は知っていた。
「そのうち話すよ…」
さっきまでとは、明らかに違うトーンの言葉に (聞かないでおこう) と決めた。
「寝坊して、配達遅れないでよー」と出来るだけ軽く言った。(つもり)
「了解!おやすみ」 こんな感じの終わりだったと記憶している。
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