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生い立ち…三つ子の魂百までも [あの日から今日まで]

明けて、日曜の深夜の事である…。

「明日でもよかったンだけど…」と”彼”から電話が入った。

昨夜の電話の後から、この電話を受ける時までずっと気掛かりだった私は、この後に続く”彼”の言葉を待ちきれない衝動に駆られ (どうなったの?)と言ってしまうところだったけれど…。”明日でもよかった…”と思いつつも、今こうして連絡をくれた”彼”に最初の言葉を言わせてあげなければ…と気付いたところで自分の言葉は取り消した。

 「昨日はサンキュな。」 (いつもの言い方に”ホッ”とした。)

「うまく話ができたんだ…?」

「うん。多分ね…。」

  私が昨日”彼”にぶつけた言葉を”彼”なりの言葉で伝えたという。    

「パパはもうママのこと嫌いになったの?」と聞かれ

「お前たちのママだから嫌いにはならないよ。」と言った”彼”に…

「ママがパパのこと嫌いでもミサはパパのこと好きだからパパと居る。」

 と娘はそう答えたらしい。

私は合格の気持ちを込めて「子供のほうが大人じゃない(笑)」と言った。

 「ホントだよ…」と”彼”は照れくさそうに言った時、少し涙声だったと思う。 (その事には気付かないフリをしてサラリと流そう)

それでも心の中では、(そこまで弱くなってしまうなんて…”この人”は離婚で、いったいどれだけ傷ついて…手放せなかった子供たちに対してどれだけの責任を自分に課しているのだろう?)と思っていた。

感傷的になった自分を悟られたくなかったのであろう…”彼”は少し話題を変えようとして私に水を向けた…。

「美由は大事に愛されて育ったんだろうな…と思ったよ。」

「うん…そう思う。でも、雅サンは違うの?」

「美由とは少し違うと思う…」  (意味がわからない…)

「親子関係…良くない?」

「いや、…俺、養子なんだ。両親には感謝してるし、”養子だから”と卑屈になるような思いもしないで育ててもらったよ。」

「そうなの…。」 (予期せぬ告白に動揺した)

「でも…自分のルーツが”養子になった日”からしか判らないジレンマみたいなのは、ずっと心のどこかにあって…それを口に出すことは”親不孝”なんじゃないか?と思ったりさ…。」

「判らないの今も…?」 (そんな事しか言えなかった

「だって、捨て子だもん…(笑)」

「もう、笑って言えることなんだね?」

「当たり前じゃん。俺いくつだよ?(笑) ただ、昨日みたいなコトがあると、美由みたく愛情深い気持ちを持てるのは”出発点”の違いみたいなの関係あるのかな?とか感じるだけ。」

(残念ながら”彼”の気持ちをわかってあげることは出来ない…。)

「バカじゃん!!! 男と女の違いよ(笑) 母性本能って事じゃない?」 (こんなことしか言えないよ

「でも、思うんだー。ココで俺が頑張らないと、アイツ等も昔の俺みたく”捨てられた”みたいな気持ちを心のどこかに持つ時が来るんじゃないか?って…そういう因縁は俺で断ち切らないとヤバイじゃん?」

「そだね…手遅れにならずに済んだじゃない(笑)」

「うん。昨日の美由に救われたな…だから今夜のうちに知らせたかった。」

「違うよ…”三つ子の魂百までも”って言葉知ってるでしょ?今、心にあるそういう強さは、今芽生えたものじゃなくて…”両親”から愛情注いで育ててもらって、長く培ってきた思いだとわからない?」

「…そうゆう事だよな。でも、ありがとう。」

 この”告白”で、何故”彼”が自分の人生を棚上げして、男手一つで子供たちを守る決意をしたのか? その真意をはっきりと確認できた様に思う。

子供たちを手放すことは彼的に”捨てる”ということと同じ意味なのだ。 

そして、パパが一人で頑張る姿を見せて行くことで、子供たちに与えてしまった悲しみや寂しさに、報いることが出来るのではないか?と考えた。

その思いがいつか子供たちに理解された時、”彼”の言う≪因縁≫は断ち切られる…と。そう思った末の”決意”なのであろう。

それであれば、私も”決意”しなければならない…。

これからまた、今回の様なことは幾度となく”彼”に降りかかるはず…そして、その時”彼”がまた立ち止まりそうになったら…背中を”ポン”と押してあげられる存在であるために…。

 

 

 

 

 


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