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抱きしめたい…。 [あの日から今日まで]

12月に入って最初の土曜日の深夜、”彼”から電話が入った…。

”あの日”以来、ぎこちなかった二人の関係は完全に修復されており、お互い何というわけがなくても、仕事中に話しきれなかった話の続きをしたりというような感じの電話のやり取りは普通にあった。

休日である土曜日に電話をくれたことには、それ程の違和感はなかった。

私が”違和感”を感じたのは”彼”の話口調だ…。ほろ酔い加減で話すのも珍しいコトではなかったけれど、話題が次々に”彼”の口から繰り出され、その話が膨らんでいくと、また話題が変わる…。

酔っ払って”饒舌”になっている…のとは少し違った空気があって、それはまるで、話したい事は他にある…と言っているかの様に思えた。

「ねぇ…本当は何を話したいの?」

「忙しい…?」

「ううん…そうじゃなくて…そういう話をしたいんじゃない様な気がしただけ。」

「情けないんだ…俺って…」

「私が聞いてもいいコトなら話して…そうじゃないなら、さっきみたいな話を続けても平気だけど…(笑)」

図星を突かれて、少しトーンダウンした”彼”が電話を切ってしまわない様にそう言った。 何かがあったコトを確信した以上、そのままには出来ない気持ちになっていたから…。

「……。」 受話器ごしに聞こえてくるのは”彼”が聴いていたBGMだけだ。

「じゃあいい…この音楽少し聴いてるから…。」と電話を切らせないコトだけを考えた。

それから、そのまま2曲くらい聴いただろうか…。”カチッ!”っと煙草に火をつけた音がして、”ふぅー”っと一服した音が聞こえた。

「あのさ…」絞り出すような声だった。

聞けば…”彼”の話はこうである…。

   4才の娘に”サンタさんにプレゼント何をお願いしてるの?”と聞いた。

   娘は”何もお願いしない”と答えた。 

   ”どうして?早くしないと間に合わないよ”とさらに聞いた。

   ”プレゼント我慢したらママに会える?”と聞き返されて絶句した。

   何も言ってあげられなかった自分が情けない…という事らしい。

”彼”が普通ではいられなかった理由を聞いて、私もまた絶句…。

なぜなら、私は”妻”になった事もなければ、もちろん”ママ”になった事もない!そんな私が今の”彼”の気持ちを正確に察するのは無理がある、漠然とした理解しか出来ないのである。

もっと言えば、何より正確に理解できるのは”4才の娘”の気持ちだけだ。

憔悴している”彼”にトドメを刺すかも?と承知の上で聞いた…。

「パパとママの事どう話したの?」と。

「ママはもう自分のお家に帰ったから、パパと4人家族になる。」と言ったという。

それを聞いた私はムショウに腹が立った!!! たまらず、私が言った言葉。

「それ、最悪!!!」と言ってしまった…”彼”が傷ついてもいいと思った。

≪離婚≫は100%親の都合であり、巻き込まれた子供たちはいわば被害者なのだと知らなければいけない。 ”彼”の離婚の場合は”彼”もひどく辛い思いをした事は充分わかっていた。 ただ、子供にはそんな大人の事情はどうでもいい話だ…とも私は思っていたからだ。

「じゃあ、何て言えばよかったンだ?」とギリギリの口調で”彼”が吐き捨てた。

こんな時の私は、”好きも嫌いも関係ない!”くらいの勢いでまくし立てる悪い癖がある…。この時も例外ではなく、”彼”に負けないくらいの口調でこう言った。

「ママが嫌いになったのはパパのことだけで、お前たちのことは大好きなんだよ。でも、パパだってお前たちのこと大好きだから…どうしても、お前たちとは、さよならできなかった。って言えばよかったじゃない!!!」

”彼”に有無を言わせない勢いでさらに続ける…。

「ママに置いていかれた…と思わせない。パパが放したくなかった…と伝える。悲しい、寂しい気持ちをさせてしまった事を、もう会えない人のせいにしたら、子供はいつか”人を恨む”ようになってしまうじゃない?側で守っていく覚悟があるなら、パパが悪いって言ってあげらればよかったのに…。」

自分でも怖いくらいの勢いだった…と後になって思う。

何故こんなに激怒モードになったのか?

”彼”が子供たちに発した不用意な言葉が許せなかったのは事実。その思いが80%としよう…そして、残りの20%はというと、≪弱い彼≫や≪情けない彼≫を見たくなかった…というのが本音ではないか?と思う。

「そうだな…最初からそう言ってやればよかったよ。」と静かに答える”彼”

「…。」 いくらなんでも言い過ぎたかなと言葉をなくした。

「今からでも間に合うかな?」と聞かれた時、「愛してるなら大丈夫じゃないかな」と答えた…。

この時…もし目の前に”彼”が居たなら、(”ギュッ”と抱きしめてあげたい…)と思ったに違いない!!! 言葉ではなく”ぬくもり”「大丈夫」と伝えてあげたかった

子供の目線でと思えば…”彼”に言った言葉に何一つ後悔はない。

けれど、自分で自分を”情けない…”と言う。そんな心境をぶつける相手として、私を選んでくれた”彼”の気持ちを思えば…後悔ばかりが押し寄せる。

きっと…あの音楽が流れる部屋で一人、”彼”は眠れない夜を過ごしているのだろう。

同じ時間…せめて心の中でだけでも”彼”を抱きしめていてあげたい。

そんな気分で、私もあと少し眠らないでいよう…と決めた。 

 


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ユキ

mi-miちゃん。
こんなふるい記事にコメントしてごめんねーー。

イイコだね。
ちゃんと言わなきゃいけないこといえる関係って最高。
いいパートナーだね。
だから、今の二人があるんだな・・・うんうん。
by ユキ (2007-11-21 14:41) 

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