初めて交わした約束 [あの日から今日まで]
ドキドキしていた…。 それは”彼”が帰った後もしばらく続いた。
≪窮鼠猫をかむ≫ということわざがある…。
↑追い詰められた鼠が猫に噛みつくように、弱者も逃げられない窮地に追い込まれれば強者に必死の反撃をして苦しめる。の意(コトワザ辞典より抜粋)
別に、”反撃”するという様なシチュエーションではないまでも…追い込まれた状態の私にとっては、まさに≪窮鼠猫をかむ≫そんな心境だった…と思う。
そんな状況下で言った”あの言葉”で、どれだけの事を”彼”が理解してくれるのか…?と少しの心配はあったものの、”彼”の直感と洞察力を信じる事にした。
その日の昼休憩は、社内で過ごす気分にもなれず「気分転換してきまぁーす」と言いながらオフィスを出た…誰にも「一緒に行く」と言われたくなかったからである。
知った顔に会ってしまっては外出した意味がない!と思い、車に乗り五分程走った信号待ちで、携帯が鳴る。”彼”だ
「どこ行くの?」
「えッ?」 (キョロ キョロ)
「ウ・シ・ロ…ミラー見ないで運転してますか?笑」 とパッシング
「眩しいよ!それに、前見てれば充分でしょ?」
「でも、信号”青”なんですけど?前もどうだか…笑 渡った所で止まって。」
せっかく治まっていた”ドキドキ”が、また復活していた。(こんな事ってアリ)
言われるまま車を止めた…なのに”彼”のトラックはそのまま通過!(はぁ?)
「もしもし…?」
「そこで止まって聞いて、危ないから。笑」
「はい…。」 (お願い!夜にして…心の叫び)
「あのさ…今夜、仕事遅くなるんだ。電話くれた時、出られないかもしれない。」
「そっか…わかった。」
「いつもより遅くても、平気?」 (”いつもより…”にキュンとした。)
「うん。大丈夫!」
「じゃあ、俺から電話する。出なければ寝たと思うから無理して起きてなくていいし…。」
「約束したら、寝たりしないよ。」
「そうか、じゃ約束。遅くなるから悪いけど待って…。」
「了解!」 (”彼”のパクリで答えた)
「午後もよろしく”ね”!!!」 (私の真似で返す。こういうノリがまた胸キュンなのだ)
この電話での会話で、私がさっき”彼”に掛けた≪はじめの一歩≫となる言葉の意味を”彼”が100%正しく受け止めてくれたコトを知ることが出来たのだ。
今日は全てのタイミングが私に味方してくれている!と思った。と同時に、今日この流れの中でなら、何もかも上手くいく!そんな勇気が湧いてきた。
クシャクシャに縺れた糸と糸でも、両端をそーっとゆっくり引っ張るだけで、すんなり解けてしまうのではないか?と思わせてくれる”ひと時”だった。
”じゃ、約束”と 何気なく交わされたこの≪約束≫は”彼”と私の今後始まりゆくちょっと変わった関係の中で≪初めて交わした約束≫だった・・・。
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