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誤解…そしてまた誤解 [あの日から今日まで]

どうしてこんな事になってしまうのだろう…?

もともとこの恋には、飛び越えなくてはいけないハードルが幾つもあって、それを承知の上で全てを受け入れたのは”私”に他ならない。

でも、そのハードルが増えることになるとは…想定外。

しかも!!!このハードルは自分の力でどうにかなる物ではないように思えた。

私の独りよがりな”片想い”によって”彼”に迷惑が振りかかるのだけは避けなくてはいけない。 私に出来るのはそれだけしかない!

こうして、私の恋心は身動きとれない真っ暗闇に放置されてしまうのかな?どう足掻いても一筋の光さえ見付けられそうにない≪漆黒の闇≫に…。

そんな思いに苛まれ、風前の灯となっていた私の想いは、この夜に入った一本の電話で儚く吹き消されてしまう事となる。

”彼”からの電話をこんな気持ちで受ける日がくるとは…絶対に泣いてはいけない絶対に泣かないそう決意して通話ボタンを押した。

「はい。黒木瞳」

「どこのだよ?バカじゃね?」

「今日はどうも…。私がいたこと気付いてないと思うけど」 (チクリと嫌味

「気付かなかったよ…。」

「お疲れ様…。オヤスミ」   電話を切る。 (逃げたかった)

pi.pi.pi.再び鳴る携帯…。

「妙なハイテンション…。話聞いたんだろ?」

「最初から知ってた…よね?当然。」

「まあね。配属前に厳重注意もされたし。」

「…。」

「でも、何であんな事があっても担当がまた女なんだとは思ったよ。学習能力ないのかよ?ってね。」

「そうだよね…。私ならそういう事にはならないって思ったらしいよ。」

「ふーん。それはそうだろうね…。」 (ん?何かおかしい言い方)

「でも、ちょっと仕事しづらいよね?」

「別に…。関係ないし…。」 (それはどういう意味?)

「でも、穿った目で見る人がいるの。実際問題として…。それでも平気?」 

「関係ないじゃん?何も無いんだから。見たい様に見ればいいさ。」

「そうだね…。」 (泣かない決意が揺れた)

二度もくり返された”関係ない”この言葉が今の私にとって致命傷である事を”彼”は知らない。いや、知るはずがない…私の事など関係ないのだから。

わずらわしい事に巻き込まれない為に、上司の前ではもちろん、社長の前でも私を自分の視界に入れない様な態度を選んだのだと思った。

悲しい方向にではあるが答えは出た。

この想いを”封印”してしまえばいい…。それで何の問題も無い。

そう思った時に”彼”の口から出た言葉に驚愕する。

「でも、俺は良くてもそっちは困るのか?社長に変に思われちゃうよな…。」

「それって、どういう意味?」

「どうって、そうゆう関係なんじゃね?社長と…。」

もう、言える言葉が無くなった…というか何も言いたく無くなった。

どうにでもなれ!!!と思った。 仮に、私の”本当の気持ち”に気付かれる事になったとしても、どの道”彼”の心に伝わる事も、ましてや受け入れられる事もありえないのだから…と、我慢するのをやめた。

そして、初めて泣いた…それも号泣である。

「ゴメン…俺が口出しすることじゃないな。」

「もういいよ…。」 そう言って電話を切った。

何が原因で、どこから始まったのか…。この時点では全くわからなかった。

けれど、そこにはお互いの”小さな誤解”から始まり、その”誤解から生まれた誤解”が渦巻いていた。

余程の事が無い限り、解けそうにはない”大きな誤解”

今度ばかりは一筋縄ではいかないだろう。 

風前の灯だった私の恋心は、こうして一度は消えたのである

 

 

 


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