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フランス野糞事情 [そういえば僕は南仏に住んでいたんだっけ]

しばらく前、ある新聞で日本社会の男女不平等ぶりを嘆く投稿記事を見かけた。その女性の糾弾の的はトイレ。多くのビルが男女共用のトイレしか備え付けていないことを嘆き、男性と同じ便器で用を足すことの不快感を説き、日本がこういったインフラの上でも女性に優しくない社会だと断じていたのである。気持ちは分かる。

ところが、フランスは女性問題に関して圧倒的に日本より進んだ国だが、何と!僕が働いていた南仏プロヴァンス大学(エクスーマルセイユ第一大学)のトイレはそのほとんどが男女共用であった。トイレはすべて個室になっていて、そこで男も女も用を足すのである。実際、入り口付近に群がっている女生徒たちをかき分け、個室へと向かうのには少々気後れがしたものだ。

さて、フランスは圧倒的に公衆トイレが少ない。カフェに飛び込んでトイレを借りるというのが一般的である。ところがカフェによっては、多少なりとも金を取るところもある。となると、多くの貧乏人の行き着く先は当然立ち小便である。パリの街角、それも広場や駅前など、足下の石畳やアスファルトを見ると、液体が流れた跡がスジとなって残っているのがよく見受けられるのだが、どのような液体が流れたかというと、決して雨ではない。間違いなく、立ち小便の痕跡である。かくいう僕もエクスのとある公園で友人たちとピクニックをした時、茂みの陰に失敬したことがある。そのときは、男に産まれて良かったなぁ、と思ったものだ。女性であれば流石に真っ昼間からその辺の茂みでというわけにはいかないだろうから。もちろん、夜中だったら良いというわけではないが。

というわけで、花の都パリは実のところ小便まみれの街でもある。しかし、街中に溢れかえっているのはそれだけではない。パリに限らずフランスの街を歩くと3メートルごとに出くわすのが、犬の糞。これを踏まずに歩くのはちょっとした熟練の技なのだ。かつてラジオ・フランス勤務の作曲家のフランソワ・ドナト氏が日本に来た時、「どうだ、東京は犬の糞が落ちていなくて奇麗だろ。飼い主がきちんと回収するように法律で決まっているんだ。」と威張ったところ、「フランスでも法律ではそうなっているよ。誰も守らないだけさ。」という答えが返ってきた。

では何故フランス人が飼い犬の糞を片付けないのか?それは、街の清掃は行政の仕事だと思っているからである。高い税金払っているんだからそれくらい当然だ、と。僕の住んでいた街エクスでも、白い制服を着た市の職員が、後ろに白いタンクを装着した白いスクーターに乗って街を徘徊していた。その白いタンクからはホースが延びていて、その先からゴミを吸い込むのである。もちろん犬の糞も例外ではなく、発見され次第ずるずるとタンクの中に収められていく。かくして街の衛生は守られているのである。

長い間、道に転がっているのは犬の糞だけだと思っていた。ところがある日遭遇したのである。現場は、僕のアパートから出てすぐのところにあるちょっとばかり薄暗い細い道。そこを歩いていると、人の背中とおろしたズボンとそれから白いお尻が目に飛び込んできた。そればかりではない。尻の割れ目からは茶色い固まりがにょきにょきと生えてきて...細くて薄暗いとはいえ一応公道である。しかもインド料理レストランの軒先だったのだ。流石にびっくりして思わず目をそらし、おそらくそれなりに動揺していたのであろう、その尻が男のものか女のものだったかも確認できなかった。

翌日、そこを通ったときには例のブツは姿を消していた。犬の糞と一緒にスクーターのタンクの中に消えていったものと思われる。

参考までに:
http://blog.so-net.ne.jp/kuroki/2007-03-18


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コメント 4

ゆきこ

ご無沙汰してます。ブログの記事だったのですね!
私は初めての欧州旅行がパリでやっぱり素敵なところだーなんて
思いながらセーヌ川のほとりを歩いていたら
犬を連れたおばちゃんが糞を川に投げ入れているところに遭遇。
イメージと現実のギャップに思わず笑ってしまいました。
なんか、懐かしいです笑
by ゆきこ (2006-02-09 01:34) 

黒木

コメントありがとう。
by 黒木 (2006-02-09 10:58) 

しまざき

月末からパリに行きます。
野糞事情が心配ですが、人糞以外なら我慢できると思います。
フォンテーヌブローの森も糞だらけなのでしょうか。
だとしたら、バルビゾン派の画家達が生きた時代を空想するという夢が、
臭いに邪魔されてしまいそうです。
by しまざき (2006-02-12 23:11) 

黒木

踏んづけでもしない限り大丈夫
by 黒木 (2006-02-13 13:04) 

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