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ダーウィンの日記1831年12月26日 [ダーウィンが行く]

ダーウィンの日記
[注釈]
クリスマスの日の翌日のことになります。

[仮訳]
月曜日 (1831年12月)26日

素晴らしい日だ、そして出帆にはうってつけだ。

その機会はほとんどすべての乗員の泥酔と不在のために失われた。船は1日中無秩序状態にあった。1日の休暇がすべてのこの厄介事を引き起こしたのだ; このような情景はこんな思慮のない存在である水兵のあいだには厳格な規律が絶対に必要である事を物語っている。何人もが横柄のかどで、8時間から9時間にわたって重い鎖を付けて座るという罰を受けている。この状態のなかで、彼らの行動はまるで子供のようで、自分以外のすべての人と物事をののしり次の瞬間にはほとんど泣かんばかりだ。
これは不運な始まりだ。こんなにも早くに私達の最良の部下の多くを罰しなければならず、それ以外の選択肢がないとは。

夕方、士官次室で食事をし、心地よい夕刻を過ごした。

[注釈]
具体的にどういうことあったかはわかりませんが、ただ、この時期英国の艦船において艦長の権威は絶大で、たとえば艦長に対して(普通なら)当たり前の応答をしてもそれは反抗ととられかねないほどの雰囲気があったということは念頭に置いて良いかと思います。
この翌日27日に、ビーグル号はいよいよ約5年間にわたる長い航海に出帆することになります。

[日記原文]
Monday 26th

A beautiful day, & an excellent one for sailing, — the opportunity has been lost owing to the drunkedness & absence of nearly the whole crew. — The ship has been all day in state of anarchy. One days holiday has caused all this mischief; such a scene proves how absolutely necessary strict discipline is amongst such thoughtless beings as Sailors are.- Several have paid the penalty for insolence, by sitting for eight or nine hours in heavy chains. — Whilst in this state, their conduct was like children, abusing every body & thing but themselves, & the next moment nearly crying. — It is an unfortunate beginning, being obliged so early to punish so many of our best men there was however no choice left as to the necessity of doing it. In the evening Dined in gun-room & had a pleasant evening.



[画像(船尾方向を向いて書かれた図です)]
ビーグル号の操舵輪; 操舵輪は船尾近くにあり、画面でその向こう側にPoop Cabinがあって、測量船であるビーグル号では製図用の大きな机が置いてあり、ダーウィンがその部屋の一画に自分の居所を割り当てられていました。これらは主要デッキ(艦長室や士官次室などがある)より1階上に位置し、そのPoop Cabinのさらに上が(操舵手や帆の操作に指示を出す)見張り用のデッキ(Poop Deck;この図では大きなコンパスが見えています)となっていました。



["ダーウィンが行く"について]
このブログのシリーズで扱っているのはダーウィンのビーグル号に乗っている時の日記です。訳文は私的な研究目的に供するだけの仮のものです。
[日記原典]
"Charles Darwin's Beagle Diary" ed. by R.D.Keynes, Cambridge U.P., 1988.
[関連バックナンバー記事]
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-01-27-2


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moonrabbit

クリスマスに乱稚気騒ぎだったのですね。
ダーウィンさんも大変だったのですか・・・。(--;
by moonrabbit (2007-12-27 07:37) 

Baldhead1010

ダーウィンが行く・・・ダーウィンが来た・・??・

TVでやってるのはどっとだったかな?^^;
by Baldhead1010 (2007-12-27 08:11) 

さとふみ

一種の伝統だったようで、たとえばキャプテン・クックの「探検記」にも1772年の12月25日の記事には、南極海近くで、
「正午、皆がじぶんなりにクリスマスを祝う気分になっているので、スループ船[クックの乗っていたレゾルーション号のこと]の帆を荒天にそなえてきちんと準備し、乗員が酔っ払っているとき強風がおこってもあわてないようにした」(クック『太平洋探検』(三)、増田義郎訳、岩波文庫)
とあります。
ダーウィンの日記ではこの後の4回のクリスマスについてはもうこういう記述はありません。ビーグル号のこの日の場合は長くプリマス港に待機中だったという事情があるかどうか..
by さとふみ (2007-12-27 08:11) 

さとふみ

Baldhead1010 さん..
私のブログはテレビとは全く関係ありませんが、NHKでは「ダーウィンが来た」というおどろくべき映像を集めた番組がありますね。たまに見ると驚倒されます。
by さとふみ (2007-12-27 08:16) 

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