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黒潮(その3;色について) [海と船]

黒潮(その3; 色について)

黒潮本流の海面の写真のひとつです。

種子島東沖の太平洋上

写真ではなかなか表現できない事柄のひとつとして対象の透明感ということをあげられると思うのですが、それは例えば水中で見る熱帯魚の透き通ったような感覚というのを出せる写真というのはあまり多くないように思えるんですね。自分で撮った場合魚の模様の色は出てるけれどもどうしても魚体の透明感がいまいちというわけです。
この海面の写真も同様で、海面の水の色は見えても波の微妙な角度に応じた光線の通り具合による透明感までは私の腕ではなかなか写せません。塗料などによる色ではないので、写真にも透明感が欲しいというわけです。

それはさておき、なぜ黒潮とよばれる海流の海面の色があのようになるのかについては、いまでは少し調べればある程度分かるわけで、光学に詳しいとは言えない私が改めてここで書かなくても良いのではないかと思いました。が、やはり自分なりに何かは書いて見ようということで以下の試みをしてみました。

問題の提起: 子どもに"きれいな海の色は何故青いの"と聞かれたと想定してみましょう。(注:きれいなという限定付きだということに注意してください。)

回答例A: "それは海が深いからだよ。"

回答例Aへのコメント: この答えで納得する子どもは多くはないでしょう。次には、
"なぜ海が深いと色が青くなるの"
という質問が出てくるかもしれません。これに対しては
"底が見えないから"
という答え方があるかも知れません。これで子どもは納得するでしょうか。ある程度までは納得してしまうかもしれませんが、もっと聞いてくるかもしれません。
"底が見えないとなぜ青いの"
と聞かれたら、どうしましょう。
"それは水の色が青だからだよ"
と答えたら、振り出しにもどったように見えます。でも、これで良いんです。水の色は青なんです。(注: すぐあとに説明します。)

回答例B:"空が青いからだよ"
回答例Bへのコメント: この答えは飛行機で1万1300メートルぐらいの高さのところを飛んでいる時に海面を見た時の答えとしてなら半分は正しいことを言ってますが、海面すぐの所から見た場合の海の色の説明としては正しくありません。高い所から見た海の色は海面からの光の一部を途中で空気(分子)が散乱しますので一種の空の色と言って良いものがはいることになり、本来の海の色とは異なった色に見えます。

回答例A(かなり正しい!)と回答例B(かなり間違っている!)との対比には"海の青""空の青"との原因の相違が含まれています。つまり、

a. 海の青い色は、水の分子というものが持っている太陽光スペクトル(虹で分かる)の赤い波長の光を吸収して見えなくしてしまうという性質、によります。
(注: 海の中では赤い色が見えにくくなります。)

b. 空の青い色は、大気中の分子が太陽光(スペクトル)の青い波長の光を散乱していろいろな角度の所から見えるようにするということによります。
(注: 散乱された青い光が空の色として目に届くわけです。日没時など太陽光線がより厚い大気層を通るような時には青い波長の光に近い方が途中でしっかり散乱されてしまった場合、太陽光として届くのは赤っぽい光になります。)

吸収と散乱という全く異なった原因が一見似たようなふたつの色の現象の根底にあります。(注: もっとも水の場合もただ吸収ということだけでは水の外から見た水の色の説明にはならず、水中からはね返してくる作用がなければ色としては見えません。これはまた別の機会にふれることになると思います。)

さて、上の説明、基本はとらえてあるつもりですが、突っ込みどころはあります。例えば、深い海でも緑色のもあるじゃないかといったようなことです。 これはもうちょっと複雑な事情を考えに入れないといけないようです。(注:水中に有機物が多いとその水は赤だけでなく青の領域の光も吸収してしまうということなどです。)

色の話は次回へ続きます。


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コメント 7

newriverspirits027

吸い込まれそうな、青ですね。
by newriverspirits027 (2007-08-07 12:26) 

響(きょう)

透明感を写す・・・、確かに、言われてみると、
とても難しいことだと感じます。*><*

今日は全国に店舗のあるスープカレー屋のご紹介です。(^^)
by 響(きょう) (2007-08-07 15:47) 

みね

黒潮の色は、本当に濃いですよね。
マグロとカツオは、黒潮まで走らなくては釣れません(^^;
by みね (2007-08-07 18:49) 

hanasoubi

さとふみさんの解説ははじめ、哲学問答なのか、禅問答なのか?と読み始めましたが、”科学的な答え”になっていて面白かったです。
何度も読み返し愉しませていただきました。

もういちど探し出したぞ。
何を? 永遠を。
それは太陽と番(つが)った
海だ。
            とは ・・・・アルチュール・ランボー(堀口大学訳)
by hanasoubi (2007-08-07 23:19) 

アールグレイ

きれいな青ですね^^
海の色も奥が深いですね。
空の色をうつすような海の色と思っていましたが
微妙なところですね^^
by アールグレイ (2007-08-08 02:13) 

響(きょう)

いつもご訪問ありがとうです。*^^* 快調ですか?

今日はガラス玉遊戯の祝祭について書きました。(^^)
by 響(きょう) (2007-08-08 16:00) 

さとふみ

皆様、コメントありがとうございます。
この話題はもう少し続きますのでまたよろしくおねがいします。
by さとふみ (2007-08-09 09:28) 

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