SSブログ

ライディングブーツの安全性 [オートバイの話]

ライディングブーツは、ふつうは骨折するようなケースでも、
単なる打撲にしてくれる。スポーツタイプのオートバイに
乗るときには、専用のライディングブーツをはくのが
いちばん無難であるといえよう。

 

最近の若いオートバイ乗りの方々は、ブーツをはかない。
なんでなのかな、と、ずっと考えていて、やっと気がついた。
スクーターに乗られる方が増えたからである。
現在のオートバイの主流はスクーターであり、
全出荷台数の6割以上を占めている。
そのことは、若いオートバイ乗りの方々の服装や装備にも
強い影響を与えており、ちかごろは、全般的に軽装に
なりつつあるように思われる。

シューズについては、かつてはオートバイ乗りのはくものというと、
ライディングブーツと相場が決まっていた。しかしながら、最近は
ハイカットのスニーカーのような外見で、つま先とかかとの部分に
補強が入ったライディングシューズが主流になりつつある。


ライディングシューズの例
  

ま、スクーターなら、足がエンジンの下敷きになることはないだろうし、
靴ひもがペダルやステップにひっかかることもない。
転倒時のことを考えると、ブーツをはくに越したことはないとは思うけど、
スクーター乗りがライディングシューズをはくのは、まあ、許せる。
それでは、ネイキッドやアメリカンといったスポーツタイプのオートバイ
に乗るのに、こういったライディングシューズをはくというのは、
どうなのだろうか。
その答えを出す前に、私自身の経験をお話しさせていただくことにする。
 
 
その1  転倒

私は19年間、オートバイに乗っているが、1回だけ転倒したことがある。
右カーブを曲がろうとしたら、カーブの外側に砂がたまっていて、そこに
うっかりつっこんでしまったのである。
砂が見えた瞬間、私は、「あ、転ぶな。」と思った。
けれども、できるだけダメージを少なくするため、後ろブレーキを断続的に
3回かけた。時速30キロくらいまで減速することに成功したけど、
結局、最後はコケてしまった。

転倒すると、必ずオートバイが先にすべっていく。必ずだ。
人は後からすべっていくので、いつまでもオートバイに
しがみついていると、一蓮托生になってしまう。さっさとオートバイを
捨てて、すべり始めるのが、上手な転び方である。
ということで、私もオートバイを捨て、野球のスライディングのように、
すべって行った。けれども、直前まで後ろブレーキを操作して
いたので、一瞬、足の上に車体が乗ってしまった。
止まってから立ち上がったが、とくにケガはなし。
なぜか、目の下の部分を、少しすりむいたけど、
それ以外は外傷も打撲もなかった。

で、からだについた砂をはらおうとして、はじめて気がついたのだけど、
ブーツがアスファルトでこすられて、傷だらけになっていた。
一瞬ではあるが、足の上に車体が乗ったまま、すべって行ったからである。
もし、ブーツをはいていなかったとしたら...。
私の足首から上の皮膚と肉は、ごっそりこそげ落ちていたに違いない。
 
 

その2  打撲

私は片側1車線の道路を、時速60キロで走っていた。そして、
大型のダンプカーとすれちがった瞬間、足首に大きな衝撃を感じた。
いったい何が起こったのか、と思ったら、目の前を野球のボール大
の石が転がって行く。ダンプが荷台から落とした石が、私の足首に
当たったのであった。つまり、ダンプと私の相対速度である時速120キロ
ちかくのスピードで、野球のボール大の石が、私の足首に当たった
のである。
安全なところで停止して、ブーツを脱いでみると、青く内出血していた。
その時は氷で冷やすだけで治ってしまったけど、もしブーツをはいて
いなかったら、間違いなく骨折していただろう。

  


ここでのポイントは、スポーツタイプのオートバイというものは、
スクーターと違って、足が守られていないということである。
だから、転倒したら足の上に車体が乗っかるかもしれないし、
走行中、いろんなものが足に当たる可能性が高い。
そのように考えると、いかに、つま先とかかとに補強のカップが
入っているとはいえ、ハイカットのライディングシューズでは
不十分である、と考えるのが妥当であろう。

 
ということで、私自身はいつもミッドタイプのライディングブーツを
はいている。前述のように過去2回、「ブーツをはいていてよかった!」
と思ったことがあった。19年間10万キロ以上、オートバイに乗っていて、
ブーツをはいていてよかったと思ったのは、たったの2回だけ。
けれども、もしブーツをはいていなかったら、大変なことになっていた。
もしかしたら、重大な後遺症が残ったかもしれない。
ということで、つくづくブーツをはいていてよかったと思う。
ブーツは骨折につながるようなケースでも、単なる打撲にかえてくれる。
効果はきわめて大きいといえよう。
 
 
とはいえ、私はまだ、本当に痛いめに遭ったことはない。それで、
告白すると、一時期ではあるがハイカットのライディングシューズを
愛用していた時期があった。
要するに、油断していたのである。
そんなあるとき、冷水を浴びせられるような事件が起きた。
オートバイで事故を起こして、ケガをした人のために救急車を呼んだ
のである。

その人は、走っていて乗用車と接触し、転倒したらしい。
らしい、というのは、相手の乗用車が逃げてしまっていたから、
その人の言う事を信用するしかないからだけど。
で、その人もハイカットのライディングシューズをはいていた。
けれども、転倒した時の衝撃で、かたっぽがどこかにすっ飛んで
しまっていた。で、靴が脱げた方の足首のカカトと踝(くるぶし)が、
アスファルトでこすられたうえ、複雑骨折をしていた。

私は救急車が来るまでのあいだ、タオルを取り出して圧迫止血法
をしたのだが、足の状態を見てしまって、
((((;゜Д゜))) ガクガクブルブル 状態になってしまった。
当時、私は中級救命講習を受けていたので、そういう時には、
要救助者を元気づけなくてはいけない、と習っていたのだが、
手が震えてしまって、終始、無言状態であった。
救急車が来て搬送されたあと、私はひとりで吐いてしまった。
あれ以来、私はオートバイに乗るときは、必ずライディングブーツ
をはいている。
 

ということで、今回の記事のまとめであるが、主旨はシンプルである。
スポーツバイクに乗るときは、ライディングブーツをはくべきである
ということだ。ベテランのオートバイ乗りの方にしてみれば、
なにを当然のことを言っておるのか
と思われるかもしれない。が、あえて、ここで主張しておきたい。
 
 
今回の私の話であるが、説教臭いと思われる方も多いだろう。
また、ケガをしようがなにをしようが、それは本人の自己責任であるとも。
けれども、一度でもオートバイで転倒して、ケガをした人の足首を
見たことがあるなら、ぜったい、そんなこと言ってられないって。
 
 
なんだってそうだと思うけど、ものごとにはプラスの面とマイナスの面
がある。要するに、楽しいことばかりではない。
オートバイに乗ることは楽しいことだけど、転倒すればケガをするのだし、
運が悪ければ死ぬのである。そういったマイナス面も、しっかり直視
しなければいけないし、そう考えると、万が一の場合に備えて、
装備を万全にしておくことは、けっして無意味なことではないと思う。
 

自分自身の苦い経験、他人の事故。反省、そして後悔...。
私自身も19年間、オートバイに乗ってきて、ま、いろいろとあった。
そのことは、どうしても私にオートバイに乗ることのマイナス面を
考えさせてしまうのである。だから、私は今日もブーツをはいて
オートバイに乗っている。



共通テーマ:バイク