「記憶の棘」 [映画（2006）]
雪に覆われた小道をジョギングする、全身黒いウエアを着た男の後姿をワンカットの長回しで追った、この映画の冒頭で、この映画は素晴らしいものになりそうだという期待感が高まり、やがてそれは確信へと変わっていく。
ジョギングする男は橋の下で突然倒れる。そこからこの映画は始まり、舞台は１０年後、とあるニューヨークの高級マンションの一室。ここでアナ（ニコール・キッドマン）とジョゼフの婚約パーティが行われている。ジョゼフの数年越しのプロポーズに漸く応えたアナ。そんな賑やかな部屋の外に、様子を見守る少年の姿。
後日、アナの母の誕生パーティ中に突然現れた先日の少年。アナと二人っきりになったところで突然、自分はショーン（死んだ夫）の生まれかわりだと告げる。しかしアナは取り合わず追い返してしまう。その後もアナと接触を図ろうとする少年。アナと元夫しか知らない秘密や、ショーンの死んだ場所まで知っており、アナも次第に婚約者から生まれかわりと主張する少年に心が動き始め… というストーリー。
何がいいかって、主演のニコール･キッドマンの演技が素晴らしい。少年の父が彼女の住んでいるマンションの一室に通いの家庭教師で来ていて、それに少年も付いて来ていて、彼女と婚約者と「もう来るな」と言われて卒倒してしまい、その姿を尻目に二人はコンサートに行ってしまうのだが、そのコンサートの時の二コール・キッドマンのアップの長回し！ 彼女の表情だけの演技から困惑する心の内面が伝わってくる、この映画の一番印象的なシーン（と言うかカット）。ここだけでもこの映画を観る価値あり、と言い切れるほど素晴らしい。
但し、この映画のネックは…ネタバレになってしまうので書かないけど、スッキリしない終わり方をするので、かなり損していると思う。まぁ、こういう事なんだろうな、とは思えるんだけど、もう少しはっきりした終わらせ方した方が、この映画には良かった気がする。
とは書いたものの、間違いなく今年の私的ベスト５には入る作品。地味に公開してるけど、多くの人（大人限定）に観てもらいたい作品である。
タグ：ニコール・キッドマン
はじめまして、ココともうします。
「記憶の棘」のニコール、ほんとうにきれいでしたね。
映画の最後のほうにネタバレらしきものがありましたが、
私はこの少年はショーンの生まれ変わりだと思います。
それに翻弄されたアナがかわいそうというか、怖い映画でした。
TBさせていただきますので、よかったらお読みくださいませ。
by coco030705 (2006-10-19 23:40)
ココさんはじめまして、コメントありがとうございます。
僕もココさんとだいたい同じ感想です。
でも、ショーンという人間については殆ど描かれていませんが、そもそも嫌な奴だったのでは、と思えます。
あぁ、アナが可哀想。
by 丹下段平 (2006-10-20 00:47)
段平さんこんにちは。
私もショーンはショーンであったと思います。ただ新しいショーンにはクララの記憶が消えていたので生前の嫌なやつな自分の事を知った時ショックだったんでしょうね。冒頭の詩のように鳥に生まれ変わっていれば一緒に過ごしていけたのでしょう。
by キキ (2006-10-21 11:17)
キキさん、僕もほぼ同意見ですが、ショーンは元々女たらしだとすると（勝手に決め付けてる）、これからまた新しい若い姉ちゃん捕まえるぜ！ くらいの気持ちが蘇り、最後の笑顔になったのかもしれません。だいたい10歳と30代じゃ無理がありすぎますから、これで良かったのでしょう。アナは可哀想ですが…。
by 丹下段平 (2006-10-21 21:38)
段平さん。今後、女たらしには生まれ変わってもらうときは記憶はリセットしてもらわないと困りますよね。（笑）
by キキ (2006-10-22 01:32)
キキさん、このようにショーンについてあれやこれやと考えているうちに、この映画自体、観た当初とは違うものに思えてきました。もう一度観たら別の映画を観てるような印象かもしれませんね。
by 丹下段平 (2006-10-22 10:06)
段平さん、そうですね。隣で号泣していた人にぶっ飛ばされるかもです。＾・＾
by キキ (2006-10-22 20:28)
ははは、ではこの件はこれ以上深く考えないことにします。
by 丹下段平 (2006-10-22 23:15)
TBありがとう。
この小太り少年のｲﾗｽﾄいいですねぇ。
本人にも見せてあげたい（笑）
by kimion20002000 (2007-02-11 03:48)
はじめまして、コメントありがとうございます。
多分本人がこのイラスト見たら「似てない」って言うと思います（笑）。
またお越しください。
by 丹下段平 (2007-02-11 06:44)