Vol.16 トラブルの可能性が高い、部屋の賃貸ルール
お部屋を借りる際には、貸主と借主との間で、民法に規定する賃貸借契約を取り交わすことになります。契約を取り交わすということは、貸主も借主も、一定の法律上のルールを守らなければなりません。
お部屋を借りるにあたっての様々なルールを事前に知ることは、皆さんが、つまらないトラブルに巻き込まれないための重要な知識となります。
そこで、今回は、知らないとトラブルになる可能性が高いルールについてお伝えします。転ばぬ先の杖として、これからお伝えすることをご覧になってください!
契約更新ができない物件があるって本当?・・・定期借家と普通借家の違い
サラリーマン勤務のAさんは、お部屋を借りる契約をするため不動産屋へ行きました。そして、Aさんが契約のテーブルについた後、その不動産屋の営業マンは、たくさんの書類を提示し、Aさんに一生懸命説明しました。最初は、真面目に営業マンの話を聞いていたAさんでしたが、時間が経つにつれ集中力が途切れ、最後あたりは、ほとんど流して聞いていました。
そして、Aさんが契約したお部屋に入居してから2年が経ちました・・・。
そろそろ契約更新の時期になり、Aさんは、更新手続きの準備をするため、契約した不動産屋に電話をしましたが、その不動産屋の営業マンから「この契約は定期借家なので契約の更新はできませんよ!」と意外な返答が帰ってきました。Aさんは、「私は、3、4年は住むつもりで借りたんです。いきなりそんなことを言われても困ります!」と営業マンにきつく言いましたが、その営業マンは、「契約の際に、再契約できない旨は伝えましたし、契約期間満了の1年前にも再度通知しましたよ!」と強気な姿勢。「そんなこと言われても・・・」Aさんは、通知があったことをぼんやりと思い出し、何も言えなくなってしまいました。
契約更新ができない物件はありますのでご注意を!
Aさんが借りたお部屋の賃貸借契約書を調べたところ、定期借家契約であることが分かりました。定期借家契約は、更新しないことを前提とする賃貸借契約となりますので、Aさんは、契約期間が終了したら、ルールに基づき、住んでいるお部屋を退去しなければなりません。お部屋を借りる際の契約は、大きく2つに分けることができますので、事前に、その特徴をしっかりと把握する必要があります。
(定期借家契約の特徴)
・契約の更新がないことを前提とする賃貸借契約
・貸主は、あらかじめ「契約の更新がなく、期間満了により終了する」旨を借主に伝えなければならない
・契約期間が1年以上の場合は、貸主は、期間満了の1年前から6月前までの間に、借主に対して、もう少しで賃貸借契約が終了する旨の通知をしなければならない
事例1の場合、Aさんがトラブルに巻き込まれた原因は、契約の際、Aさんが不動産屋の営業マンの説明を十分に聞いていなかったことにあります。私が見る限り、契約の際に、営業マンの説明を聞き流している借主の方は、たくさんいらっしゃいます。確かに、法律を前提にした話なので、決して面白いものではありません。しかし、この説明を十分に聞かないことによるトラブルが多いのも事実です。後で後悔しないためにも、契約にあたっての不動産屋からの説明は、真剣に聞く必要があります。
Aさんは、契約の更新を望んでいました。契約の更新をすることを希望される方は、「普通借家契約」を結ぶ必要があります。普通借家契約であれば、契約の更新をすることが前提となりますので、事例1のような結果にはならなかったのです。
物件によって解約期間が異なるって本当?・・・途中解約について
何度となく引っ越しているOLのBさんは、新しいお部屋を借りることになり、今住んでいるお部屋の契約を解約するため、不動産屋へ電話をしました。その不動産屋の営業マンに「解約しますので1ヵ月後で契約は終わりですよね」と伝えたところ、「この契約は、解約の申し入れの日から2ヵ月後に終了します」と言われました。Bさんは、営業マンに対して「ちょっと待ってください。今まで何度もお部屋を借りていますが、2ヶ月後に契約が終わるなんて聞いたことないですよ」と伝えましたが、その営業マンは、全く聞き入れてくれませんでした。Bさんは、不動産屋の営業マンに騙されているのでしょうか・・・。
物件によって解約期間は異なります!
事例2のBさんは、決して騙されている訳ではありません。建物の賃貸借契約については、民法という法律で下記のルールが定められています。
・建物賃貸借は、解約の申入れの日から3月を経過したときに終了する
これが、民法のルールとなります。このルールよりも借主に有利なものは有効となりますので、解約の申入れの日から1ヶ月を経過したときに契約は終了する旨の特約は有効であり、また、解約の申入れの日から2ヶ月を経過したときに契約は終了する旨の特約も有効となります。
今住んでいるお部屋から別のお部屋に引っ越すことを前提にした場合、通常は、下記1~3のような流れとなります。
1 新しいお部屋について申込みをする
2 新しいお部屋について審査がおりる
3 今住んでいるお部屋を解約する
今住んでいるお部屋を解約した後に、新しいお部屋探しを始めた場合、契約終了時までに引っ越せないと大問題です。そこで、安全策をとるならば、新しいお部屋について審査がおりた段階で、今住んでいるお部屋を解約するのが無難と言えます。しかし、この流れで考えるならば、解約期間が長くなればなるほど、無駄な賃料を支払わなければなりません。お部屋を解約した後、実家に戻るというのであれば特に問題はないのですが、事例2のような場合には、事前によく検討する必要があります。
民法では、解約の申入れの日から「3ヶ月」まで認められていますが、借主の立場で考えるならば、この期間は短いほど、無駄なお金を支払わなくて済む、ということになります。
ポイント1 定期借家契約は契約の更新がないことを前提としている
ポイント2 途中解約の時には解約の期間に注意すること
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