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切り離すのか・つなぐのか [2004 教員2年目(1校目・1年担任)]

まず始めに・・・

学校って恐いね。規則に沿えない子、勉強について行けない子、生活環境が「常識」から外れている子etcをどんどんふるい落としていく巨大な「キカイ」。ふるい落とされた子はフォローしない、敗者復活の機会は無いといったように、落ちたら最後の巨大な「キカイ」。勉強は出来ないけど、友だちが沢山いる子ならいい。悲惨なのは、学校から弾かれた子どもたち。他の子たちは「義務教育」という名の下に、毎日9時間程度「キカイ」に拘束されている。でも、その「キカイ」の中にすら入れてもらえないとしたら。。。その先に待っているのは、真の「孤立」だ。そして、その社会的孤立は、貧困や低学力など様々に形を変えて連鎖していく。

学校って、それほど重要な役を持っているんだよ。

次に、今日の職員会議で一番盛り上がった部分。

「茶髪・ピアス・化粧の生徒は、学校内に入れない。直してから登校させる。
学校内には入れないが、その分家庭訪問により、その生徒との心のつながりを持てるように努力する。」

 その場にいるのがつらい話し合いでした。さすがに今日はオレも発言しようかと思ったほど、オレの考えとは真逆の流れでした。1学期、一部の生徒が暴れて大変だった。それは認める。そして、一部の生徒を気にする前に、その他の一般生徒の学習権を保障しないといけないことも分かる。でもさ、そこまでに至る話し合いが少しお粗末じゃないかって思ってしまった。

1.茶髪だと勉強が出来ないという発想を吟味しなくてよいのか。
2.「髪を黒く戻したら学校に入れてあげるよ」ではなく、その子がなぜ髪を染めてしか自分をアピールできないのかが分かっているのか、そのことに対してアプローチできているのか。
3.「髪を黒く戻すこと、決まりが守れること」=「立ち直り」なのか。
4.生徒を学校に入れないのに、学校の職員が家庭訪問行っただけで心のつながりができるはずが無いことに気付かないのか。

以上、今日言いたかったことをここに書いてみた(笑)。こんなこと職員会議の場で言ったら、尊敬されると同時に一発で干されるだろうから(苦笑)。
実は、朝の打ち合わせの時にも職員会議の最初にも、「児童虐待への対応について」みたいな話があった。「保護者が保護者としての役割を果たさない時は、生活に対しての出来るだけの支援と、親への教育を行うこと。」だって。何でそこまで学校がやらないとダメなの?ちゃんとした相談機関があるじゃない。多機能すぎるんだって。任せられることは任せて、協力していけばいいのに。その子を切り離せと言っているのではない。一緒に多角的に取り組んでいくべきではないかってこと。

まず、親への教育をするまえに、目の前の生徒に「そういう親にならないような教育」をするべきじゃないの?モノゴトは因果関係が連鎖して円を描いている(家族療法・短期療法の基本)。円を断ち切るため、目の前の子に対して様々な角度から「社会」を見せて、親になるための教育もするべきではないだろうか?

そして、オレが前から言っている「スクールソーシャルワーカー」の必要性。本当に虐待を防ぎたいのであれば、学校に一人ずつ虐待対応が出来る専門の人材を置くべき。各教室に疑いのある子が一人はいるから、大規模校では2人くらいいないとダメだろうなぁ。家庭の様子を見に行く・軽いセラピーをする・外部機関との連携をするetc。かなりヘビーな仕事だろうけど、一人いるとだいぶ現場が変わるはず。今、うちの学校にもスクールカウンセラー(SC)がいるけど、心身症系の不登校の生徒と親への対応で精一杯。SCがもう一人いて、怠学と分類されてしまう生徒に専門で真正面から向かい合ってもらえるととても助かる。今はそのストレスすべて養護の先生に行っているから、可哀想で仕方ない。授業どころではない。学校ってこんなとこ。

虐待を疑うサインは、「気になる子」によく見られるサイン
何も難しいことが必要な訳じゃない。サインに気付くために、できるだけ生徒の側にいないと。

だからオレは、先程の職員室提案には反対です。以上。
 


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きーたん

もう1年も前のトピックにコメントを書くのもおかしいかな。でも、とても共感してしたのでコメントします。

私は小学校で講師をしている「きーたん」です。

いろんな学校に行って、いろんな学年を見て、沢山の子どもと接して、きくちんさんがおっしゃるように、各クラスに最低でも1人は虐待されている疑いのある子が居ると感じています。
中学だと教科担任制で、いろんな先生がそれぞれの見方で子どもと接するので、情報交換ができるし1人の子どもを多面的にとらえる事ができると思います。でも、小学校の場合は担任1人なので、子どもや保護者との距離感が近すぎて、子どもが出すサインをサインとしてとらえられなくなっている、保護者の様子に疑問を持たないように感じます。
実は私、虐待の疑いのある子を発見しました。でもそれを伝えても実際に学年団が危機感を持ってくれるまで数カ月を要しました。「子ども本人の我侭又は軽度発達障害」と「担任の指導力」で片づけられそうになったのです。また、児童相談所に繋ぐのに数日かかりました。学校内の虐待に対する認識と危機意識が低すぎると感じました。
また、軽度発達障害が認知されるようになって(それはそれで喜ばしい事なのですが)ADHDと被虐待児の出すサインが似ているため、問題行動の原因として発達障害が先に疑われてしまうという現実もあります。
スクールカウンセラーも居るけれど、やはり、スクールソーシャルワーカーが必要だと感じています。虐待児を発見する事は難しいし、授業をやりつつ子どもの行動観察をしつつ、校内での共通理解を得て、他機関と連携する…なんてとうてい担任1人でやり続けるには限界があると思うのですよ。

ある研修会で知り合った心理士(人格障害を専門にしている)は、人格障害者は成長過程に問題を抱えている人が多いと感じて、中学の相談員もしているそうです。でも、数年やって「中学では遅い」と感じているようです。

もっと、子どもと職場の現実を見て、どういう人材が必要か考えていかないと、先生達がやるべき事が多すぎて、倒れる人続出ですよね…。

そんなこんなを感じている今日この頃です。
by きーたん (2005-03-03 23:46) 

きくちん

>きーたんさん
はじめまして。きくちんです。

>軽度発達障害が認知されるようになって(それはそれで喜ばしい事なのですが)ADHDと被虐待児の出すサインが似ているため、問題行動の原因として発達障害が先に疑われてしまうという現実もあります。

大学時代に児童虐待のことを学んでいる頃から、いずれ学校に「虐待性のADHD」というカテゴリーが必要になるだろうということは感じていました。だから私は「多動=ADHD」ではなく、「多動=虐待」という見立てをまず立てています。その上で、家庭環境よりも本人の要因が大きそうな場合に初めてADHD・LDなどの疑いを持つようににしています。家庭と関わる学校の教員に必要な視点は、個々の子の問題という視点よりも、親と子の関わりをまず疑う視点ではないかと思っています。

このBlogで「スクールソーシャルワーカー」という言葉を見て共感してくれる人が増えてきているのでとても喜んでいます。閲覧数もこの記事が一番多いです。しかし、現実を考えるとケースワーカーに社会福祉士を専門職として入れていない自治体もあるのに、学校に先に入れるなんて不可能だろうなぁと思っています。子どもを変えていかないと経済なんて良くなるはず無いんですけどね・・・・。
 
by きくちん (2005-03-06 19:11) 

きーたん

この学校、最後の日でした。
管理職から言われた言葉。
「ひとりひとりに温かいまなざしを向けてあげて下さい。こういう見方
 もあると知ったけれど、でもその前にやれる事があるでしょう。」

……

何を言われているのだかさっぱり分かりませんでした。
結局、何もかも教師の力量で片づけようとする学校なのですね。
私が伝えようとした事は多分、あの管理職には届いていなかったのでしょう。
信頼できる大人に出会う事は大事です。学校が安心できる場所である事も大事です。そこで子どもに「自己肯定感」を育ててあげる事も大事です。
でもさ…
家庭の抱える問題を解決するのは学校ではできないですよね。
外部と連携して、場合によっては家庭に介入してもらって子どもの生きる土台になる基盤を支えてもらう…そのために外部機関と繋いだのに…

子どものため…と思ってした事が結局伝わっていなかった事が残念でした。
by きーたん (2005-03-26 16:45) 

きくちん

>きーたんさん
家庭の問題までは関われない。ホントその通りです。
教員のレベルに頼っても、家庭の問題まで入っていける教員なんて何人いるのやら・・・。
教員の意識改革が必要ですよね。
 
by きくちん (2005-03-30 08:24) 

正己

はじめまして。
私のブログに送ってくれたnice!を辿ってきました。
古い記事にコメントすることになっちゃいましたが、
きくちんさんの考え方、「いいなぁ」と思いました。
by 正己 (2005-04-16 16:17) 

きくちん

>正己さん
読んでいただいてありがとうございます。
また来て下さいね!
 
by きくちん (2005-04-24 19:47) 

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