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マイヤベーアの【ユグノー教徒】による幻想曲(タールベルク) [タールベルク]

さて、今日は、リクエスト?にお応えして、
タールベルクのピアノ曲だ。(また、マイナーな・・・)

タールベルクという作曲家(ピアニスト)を知っているだろうか?
あのフランツ・リストと、ピアノで決闘したという話が有名な人物だ。

今でこそ、いろいろなCDで、この作曲家のピアノ曲は、多く聴けるが、
(ナクソス・ミュージック・ライブラリでも、かなり聴けます)
昔、レコードの時代には、ポンティが録音した、レコードしかなかった気がする。
(失われた調べを求めて、というLPのシリーズで、アントン・ルービンシュタイン、
 リャプノフ、バラキレフ、モシュレス、クララ・シューマン 等々、無名曲が宝のようにあって、
 私は、いっぱいレコードを買い集めましたね。・・・ああ、懐かしい)

タールベルクのピアノ曲としては、
この日記の過去記事で、【埴生の宿による変奏曲】を取り上げたこともある。
(タールベルクの特色に関しては、そちらを参照してくださいね)

昔買ったレコードには、最後に、オペラの編曲ものが入っていた。
それが、今日の音楽日記の曲
マイヤベーアの【ユグノー教徒】による幻想曲 である。

曲は、静かに始まる。そして、付点リズムの歌になるが、
すでにここで、両手での装飾だ。しかし、あくまで控えめだ。(技術的には難しそうだ)
右手オクターブの連打での歌の部分では、左手は、対旋律と伴奏だが、
こんな部分もとても優雅だ。
中間部のコラールは、徐々に盛り上がり、
その後は、お約束の早いスケールやトリルで、さらに盛り上げ、
後半の圧倒的な、終結部に突入する。
(この部分は、さすが、リスト最大のライバルと言われた面目躍如かな)

さて、タールベルクのピアノ曲は、
リストに比べて、洗練された仕上がりの曲が多いと思う。
リストのオペラ編曲ものは、傑作もあれば、駄作も多いといった感じだが、
タールベルクのオペラ編曲物は、華麗なスケール。キラキラしたトリル。
そして、必殺の三本の手奏法(左右の親指で旋律を取り、幅広いアルペジォで装飾する)。
等々、聴いていて、まことに気持ちがいい。
ただ、その分、ぶっ飛んだトンデモ曲は無いかなあ。
しかし、洗練された美しさと歌は、リストより上で、
もうちょっと、それでの評価は、されてもいいとも思う。

タールベルクは、51歳で、公の演奏から引退し、余生は、葡萄づくりに励んだそうだ。
自分の芸術に限界を感じたとの説もあるらしい。
しかし、作品は、残っている。

でも、今でもタールベルクを弾くピアニストは、少ないなあ。
ちょっと悲しいかも・・・


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なるたる

わぉ、タールベルクの記事、早速書いていただいて大変嬉しいです。

タールベルク初めレアなピアノ曲ばかり集めた嘗ての熱い日々の記憶が、甦って参りました。

私もきっかけはポンティでしたよ。
確かVOXBOXレーベルのLP、懐かしいですね(すご~く遠い目)。

曲目はゴドフスキーの芸術家の生涯、ご紹介のユグノー教徒幻想曲、ワルツ気まぐれ女、埴生の宿幻想曲、夏の名残のばら幻想曲、ドン・パスクワーレ幻想曲だったかな(ここいらは複数のLP録音を混同している懼れあり、何せ昔の事なので記憶がいい加減です)。

ナクソスよりニコロッシ(ニコロージ)の纏まった曲集が発売されるのは、もっとずっと後のことです。

埴生の宿幻想曲を聴いてその旋律の余りの美しさに陶然とし、ドン・パスクワーレ幻想曲の後半の盛り上がりに耳を奪われ、ユグノー教徒のコラール「神はわが砦(やぐら)」の大変効果的な引用と魅惑的な展開にすっかりメロメロになってしまいました。

お説の通り、心奪う旋律の展開という点ではリストを遥かに凌ぎますね。
オペラでも美しい旋律の部分だけを抜き出して、まことに印象深い装飾で
曲全体を覆いつくし、一聴して実に忘れがたくエレガントで華麗で目も醒めるような技巧で聴く物を虜にしてしまう…こんな奇跡は三本腕のピアニスト、タールベルクだからこそ出来る芸当なのでありましょう。
彼の編曲には「華」があると私などは常々感じています。

どちらかと言うと地味な旋律を、こけおどしのテクニックで繋ぐ事の多いリストの編曲は概して面白みがなく、少しはタールベルクの爪の垢でも煎じて呑んだら良いのに…と両者を比較していつも思います。

レスリー・ハワードが録音した「リストピアノ曲大全集」(全60巻ほど)のおよそ半分を所有していますが、そのなかの色んなオペラトランスクリプションは、聴き通すのにかなりの苦痛を余儀なくされました。

市販されているタールベルクのトランスクリプションは殆ど所有していますが、まだまだ未録音・未発見のものも多いと思われ、そもそも全部で何曲あるのかも判然としていません。
私は未録音・未発見の彼の録音を出来るだけ集めたいと思っています、みどりのこびとさんも一緒にいかがですかw。

タールベルクとともに今では忘れ去られた作曲家で、やはり数多くの美しいオペラトランスクリプションを書いた作曲家にクリューガーと言う人物がいますが、この人にも大変興味を持っています。
ただし、CD録音はタールベルク以上に絶望的で、現在入手できるのは皆無に近いです。
日本のアルカン演奏の草分けで、レアなピアノ曲の発掘をライフワークとする金澤摂(旧姓 中村摂)氏が実演で演奏しているぐらいで、早急なCD化が期待されるところです。

ついでにまたもや身勝手で一方的なリクエストを一つ…、金澤摂つながりで、かのアルカンにも触れていただければと思う次第ですw。
by なるたる (2007-06-20 02:54) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん。ながーいコメントありがとうございます(笑)
やはり、ポンティのレコードは、お持ちでしたか・・・
ちなみに、このレコードに入っている曲は、
ピアノ協奏曲・埴生の宿変奏曲・気まぐれ女・夏の名残のバラ変奏曲
そして、ユグノー教徒幻想曲です。

私も昔は、かなり、マイナーなピアノ曲を集めていた思い出があります。

クリューガーの曲は、知りませんでした。
早速、PTNAのホームページで試聴しました。
なかなかです。

私は、CD屋に例えば「タールベルクの隠れた秘曲」なんて、
いうCDがあったら、
即座に買ってしまうと思います・・・ははは、だから貧乏
by みどりのこびとちゃん (2007-06-20 23:16) 

なるたる

タールベルクも色んな演奏家が徐々に取り上げて来つつあるので、少しずつ人口に膾炙されるようになって来ました。
youtubeを覗いてみたら、昔は見向きもされなかった曲が結構取り上げられていたのは、タールベルクファンとしては嬉しい限りです。

夏の名残のバラ幻想曲・ドンジョヴァンニ幻想曲・モーゼ幻想曲・ドン・パスクァーレ幻想曲・夢遊病の女によるカプリース・ベートーヴェンの思い出・埴生の宿幻想曲・椿姫による幻想曲・ユグノー教徒による幻想曲・モーツァルトのラクリモーザの編曲や自作の小品までUPされていて涙がちょちょ切れますw。

http://www.youtube.com/results?search_filter=1&suggested_categories=10%2C24%2C22&search_query=Thalberg&page=1

ところでアルカンはまだ一曲もご紹介いただいていませんでしたっけ?
リスト・タールベルク・ゴドフスキと来たら、次はアルカンも良いですね。
手始めに、入門編として恰好の「鉄道」練習曲などご紹介いただけると嬉しいです。

思えばこの曲は、私が25年ほど前初めて聴いてそれ以降アルカンファンとなった思い出深い曲で、その無窮動のリズムは実にわくわくと刺激的で大好きな曲です。
機会があれば、この曲を皮切りにアルカンの曲を系統的にお取り上げいただけたらと思う次第であります。
by なるたる (2010-11-30 22:28) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん、コメントありがとうございます。
そうなんですよ。動画サイトには、結構マニアックなピアノ曲があって、
すべて聴けません
タールベルクも、以前だったら、どんな曲だろう
と想像するだけだったのに、うれしいやら、
でも ちょっとなぜか複雑な気持ちだったりして・・・
それに、以前書いたように、IMLSPで、譜面は見れるし・・・

アルカン、昔、結構ちょこちょこ聴きました。
そうですね、なんで、今まで書いてなかったのだろう
ではそのうちに

by みどりのこびとちゃん (2010-12-01 23:21) 

みどりの巨人ハルクくん

私は話題の「鉄道」と、「両手のためのエチュード(無窮動)」「波打ち際の狂女の歌」が好きです(けっしてマニアではありませんが)。
by みどりの巨人ハルクくん (2010-12-02 00:03) 

みどりの巨人ハルクくん

訂正・・・ 「歌」ではなく「踊り」でした。これは「25のプレリュード」の変イ短調の曲。
by みどりの巨人ハルクくん (2010-12-02 00:33) 

タカノカズヒロ

リシッツァの「セビリア理髪師」の大幻想曲を聴いて、やはりタールベルクはリストとは違う、豪華絢爛な美しさと技巧を持っているな。もっと注目すべきピアニストだと思いました。

ユグノー教徒。リストの編曲は、とても気に入っていて、使用メロディーも初めて聴く者を掴むものがあるのですが、タールベルクは、どうなんだろう?と気になりました。リストと同じなのですかね?
by タカノカズヒロ (2013-07-10 17:11) 

みどりのこびとちゃん

タカノカズヒロさん、コメントありがとうございます。
タールベルクは、リストとはまた違った豪華絢爛な美しさですよね。

で、タールベルクのユグノー教徒ですが、リストが使用した旋律と同じ
ものが出てきます。
最後の堂々とした部分は、
私としては、響きといい、技巧といい、タールベルクの勝ちですね。

by みどりのこびとちゃん (2013-07-11 00:33) 

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