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触媒討論会第100回を記念して(4) [随想]

触媒討論会第100回を記念して(4) 9月17、18日(北大にて)

 今回は 「in-situ dynamic characterization」 という、意味を理解するのが難しい言葉がでてきます。なかなかずばりと説明できませんが、あたらずとも遠からず、ということで、「中秋の名月」の話でも。ブログではこの名月を撮らんと、携帯やデジカメを使った人がいます。だた、光ったマルだった。ある方のお嬢さんは月を眺めて、「ウサギが杵で餅をついていた」とおっしゃったそうです。一眼を使って、月面を克明に写していらっしゃる方は何人かありました。天体望遠鏡を使えば、もっとはっきり写るでしょう。ある日、月面に立った人がいました。月面という現場に足を踏み入れたのです。

 触媒は長い間、反応しているとき、中に入れませんでした。中はblack-box でした。だから触媒の研究には夢がある(ウサギが・・・・)。その触媒の現場にはじめて踏み込んだのです(アポロ・・・・)。こんな感じでしょうか。その踏み込み方はいろいろあり、今もその研究は続いています(後述)。

本文:

 その後私は1953年プリンストン大学ののテイラー先生(Sir Hugh Taylor) のところにポスドクで3年間留学することができました。テイラー先生は言うまでもなく触媒分野トップの泰斗で、世界中に数多くの弟子達がおり、素晴らしい先生で、研究は頭でするものであることを問わず語りに教えて下さいました。

 私がプリンストン滞在中たまたま触媒反応が進行している最中に反応の現場の触媒表面での吸着種のダイナミックな挙動を直接に測定する方法を考え出しました。それまでは触媒は反応中は常にblack-boxの中に閉じ込められ、反応の機構はそのblack-boxの外側、つまり、入り口と出口で得られる反応速度式などの情報から推論されていました。触媒反応が進行している最中に反応の起こる現場の触媒表面の吸着種を測定した人は誰もおりませんでした

 テイラー先生も私が初めて反応中の吸着測定を提案した時は 「You are very ambitious! , un, You are very ambitious!」 と二度繰り返し言われましたが、それはそれまで誰もしたことがないだけに、本当にできるものだろうか、疑っておられましたが、閉じた循環系に多量の触媒を使って比較的低温で見事に成功しました。

 これがいわゆる 「in-situ dynamic characterization」世界初めての開発であったわけです。テイラー先生も私の新しい提案を高く評価してくださいました。

 殊に1960年パリーでの ・・・ 次回に続く 

 

 これは連載


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Silvermac

内容は門外漢にはよく分かりませんが、チャレンジ精神ですね。
by Silvermac (2007-09-28 08:43) 

当時、違った側面から、触媒の表面を眺めていたものとして、この発想はすばらしい。その提案を受け入れてくださったTaylor 先生もすばらしい。誰かがやったことを追試または、練習問題としてやるのとは全然違います。輝いています。
by (2007-09-28 11:30) 

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