大槻ケンヂ『グミ・チョコレート・パイン チョコ編』 [本]
大槻ケンヂ氏の自伝的小説の第2巻。1巻のレビューはこちらから。
大槻ケンヂ『グミ・チョコレート・パイン チョコ編』
突然雑誌でヌードを披露し、賢三の前から去っていった美甘子。痛烈な敗北感を感じた賢三は、しかしなんとか美甘子に追いつこうと仲間達とバンドを結成するが……
”俺は周りの俗物とは違う”そんな強烈な思いを抱えたダメ人間達のモンモンした日々をつづる小説の2巻目です。相変わらずエッセイなのか小説なのか、視点が定まらず、ホント読みづらい。
この巻では美甘子はスターとしてどんどん変身を繰り返し、賢三はただひたすら轢かれた蛙のように潰れていくだけ。正直読んでいて楽しいものではありませんでした。
特に美甘子は、グミ編で感じた魅力が、とらえどころがなくって、でも凄くキラキラしている魅力が完全に半減してます。思うにオーケンとしては”少女は聖なるかな聖なるかな”を否定して、地に足をつけた普通の少女として描いているつもりなんだろうけど、力が入りすぎて逆にもろ漫画チックなキャラになっちゃってます。
はっきり、共感も好感も興味も持てないつまらないキャラになってしまって失敗だと思います。
物語も前半での賢三と美甘子との別れ、中盤の”自分BOX”のライブの熱狂なんかは凄くいい雰囲気なのに、それがその後にちっとも生かされない。そもそも2巻が終わっても賢三はバンド活動してません。
バンド仲間だって、グミ編では魅力的に描かれていたのに、このチョコ編では完全にタダの脇役になってます。……執筆時のオーケンの心理の問題ですかね。
なんか、期待していたのと大分違う方向に向かっちゃいました。そこいくと実は全然設定も展開も違うコミック版のほうがとても良く出来てるんですよね。でも一応続刊パイン編もレビューします。
記事が気にいった方はココをクリックしてください。ランキングされます。
コメント 0