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『駿河城御前試合』その第1試合 [シグルイ]

変態残酷時代漫画『シグルイ』の原作本、『駿河城御前試合』。11の試合が描かれるこの小説で、漫画の元になっているのは実は第1試合のみです。いままで、漫画のネタバレになるので書くのを避けてきたこの試合の解説ですが、漫画もそろそろ終盤らしいので、やはり書くことにしました。繰り返しますが、ネタバレなので『シグルイ』を楽しみにしている方は、気を付けて下さい。

・・・・・・べ、別に、記事のネタギレって訳じゃないんだから!(ツンデレ)

駿河城御前試合

駿河城御前試合

  • 作者: 南條 範夫
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2005/10
  • メディア: 文庫

第1試合 無明逆流れ

俺呼んで『「山口貴由は変態でない」という命題をくつがえすには 何千何万何億の漫画の中にたった一冊 『シグルイ』があればよい!』

藤木源之助(虎眼流)VS伊良子清玄(無明逆流れ)

読んだことがある方なら、驚くと思います。僕らが大好きな、ぬふぅも、む~ざんも、いらしゃんせも、ちゅぱ右衛門も(※1)、みーんな山口先生の創作であったという、驚愕の事実に。それどころが虎眼先生が曖昧ではないし、権ちゃんは乳首食いはもちろんなし、口が裂けてもいません。これは『シグルイ』から入った人にはショックです。初めて会ったメル友が、猪木似の女子高生だったくらいショックです。

物語は、漫画と同じように、御前試合の場に奇怪な二人の剣士が現れたところから始まります。東側は伊良子清玄。稀有の美貌にも関わらず、両目を盲い、右足を引きずるという、晴れの御前試合には不釣合いの姿。傍らには凄艶な美女、いくが付き添っています。西側から現れたのは藤木源之助。均衡の取れた顔貌ながらも、こちらは左腕が付け根からなく、また二十歳くらいの美女、三重が付き添っていました。

伊良子が構えたとき、会場中が息を飲みました。それは抜いた刀を右足の指の間に、杖のごとく突き立てた、奇怪な構え。これこそ城下で評判の『無明逆流れ』の構えだったのです・・・

四人の因縁は、数年前に遡ります。伊良子と藤木は共に無双の達人、岩本虎眼の弟子でした。数多い門下の中でも一虎双竜と謳われたのが、師範代の牛股権左衛門、そして伊良子と藤木でした。権左衛門は既に妻のある身。巷では、伊良子・藤木のどちらかが、虎眼先生の美しい娘、三重を娶るとの噂です。

ちなみに三重は伊良子がお好み。ここ、ポイントです。覚えておいてね。

虎眼先生は五十を過ぎてもハッスルハッスル。とっかえひっかえ妾を囲っていましたが、中でも最近ゲットしたいくはお気に入りです。

虎眼「いやー、三重の婿、どうしようかなー。アイツはさー、どうも伊良子がいいらしいんだよねー。確かに伊良子って、ワシでさえドキッとするときあるからなー」

いく「そんな先生、ちゃんと先生の目で選ばなきゃ駄目ですよ」

虎眼「まー、そうなんだけど。あれ?お前伊良子びいきじゃなかったっけ?」

いく「そ、そんなことありませんよ!」

実はいく、伊良子と密通しており、三重に伊良子を取られるのを恐れていたのです。そんな些細な女心を見抜いてか、虎眼先生の瞳がギラリ。さすがです。

ある時、伊良子、藤木、それに牛股が虎眼先生に呼び出されました。急な呼び出しに牛股は秘剣「流れ星」の伝授、藤木は三重の婿選びかと勝手に思っていましたが、伊良子だけは、あきらかにむっちゃ自分を睨んでいる虎眼先生にただただ怯えるだけでした。

虎眼「おまんらなまっちょる!全力で試合しゃちゃれ!」

虎眼先生の鶴の一声で、まずは牛股と伊良子が立ち会うことになりました。と、いっても牛股の実力は、虎眼先生以外は敵わないほど。伊良子はあっさり敗れます。

虎眼「伊良子、なんばしょっとか!次、藤木とやるばい!」

牛股に打たれた右手が痛くてたまらん伊良子ですが、虎眼先生がどんどんヒートアップしてるので、欠席を申し出られませんでした。おまけに今だ婿選びだと思っているのん気な源之助、やる気満々。伊良子はここでも敗れてしまいます。

「この莫迦(ばか)ちんが!ワシが根性叩きなおしちゃる!真剣をもて!」

あまりの展開に唖然とする一同。そんなことお構いなしの凶獣、虎眼先生は、ガタブルガタブル震える伊良子の両目を、横薙ぎの必殺魔剣『流れ星』で切り裂くのでした。

伊良子といくが姿を消してから、時は流れて三年後。虎眼道場では未だに三重の婿が決まっておりません。意外にも深く伊良子を思っていた三重が、「私が欲しいなら、あの男(伊良子)を切りなさい!」とか言ってるからです。

要は伊良子が自分ではなくいくを愛していたのにご立腹なのですが、これ伊良子にしたら結構いい迷惑です。さらに、伊良子がいなくなってコイツはイケる!と思ったのもつかの間、悶々生活を送っている藤木を思うと涙を禁じ得ません。火照った身体はどうしたらいいの?

そんな愉快な虎眼道場に奇怪な剣客が現れました。その正体は当然伊良子。やっすい挑発に乗った虎眼先生は真剣で立ち会うこととなります。

このとき伊良子が見せたのがまっこと奇怪な構え。刃を対手に向けた剣を、大地にぐっさり突き立てて、一見盲人が杖をついているが如くですが、恐るべき殺気に満ちています。

憤怒の虎眼先生が放った流れ星よりも早く、この構えから繰り出された刀刃は、虎眼先生の顔面を下から上に切り裂いたのでした。

この『無明逆流れ』完成の影にはいくの支えがありました。両目を失った伊良子を時には強く、時には優しく支えてのが、いくの執念です。その結果伊良子は、射程内に入ったものは何であろうと瞬時に切り裂く技術を身につけたのです。

翌日、伊良子のもとに牛股と藤木が仇討ちにやってきました。三重から伊良子の奇怪な剣法を聞いていた藤木が、一夜漬けで必死に考えた技が『飛猿横流れ』。対手の左肩めがけ飛び込みざまに横なぎに払う技で、名前からしてなかなかのイマイチ感。案の定、飛び込むスピードより伊良子の斬撃が早く、左腕を吹っ飛ばされてしまいます。

それを見ていた牛股。やわ土の上に伊良子を誘い込みます。『無明逆流れ』は、大地を留め金、刀身をバネとすることで、極限まで力を溜め、それを放つことで一瞬の閃光と化す剣(俺見解)。つまり留め金である大地が柔らかければその威力を発揮することはできない、と。すごいや!牛股!

その通り、剣先鈍った逆流れに伊良子は苦戦を強いられます。ところが次に牛股が襲い掛かった時、伊良子は自身の右足に剣をつきたて、そこから放たれた逆流れにより、牛股の顔面を割るのでした。勝者ッ、伊良子清玄ッ!

師と兄弟子が敗れ、自分は腕をもぎ取られてしまった藤木。さすがにしょんぼりです。そんな時彼の背中を押したのは三重でした。

藤木「アカンて。アイツ天才やもん。勝てへんわ」

三重「アホ言うな!あたしとやりたくないんか!あいつに勝ったら、ナンボでもやらせたるわ!

そんな若い男の身体の一部を刺激し、叱咤する三重。三重のあまりのやる気に藤木は逆に「三重っち、ホンマはまだ伊良子が好きなんちゃうかなー」とか思って、ちょっと複雑な心境です。

そう言っても男の子。理性で押さえきれないのがオみゃんンコの魔力。もう、伊良子切っちゃえばいいじゃん。切っちゃえば、結局三重っちも俺しかいないじゃん。という、いわゆるストーカー発想に辿り着きました。源之助、可哀想です。

とは言うものの、あの無明逆流れを破る手立てなんて、とんと思いつきません。ぷらぷらしてたら今日もスイカを食いながら、三重が愚痴ってきました。「まだかよ」って。

「えー、スイカじゃーん。めっずらしー!」そんな情けない誤魔化しまでする源之助ですが、その時はっと目を留めました。「こ、これだぁ!」それから暫く道場にこもった源之助。次にあわられた時、頼もしげに言い放つのでした。「伊良子を斬りに行きましょう」

そのころ伊良子は剣の腕が認められ、駿府で食客をしてました。しかし二人の噂を聞いた御前試合実行委員会。こいつは見世物として好都合。御前試合で決着をつけるよう、二人に申し出るのでした。

場面は戻って冒頭に。伊良子の『無明逆流れ』に藤木が対峙します。両者少しも動かず、会場は緊張感が包みます。それが頂点に達した時です。裂ぱくの気合とともに、藤木の手から白刃が伊良子の脳天めがけて放たれました!

ガキン!伊良子の逆流れが刃を両断した瞬間!源之助の身体が懐に飛び込んだ!その右手には脇差が握られ、伊良子の長剣と組み合っています。

伊良子が距離を取ろうとしたときです。「うむ」源之助の押し殺した声とともに、伊良子の長剣がポキリと折れて、源之助の脇差は何の抵抗も無いかのように斜めにスパっと切り下げられました。

伊良子の身体は暫くもとのごとく立っているかに見えましたが、次の瞬間、斜めに切り下げられた上半身が、どうと大地に崩れ落ちました。

これがスイカを切る手を見て源之助が編み出した秘策。投げた刃に反応し、一度跳ね上がった剣はいわば死に剣。その状態では逆流れは放てない。拳を抜いたアルデバラン(※2)です。アルデバランはまぁ、全体的に弱かったけど、とにかく伊良子に逆流れを使わすわけにはいかない。そこでその状態で密着し、零距離から圧倒的パワーで刀ごと押し切ることにより、源之助は伊良子を両断したのでした。

さっそうと引き上げる源之助の目に飛び込んできたのは、懐剣でおのが胸をついたいくと三重の姿でした。

悲惨。悲惨です源之助。極限まで高まったエレクチオンをどうしろというのでしょうか。「どうせ死ぬなら一回やらせて」。そんな、自殺する人にかけちゃいけない言葉ベスト3に入る台詞が頭をよぎります。

しかし、源之助の悲劇はこれでは終わらないのです。この後、終幕ではさらに源之助が酷い目に。つーわけで、次回、『駿河城御前試合最終章・剣士凡てる』にご期待ください。まぁ近いうちに書きますんで。

試合結果:勝者・藤木源之助 敗者・伊良子清玄(死亡)

※1 ぬふぅも、む~ざんも、いらしゃんせも、ちゅぱ右衛門も:全て『シグルイ』に登場する、変態描写のごく一部。

※2 アルデバラン:聖闘士星矢に登場する最強の黄金聖闘士(ごーるどせいんと)。多分黄金聖闘士の中で、一番人気でカッコいいんじゃないかな。ん、私?五月生まれだけど、何か?

ランキンお願いしマス。


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コメント 4

ぬこ

おもしろかったです。南條先生の原作も買ってよんでみます。
by ぬこ (2007-08-25 07:58) 

けんたろう

>ぬこさんありがとうございます。
原作は短編で、時代小説初心者の私でもとても読みやすかったので
オススメです。
by けんたろう (2007-08-25 23:57) 

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なんなのこの寒い腐れ文章
せっかく原作が面白いのにくだらないギャグ入れてんじゃねえよカス
by お名前(必須) (2017-05-24 12:55) 

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↑と、カスが10年以上も前の記事にケチをつけております
by お名前(必須) (2017-07-05 12:15) 

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