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『神はサイコロを振らない』第1話 [過去の連ドラ]

もう何年前の事でしょうか。犯罪に巻き込まれ、行方不明になっていた娘が、数年ぶりに親元に帰るという事件がありました。今よりもヒネていた私は、「こんな何年も全く違う生活をしていた人を受け入れられるのか」「死人に帰って来られるのは、いいことなのか」等、無責任な発言をしていました。そんな私を快く思わなかった親は、「家族とはそんなもんじゃない」と私を諌めました。拉致被害者の方々の報道を見ると、親の言ったことのほうが正しかったような気もします。でも、やっぱり

このドラマはそういうドラマです。

『神はサイコロを振らない』

10年前消息を絶った飛行機、402便がある日突然、帰ってくる。10年の時を飛び越えて、当時のままの乗客を載せて。航空会社勤務で遺族担当だった黛ヤス子(小林聡美)ら家族たちは、それぞれの思いをもって彼らを迎える・・・

基本設定がファンタジーですが、1話を見た限り、この物語が直面するのは現実です。乗客達と、それを取り巻く人々の、10年という年月が作ってしまったズレ。例えばある夫婦。10年の間にいつのまにか生まれた自分たちの孫を見たときの、なんともいえない表情。会いたかった人に会えて本当によかった・・・よかった?・・・会うのは一瞬ですが、生活はこれからも続いてゆく。そんな不安を感じさせるドラマです。

このドラマの非常におもしろいところは、そんな重い空気を感じさせながら、ライトなコメディタッチで話が進むところです。まるで死に至るを、砂糖の殻で包んでバーナーであぶったような。その殻に少しずつヒビが入っていくのが分かるような感じでした。殻が割れたとき、中から出てくるのは、ヒナでしょうか?猛毒でしょうか?

私が特にグッと来たのはラスト。勝手な判断を上司にとがめられ、402便の件に関わることを禁止されたヤス子が帰ろうとする。と、かつての同僚で、402便で帰ってきた亜紀(ともさかりえ)が、それを止めに来る。仕事を投げ出して帰るのか、と。

ここでそれまで「10年経った」ってことに実感がなかった亜紀は、急にそれを感じてしまう。すっかり気持ちがしぼんでしまったヤス子を見て。そして涙ながらに彼女を止めようとします。それに対してヤス子は「18歳から28歳までの10年と、28歳から38歳までの10年は違う」と言って帰ってしまいます

そら恐ろしいシーンだと思いました。ここでヤス子が親友の頼み量りにかけてるのは、自分の保身だからです。インスタントなヒーローなら、万が一にも選択しない選択肢を、ヤス子は選びます。私は現在28歳ですが、これからの10年が非常に恐ろしくなりました。

1話を見た限りではとても面白かったです。今後は極力、ファンタジーを使わないで問題に当たって欲しいです。これで最後が『やっぱり消えて元に戻りました』ってなったらガッカリです。が、すでにちょっとそういうニオイを匂わせているんだようなぁ。心配

かように、私にとっては非常に今後が楽しみな作品です。ただ、万人がこう思う作品では無いと思います。ハッキリ言って旬のスターは一人も出演していません。単に私が日本でも有数の、このドラマにハマッた人なんだと思います。

それでも。それでも興味を持ってくれる人が一人でも増えれば、と思います。私には忘れられないドラマになりそうです。


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