『ＴＨＥ有頂天ホテル』笑いの連鎖 [映画]
ドンキホーテ サンチョパンサ ロシナンテ ＆ 俺（from天国うまれ）
っつーわけで、見てきました、話題の映画『ＴＨＥ有頂天ホテル』。
監督、脚本：三谷幸喜 出演：役所広司 松たか子他 atシネプレックス幕張
元々三谷幸喜ファンの私なので、期待大で劇場に。そしてその期待に完璧に応えてくれました。笑、笑、笑。
←役所広司の消しゴムはんこ。
舞台は大晦日のとあるホテル。様々な人物と事情が入り乱れてこんがらがり、それぞれの物語が笑いとともにつむぎだされる話。
すっごく演劇的です。舞台で最もよく観る、間違い、思い違い、勘違いの喜劇。ちょっとした見得、ちょっとしたこだわり、ちょっとした嘘が、話をどんどん混乱させてゆく。その混乱にあわせて、観ているほうも連鎖的に笑わされます。やっぱり役者が豪華でイイ！です。
役所広司さんは狂言回しに徹してるのかと思ってましたが、意外や意外、彼のエピソードは本当に可愛らしく、素敵でした。芸の幅広さに感服。聖母の眼差しの元妻役、原田美枝子さんも好演。
戸田恵子＆生瀬勝久さんは、ほとんどストーリーを動かす役でしたが、ここだってときはしっかりツボを押させてくる。あまり見せ場がない戸田さん、ほんの数秒の歌うシーンの高らかさときたら。
香取慎吾は、まぁいつもの香取さんでした。が、劇中歌う歌が、本当にヨカッタ！実際の作詞・作曲は甲本ヒロト（※１）でした。この映画を観た人、知らず知らずのうちに口ずさんでいるんじゃないですかね？この記事の冒頭一節はその歌詞の一部です。ちなみに香取さん、途中バンダナを巻いた姿がどう見ても山本太郎＠バトルロワイヤル（※２）だったのですが、誰も何も言わなかったのか？
松たか子は、『正解を言う人』の役でした。話がごっちゃごっちゃになってもうアカン！って時に『まず目の前を見ろよ』的ことを言う人。ドラマ『野ブタをプロデュース』なら夏木マリ。『すいか』（※３）なら朝丘ルリ子がやってたような役。だから若い人がやると少々説得力に欠けてしまうかも。でも、自分の仕事はちゃんとやりきっていて、決して見劣りするわけじゃありません。
佐藤弘市は一人だけ違う温度の芝居をしていてすっごく面白い！もちろん意図的だと思いますが。夜景を背負って己を語る男をほの悲しく、滑稽に演じています。
篠原涼子、私個人的にこの人ってすごいと思います。公私ともに勝ち組み。『ごっつええ感じ』（※４）のころは、こんな役者になるとは思わなかったよ。中山美穂や松嶋奈々子みたいな大物感を漂わすことなく、ジャンクフード的気安さと、しっかりして幅広い芝居。まだまだ伸びる気がする人です。
出番は少ないけどおいしいのはＹＯＵと寺島進。ＹＯＵは役所広司をぶんなぐって逃げるときにつぶやく『死んだ…』がサイコー。寺島進は相変わらずカッコいい。ラスト、おじいちゃんとＹＯＵを引き止める時の立ち姿！ボニータ（嫁）との抱擁！私の中でカッコいい男って、ここ10年阿部寛が不動なのですが、唯一、彼を揺るがしかねない存在が寺島進です。
オダギリジョー＆唐沢寿明は注意していないと本人と気がつきません。オダギリジョーは本当にいろんな役に挑戦するなぁ。その姿勢、すごく好きです。唐沢さんは結構出番はあるのに、マジで気がつかなかったよ。
その他にも川平慈英が持ち前のウザさを活かしてたし、堀内敬子さんの聞いてよーっぷりも可愛いし。こんだけ長くなっても、まだまだ書ききれません。
一つ、難点を挙げれば悪くも演劇的。映画館の大画面でなければ味わえない迫力、ってのはまるでありません。これ数年後には舞台になるんじゃないかなぁ。爆笑って言うよりは小さな笑いが連続的に続く。何にも考えずに観れる好作だと思います。
※１ 甲本ヒロト：ミュージシャン。元ブルーハーツのボーカル。ハイロウズ活動停止後はどうするんだろ？
※２ 山本太郎＠バトルロワイヤル：映画版バトルロワイヤルで山本太郎が演じる川田章吾って役は、終始頭にバンダナを巻いている。その姿と今回の香取くんがそっくり。マジで。誰か同意して。
※３ すいか：2003年夏に放送されたＴＶドラマ。朝丘ルリ子さんは若い連中に道を示しながら、自分もちょちちょい躓いてる教授役。０５年11月6日に記事にしています。
※４ ごっつええ感じ：1991年～1997年フジテレビで放送されたダウンタウンのバラエティ番組。篠原涼子はセクハラされるカワイコちゃん程度の存在だった。
すべて納得！！
これだけ、あの映画をちゃんと文章にできる けんたろう さんの才能って、すごいですねっ！！
by optsaru (2006-01-19 20:42)