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思いがけない贈り物 ~北海道の旅 その2 [旅行]

根室には、日本最東端の鉄道の駅がある。

また、根室は漁業の町。「根室港」と「花咲港」がある。

花咲ガニが有名。さんまの水揚げは日本一だ。

そして、根室は北方領土の町。納沙布岬からはすぐ目の前に北方4島の一つ「歯舞諸島」

が見える。

 

午前中、時間があったので根室の町を一人散策した。

昔の警察署と税務署の跡地。

煉瓦造りの古い建物。

もう朝の仕事が終わったのだろう。漁港の近くには人っ子一人いなかった。

 

眠ったように静かな町の小道を歩いて海に出る。

 

海を見ながらしばらくたたずんでいたらなぜか、亡くなった肉親や、恩師や、仲間や、友人たち

の顔が次々と浮かんできた。

 

会うべき人たちに会い、話すべきことを話したら、根室での仕事が終わってしまった。

飛行機の時間変更ができなかったので、丸一日空いてしまった。

同行のSさんの提案で、道東を車で回ろうということになった。

ずっと知床に行ってみたかったので、思いがけないプレゼントをもらったようだ。

 

午後に根室を出発。

その日は野付半島を経由し、羅臼から知床峠を越え、知床五湖に寄って、斜里あたりで宿を

探すことにした。

 

風蓮湖を越え、別海の北方展望台で休憩。

目の前に見える島は「国後島」だ。

手の届くような近くなのに、あの島に行くことはできない。

「叫びの像」

 

昨年6月、朗読公演の脚本を書くので、北方4島に住んでいた方々に取材をさせていただいた。

その中のお一人Tさんは、子供のころ島を追われ、樺太の収容所に送られ、数ヵ月後ようやく

本土に戻られた。

その話を1時間半、泣き笑いをしながら熱心に私たちに語ってくれた。

さまざまな苦労のあと、根室に安住し花咲で漁業をされていたTさん。

ワープロを覚えて自伝を書くんだと張り切っておられた。

しかし昨年9月28日、根室沖で息子さんの乗った漁船に、外国船籍のコンテナ船が衝突する

といった事故で、大切な跡継ぎの息子さんの命が奪われた。

 

遠藤周作の「沈黙」のなかの

「人間がこんなに哀しいのに、主よ、海があまりにも碧いのです」

という言葉のように、眼前の国後島の間の海は何も語らず、ただ青かった。

涙ながらに話をしてくださった、あのときのTさんの顔が忘れられない。

合掌。

 

そして、野付半島に寄る。

野付半島はオホーツク海の潮の流れによって造られた日本最大の「砂し」。

その大部分は、砂丘草原と湿地原でいろんな植物や動物が観察できる。

途中の湿原に、トドマツが立ち枯れたトドワラがにょきにょきと立っていて、どこかの惑星っぽい。

※砂嘴(さし) :海岸から細長くつきだした,土砂やれきからなる地形。 海岸にそって流れる沿岸

流によって運ばれてきた土砂やれきが,その流れが弱くなる部分にたい積したもの、だそうです。

ここも、砂の流出で保存が心配されている。

国後島までわずか16km。

ハマナス。

エゾカンゾウ(ニッコウキスゲ)だ。

そして車は羅臼を目指した。・・・・・・つづく。

 

 


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