京都(6):「夢から醒めた夢」観劇 [観劇の記録]
テーマ「とうふ」のもと、哲学の道で夏なのに「京ゆどうふ」をいただき汗だくの自分。散策の果て、再びバスにのり京都駅へやってきた。つぎはいよいよ、京都劇場で「夢から醒めた夢」を見るのだ。
今回、なぜ京都に来たか?というと、奥さんの会社の友達がこの時期に京都旅行を企て、好きな演目の「夢醒め」を早くから購入していたことから始まっている。せっかくの遠征と観劇なのに、仕事の都合で果たせなかった「思い」を(^^; ちょうどいいから、果たしてしまおう!という企画だったわけだ。つまりチケットをもらって。。。
それにしても、京都は一旦晴れると暑い暑い。木陰の哲学の道はまだ良かったが、南禅寺近くの普通の道を歩くはめになってからは、風情も何もあったものじゃない。そして、バスに飛び乗りやっと戻ったJR京都。
暑い。体冷やさなきゃ。
てなわけで、伊勢丹の「都路里」で氷を食べることに。体の中から冷やす以上に効果的な事はない。
ふう。。。
やっと体が普通にもどった。ふと気づくと冷え性のわが奥さんは震えている。やり過ぎたか?
あまり時間はない。伊勢丹の向かいの京都劇場へ。
京都劇場では今、「夢から醒めた夢の」上演中。
「夢醒め」はロビーのイベントが有名。殿様商売の東京の公演でさえ、やられている。
夢醒めは東京でもイベントがあるが、ここ京都でもかなり気合がはいっていた。劇場中のイベントマップ。役者さん、ご苦労様です。
今回は都路里でしこたま並んで氷を食べたせいで、開演ぎりぎりの入場。もっと、楽しめばよかったと心残りも。
さあ、夢醒め観劇。舞台の紹介はこちら
劇団四季公式サイトのステージガイド をまずは。。。
以下は劇評になる。
「夢から醒めた夢」は限りなく学芸会に近い。
素人劇団でもできそうな演目だが、それは間違いなく学芸会になる。
そもそもが日生名作劇場、子どもミュージカルから一般ミュージカルになった作品。子どもが主役。「みんなのために」=献身や、いのちの大切さが台詞にそのまんま乗ってきて、とても道徳的。小学校の教科書にあって不思議がない。文部科学省にはうってつけだろう。かわいそうな子どもたちが出てくるがほぼ新人。なれない四季の発声で語り歌われた日には冷めた鬼の心がメラメラとたぎる。学芸会に払う金はネーズラっ。。。。
そんなキワキワの演目を、保坂(ピコ)の個性や、光枝(デビル)のオカマキャラでしのぎ、照明の力と、加藤敬二の振り付け構成の派手なエンタテイメント性でプロの違いを保ってきたのがこの演目。国際舞台に出す野望もあったらしいが、挫折したらしい。芸術性でいえば、B級だろう。
そこまで言ってなんだが、自分はこの作品には泣ける。かなり好きだ。
自分にとっての泣かせのツボがある。
まず、死んだ者の思いでこの世に返ってしまうモチーフ。映画で言えば、「ゴースト」や大林監督の「ふたり」。最近で言えば、「今あいに行きます」だろうか?そうでなくても、番組改編期の特別ドラマとかで、いちいち、「泣く」。ちょっと立場が違うが、一番泣いてしまって悔しかった「鉄道員(ぽっぽや)」も、それかもしれない。
自分はこの演目に思う。ピコの霊界空港の話はどうでもいいから、「マコ」の場面をやって欲しい。
その意味では自分はこの演目は30分でいい。
ただし、霊界空港の場面にも泣きどころがある。それは「愛をありがとう」という歌で語られる。そのメッセージはひとつ。「自分たちは本位でなく死んでしまった。君が生きているのなら、それは絶対に大切にしなけれなければならない」。生きられるものなら生きたかった。その思いがあるからだ。
一番の泣きどころは、生と死の入れ替わりの儀式だろう。そこには、「二人の世界」という三木たかし作曲の曲と、これだけは変わらない昔ながらの振り付けがある。冒頭で生きているピコと幽霊のマコが入れ替わる時、ラストでそれが戻る時、共にこの曲で入れ替わる。それは重い。限りない想像の果てにある、生と死の境界。B級の脚本かもしれないが、この場面にはかなわない。いつのまにか目や鼻から何かがドーっと流れている自分に気づく。
照明が演出している。生きている存在は大きなスポット、死んでいる存在は小さいなスポットがあてられている。そして、生と死の世界を交換するとき、いままで生きていた片方は、ちいさい光の中で「その世界」に走っていく。消えていく。
生と死の壁。涙ながらの現世での親子の名残。ばかみたいな死後のエピソード。でも、「生きている」こと「生きていた」ことには絶対の思いがある。
現世に戻ったピコは最後の場面で、唄う。死の世界に旅立ったマコ。霊界空港で出会った人々。みんな、身近にいるが、見えない存在。順番に姿の見えない、スポットライト光でそれが現される。「みんな光になったのね!」
学芸会か?安っぽいか?その通りなのに、なんだか泣いてしまうこんな作品。
それもいい。
ところで、今回のキャストは、以下の通り。
かなり初見の配役ばかり。鈴木涼汰は以前とは比べ物にならないほど、自然に演じられるようになった。川原さんもオカマキャラが光枝さん程笑かしてくれないが、イイ感じだった。吉沢梨絵はなかなか元気だし、かわいい。一つ難をいえばクライマックスで最高音が「ほーー」になってしまうのは残念。音域と声量がもっとあれば。ま、でもいいか。
さて、旅行の目的と義理は果たした。夕食だ。近場ですまそう。伊勢丹のレストラン街、「不二乃」で創作とうふ料理をいただくことに。本日の食事のテーマは「とうふ」なのだ。
to be continued....
こんにちは!はまりましたよクレイジー・フォー・ユー。こんどはマジョリンを観る予定です。
by pericles (2006-08-03 08:56)
>periclesさん
おお@@ マジョリンと来ましたか?年末に教育TVでやってたのを録画したですよ。そんなことはいいか。
観劇レポを期待してます。
by かるきん (2006-08-03 22:04)
>なれない四季の発声で語り歌われた日には冷めた鬼の心がメラメラとたぎる。学芸会に払う金はネーズラっ。。。。
とっても共感したと楽しい言いまわしで爆笑してしまいました!
私も一度演技をミスられたときは・・・なぬぅ?!となってました。
名古屋で上演が始まるので見に行こうかどうしようか考え中です(笑)
京都…行ってみたいです(^^)
by マユ (2006-08-03 23:59)
>マユさん
あ、こちらにコメントありがとうございました。
京都も名古屋なら、もちょっと軽くはいけますね。
それはとりあえず、いいか悪いか、名古屋で一度見るといいと思います。何か思うかと思いますし(^^;
by かるきん (2006-08-04 00:56)
こちらにもレスを。
>そこまで言ってなんだが、自分はこの作品には泣ける。かなり好きだ。
同感です。なんかもやもやしてどうしようもない時は、このミュージカルのCDを聴いて、涙していたりします。
そう言えば、いまの演出になって初めての公演(保坂ピコ)の時は、拍手が鳴り止まなくて、終いにはオールスタンディングオベーションになって、保坂さんが戸惑いながら一人出てきてのカーテンコールがあったのを思い出します。
カーテンコールの最後に主役だけが出てくるのが追加されたのはこのときからだったのかな?はて?
by たまご博士 (2006-08-05 22:05)
>たまご博士 さん
こちらにもコメントをどうもありがとうございます。
そうですか。そんなカーテンコールがあったですか。加藤振り付けのリニューアル版で変わったのですね。
しかし、保坂さんのピコの「間」みたいなものは絶妙ですよね。あとの人たちが自分はどうするか?考えるんでしょうね。
by かるきん (2006-08-06 00:36)