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オレステス☆蜷川幸雄演出、藤原竜也、中嶋朋子 [舞台全般]

東京に行く前に観劇の感想を書いておこうと思います。
先月の「魔界転生」も書いておりませんが(もう諦め)、
とりあえず書けるとこから書いておかなくちゃ!
ちなみに、今週末もG2さん演出作品を観る予定です。
初めてのグローブ座です~。松岡くんに会ってくるわ。^^

まずは「オレステス」。今回のチケットはお友達が声を掛けてくれたの。
とっても観やすいお席でした。ありがとうございました。(^O^)

以下、思いっきりネタバレしてますので、ご注意くださいね。

【観劇日】10月7日マチネ、10列下手側、シアター・ドラマシティ
【出  演】藤原竜也(オレステス)、中嶋朋子(エレクトラ)、北村有起哉(ピュラデス)、
  吉田鋼太郎(メネラオス)、香寿たつき(ヘレネ)、横田栄司(プリュギア人)、
  田村真(知らせの者)、前川瑤子(ヘルミオネ)、寺泉 憲(アポロン)、
  瑳川哲朗(テュンダレオス)、ほか

いきなりラストから書くというのもなんですが、
蜷川さんにしては珍しく(?)めでたく大団円を迎えます。
私が観た蜷川演出でこういう大団円は「ペリクリーズ」以来です。
ギリシャ悲劇と銘打ってあったので、これにはちょっとびっくり~。
パンフレットの解説によると、ギリシャ悲劇の場合には、
ラストはハッピーエンドでも構わないんだとか。

悲劇的な最後よりも私は好きですけど、かなり唐突な終わり方。
不幸の中で行き詰ったオレステス達に天から声が降ってくる。
出口の見えない深い闇夜の中に煌々と光りが射すかのように。

それは神の神託・・・。

そんなラストを割とすんなり受け入れられたのは、
ギリシャ神話の解説を少しでも読んでいたおかげだと思います。
神の力は絶対なんだということで、妙に納得しちゃった。 ← 単純
ギリシャ神話に出てくる名前が台詞の随所に散りばめられいて、
読んだ直後で楽しかったというのもあります。(嬉しがり~)
今回の事件の背景となるトロイア戦争の概略を少しでもわかっていると、
やっぱりおもしろいと思いますしね。^^

阿刀田さんの本のよさはギリシャ神話そのものの解説だけでなく、
例えば、ギリシャ劇特有のコロスのことや、古典劇での「三・一致の法則」に
関しても簡単にですが解説してあることです。原作そのものなのか、
蜷川さんの演出なのかわかりませんが、今回は「三・一致の法則」に
なっていますよね。”時の一致”、”場所の一致”、”筋の一致”。

☆ダーリンから質問があったので補足です☆
  【コロス】コーラスの語源ともなった演劇用語。ギリシャ劇特有の演技者群で集団で一つの役を演じる。
  【三・一致の法則】作劇場のルール。一つの芝居の始まりから終わりまでに、
   24時間以内の出来事でなければいけないというのが”時の一致”、
   場面は一つの場所でなければいけないというのが"場所の一致”、
   一つの筋を中心にして、ほかのエピソードなどを交えることなく
   大団円に向かってまっすぐに進行しなければいけないというのが”筋の一致”。
   このルールに従っているのかどうか不明ですが、三谷幸喜さんの舞台はこういう形式が多いですね。

では、こういったことを知らなくても楽しめたかどうか?
これに関しては好みがわかれるというか、賛否両論でしょうね。
台詞が難解だし、取っ付き難いところが多いですからねえ。
蜷川さんの舞台は難しい演目が多いですが、いつも以上かな。
コロスも取って付けたように感じるられる方もいてはるでしょう。
わかっていても、コロスは私にもちょっと微妙でしたし・・・。
いいのか、悪いのか、一度観ただけではよくわからない。

実際、この日の客席の反応はイマヒトツ?な感じでした。
藤原くんの舞台でこんなにスタオベ率が低いのは初めてです。
カテコも2回だけで、凄くあっさりしてました。
私はおもしろかったので、「あれ?」って感じでした。
役者さん達の気迫は凄く伝わってきてたと思うんですけどねえ。

なんせ、この舞台は役者さん達は肉体的に大変なの。
(蜷川さんの舞台ではそういうところが見え過ぎたりするから、
その点があまり好きじゃないとこですけどね~)

蜷川さんの舞台はいろんなものが降ってきますけど、
今回は雨でした。しかも土砂降り。ともかく凄いのよ~!!!
雨の量がハンパじゃないの。その中で喋るのは至難の業だと思う。
マイクなんて使ってませんから。土砂降りの中で演技すること自体、
体にも相当負担がかかっているはず。しかも何度も降るのね。
ちょっと降らせ過ぎだよ~。観ている私まで疲れちゃうくらいでした。

その雨の中にいる時間が一番長かったのが、中嶋さん。
幕が開いてしばらくすると雨が降り出し、中嶋さん一人が喋り続ける。
少し声がかすれている時があって、お疲れなのかなと心配しましたが、
後半はよく出ていました。びしょ濡れでの演技は凄い迫力。
もう少し艶っぽさが出ると、もっとよくなるんじゃないかなと思います。

舞台は緩やかな坂になっているので、座席に向かって水が流れていました。
舞台の手前下で水を受け止めて排水できるようにしてるんでしょうけど、
スタッフの方達も毎日大変でしょうね。止んでは降り、また止んでは降りで、
雨が止んでいる時も水浸しのままです。その状態で休憩無しのノンストップ。

藤原くんとか、濡れた床の上を恐怖に慄きながら激しく動きまわるから、
怪我しないかとハラハラしちゃう。でも、そんなことはお構いなしに芝居を続けていく。
その姿には圧倒されます。いつしかハラハラすることもなく見入ってました。
藤原くんの声は相変わらずよく届きますね。今回の喋り方は私は好きだなあ。
半裸状態はちょっと苦手ですけど。(^^;)これはあくまで私の好みの問題。

北村さんはメタルマクベスの時には好印象でしたが、
今回は物足りなく感じて気になった。ラスト近くで急に変化して、
気迫を感じられるようになりましたけどね。残念~。

吉田さん、瑳川さんはさすがの迫力ですね。衣装がかなり重たそう~。
このお二人は雨に濡れなかったと思うけど、その分の試練なのかしらん?
(試練が必要かどうかは別にして・・・)藤原くんと吉田さん、
瑳川さんとの対峙は気迫に溢れてて、思わず引き込まれましたよ。

香寿さんの出番は少なくて残念~。
ヘレネのラストは・・・まあ、これもギリシャ神話ですから!

開演前にパンフレットを眺めていたら、寺泉さんのお写真があって、
いつ出てきはるのかと思っていたら、声だけなんですねえ。
素敵なお声♪アポロンの雰囲気が出てましたよ。

「オレステス」の原作は読んでいません。
きっと、私の付け焼刃の知識では理解しきれてないことも多いでしょう。
でも、全体を通して楽しむことができたのでよかったです。

ちなみに、蜷川さんがラストに追加したものが何なのか?
わかりませんが、落ちてきたビラのことなんでしょうか。
イスラエル国、パレスチナ自治区、レバノン共和国、
そして、アメリカ合衆国(他にもあるかも?)の国歌が書かれたビラ。
これが、これでもかっ!というくらい、客席に降ってきます。
現代社会への啓示???なのかな・・・。
あまりのことに、ラストの一言を聞き逃したかも?です。^^;

カテコでの藤原くんのはにかむような笑顔が可愛かった。
中嶋さんと仲良く手を繋いだりしてました。今回は大変な舞台ですが、
皆さまが最後まで怪我もなく無事に千秋楽を迎えられますように!

さて、次回の蜷川さんですが、堤さんのは東京公演しかないので、
唐沢さんかなあ。私の好きな役者さん達は蜷川さん演出に出演するのが
好きなんですよねえ。次回も何か予習していきますか。


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コメント 4

蜷川さんの演出がどうしても、しっくり来なくて
見なくなってしまったの。kanoちゃんの観劇日誌でやっぱり充分だと思ってしまった・・・。
by (2006-10-11 19:47) 

kanon

Periちゃん、ありがとう♪
そーなのよーー!!!私も蜷川さんのは苦手なの。
大好きな役者さん達が出なければもう観ない。
でも、皆さん、次々に出演されるのよね。とほほっ。
それだけの魅力があるんでしょう(と思いたい)。
by kanon (2006-10-12 02:36) 

これって大阪?
ラストがハッピーエンドなら見たいような気がする(笑)
by (2006-10-12 08:47) 

kanon

魔女さん、返信が遅くなっちゃって、ごめんなさい。
これは大阪ですよ。今日が大阪の千秋楽かな?
ラストはいきなり明るく終ります。ただ、その先は・・・
ですけどね。でも、嫌な後味はなかったわ。
by kanon (2006-10-16 01:10) 

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