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あわれ彼女は娼婦☆8月11日夜、三上博史、深津絵里 [舞台全般]

もうすっかり大千秋楽も終ってしまったのですが、
せっかくだから、何か感想を書いておきたくて。
(休暇で東京滞在中なのになぜ?って感じですが) 

 

えっと、我が家は二人とも蜷川さんの舞台は苦手です。
今まで4回観ましたが、悲劇ものがまず苦手だし、
台詞をとうとうと喋るのは凄いけど、感動とは別だっりするしね。
そんなわけで、ダーリンは観ないと言うので今回は一人です。
私自身もぎりぎりまで迷ってたんですけどねえ。
蜷川さんはずるいっていうか(笑)、私の好きな役者さんがよく出るんだもん。
今回も三上さんと深津ちゃんが観たくて、行ってしまいました。
でも、行ってよかった。お二人とも、とっても綺麗で、素敵でしたよー。

【観劇日】2006年8月11日L列、シアターBRAVA
【出  演】三上博史(ジョヴァンニ)、深津絵里(アナベラ)、谷原章介(ソランゾ)、
  瑳川哲朗(ボナベンチェラ、修道士)、石田太郎(ヴァスケス、ソランゾの召使い)、
  たかお鷹(リチャーデット、偽医者)、立石凉子(ヒポリタ、リチャーデットの妻)、
  中丸新将(フローリオ、ジョヴァンニの父)、有川博(ドナード)、
  梅沢昌代 (プナータ、アナベラの養育者)、戸井田稔(ポジオ、バーゲットの従者)、
  高橋洋(バーゲット、ドナードの甥)、月影瞳(フィロティス、リチャーデットの姪)

シアターBRAVAでお芝居を見るのは初めてです。
手頃な大きさで、声も聞きやすくてよかったです。
元四季劇場だけあって、お手洗いに並びやすいのもいいですね。
お芝居の途中、客席の左右の通路がよく使われてたんですが、
通路が見やすいお席だったので、その点でも楽しめました。

ストーリーについては一度観ただけでは理解し難いというか、
うーん、おそらく、何度観ても、あの結末は私には意味不明?かと。
原作を読めばわかるのかもしれませんが、時代背景とか、
宗教観がかなり色濃く出ているので、心情的にかなり難しい。
女性の処遇がかなり低いし、教会の権力が理不尽なくらい強いし、
欲と権力と、あとね、やたらと「復讐」という言葉が飛び出してくる。

なんのためにみんな復讐しようとするのか・・・?
復讐のためなら、人の命を奪ってもいいものなのか・・・・・・??

私にはわからない。それでも途中まではよかったんだけどね。
あの結末は理解不能でした。そんなわけで、そういう疑問は置いといて、
好きな役者さん達の感想をだけでも書いておこうと思います。

その前に、衣装はどれも素敵でした。
皆さん、似合ってはりましたね。ライティングもそうですが、
上品というか、上質さは蜷川さんならではって気がします。

三上さんはとても痩せてはりました。
悩める青年の役作りのためなのかもしれません。
頬がこけてて、最初は痛々しいくらいでしたが、
でも、見ているうちに、なんだか神々しい感じさえした。
最後の行動は私には意味不明だけど、
ただ、アナベラを深く愛していることだけはよくわかる。
何か大きなもの(権力とか、世の中とか)に、
抗おうとしている象徴のような存在なのでしょうか?

深津ちゃんを生の舞台で観るのは久々です。
これがまた可愛くてねえ。可憐で清楚な佇まいには、
実年齢を感じさせない不思議な魅力が備わっている。

兄であるジョヴァンニと、妹であるアナベラの禁断の恋。
今回のポスターとか艶かしかったし、なんせ近親相姦だし、
かなりドロドロしたものをイメージしていましたが、
三上さんと深津ちゃんが演じる二人にはそんな感じはなくて、
幼い恋人同士のような純真なものさえ感じました。

谷原さんもカッコイイ。TVより舞台の方が好き。
「トップキャスター」で見ていた時は普通の印象(すみませんー)
しかなかったんですが、体格もいいし、声もしっかりと出ていて、
舞台映えする方だと思います。今回の役にも合ってたと思う。
ソランゾとアナベラでの夫婦の争いは二人とも凄く迫力ありました。

お芝居自体はこの3人を中心に動いてるんですが、
ともかく登場人物が多くて、それぞれの思惑があったりするから、
それが全体を散漫にさせているようにも思いました。
三上さんと深津さんが主役の割には出番が少ない気もして、
その点が私にはちょっと残念だったかな。

ベテランの役者さん達は皆さん素晴らしかったのですが、
なんとなく舞台が遠く感じる役者さんもいらっしゃいました。
気持ちがこちらまで届いてこない時があった。

初めて観る(多分)中では、バーゲット役の高橋さんがよかった。
ちょっと頭の足りないお馬鹿な役で、あれこれ楽しませてくれる。
彼の従者ポジオ役の戸井田稔さんとの二人のコンピが
とっても好きだったの。高橋さんは、この役をどう表現するか考えて、
パレエの要素を取り入れることにしたらしいのですが、
それがなんとも滑稽で楽しませてくれます。戸井田さんも味がある。
お馬鹿なんだけど、純粋なバーゲットだけは何も悪いことをしない。
そんな彼が一番最初に死んじゃって・・・がっくりでした。
彼が死ぬ直前、恋人役の月影フィロティスと二人で、
手を繋ぎながら、客席の通路をはしゃぎながら通っていったのですが、
黒いマントの下の笑顔が二人とも本当に楽しそうでした。
それが突然、ソラゾンと間違われて、理不尽にも殺される。
死ぬ直前でさえ、フィロティスのことを気に掛けるバーゲット。
なんだか、思わず涙が出てきてました。

この後からが私にはちょっと長かった。
2幕の途中、隣のおばさまとか寝てはるしー。(汗)

終った後は意味不明なのもあって、私の中ではもやもやしていて、
スタオベするような気分にもなれなかった。あっ、でも、役者さん達には、
一生懸命に拍手をしてましたよ。客席の皆さまの反応も微妙というか、
どう思われてるのか?ちょっと掴みきれない感じでした。
それはキャストの皆さまも感じていたのか、3回めのカテコで、
ようやくバラバラ立ち始めて、ほぼオール・スタンディング?になった時、
皆さまの顔がぱっと輝いたような気がしました。
谷原さんが「うぉーーーっ!」て感じで拳を上げはったりしてね。
めっちゃ笑顔になってて、こちらまで嬉しくなりましたよ。^^

実はね、私もこの時に立たせて頂きました。
だって、三上さんと深津ちゃんを見ていたかったから。
このお二人、カテコの時もジョヴァンニとアナベラだった。
少なくとも私にはそう思えた。静かで穏やかな笑顔。
不思議だけど、終った後のもやもやした気分よりも、
今はこの時のお二人の笑顔を思い出すのです。
終わりよければ全てよし!ではないけれど、
このカテコの二人の笑顔で救われた気がするのね。
日が経つにつれ、余計にそう感じます。
カテコが終るたびに、三上さんが深津ちゃんの手を取って、
二人で嬉しそうに下手にはけていくのね。
深津ちゃんを振り返る時の三上さんの目が優しくてね。
その様子が本当に幸せそうなの。
いつまでも見ていたくなるようなお二人でした。

そんなわけで、「オレステス」も観ようかな?
藤原くんが出るしねえ。^^

 

8/19追記: 東京からの帰りの飛行機の中で、
acteur(アクチュール)の9月号を読みました。
三上博史さんのlong reportage。

やはり、今回の役作りはかなり大変だったようですね。
稽古に対する真摯な姿勢や、お芝居や蜷川さんに対する思い。
三上さんだからこそ、胸に響いてくる内容でした。
本番が始まってからも肉体疲労は凄まじかったようで、
でも、そんな中から生まれたジョヴァンニは、
清々しいものさえ感じさせるくらい研ぎ澄まされていた。
そして、カテコの時の全てを包み込むかのような優しい笑顔。
しばらく忘れられそうにありません。

本当にお疲れさまでした。
しばらく、ゆっくり休んでくださいね。


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コメント 4

マリーロビンソン

マリーも三上さん・深津さん・谷原さんが好きなので、
「これ見たいなぁ」と思っていたんですが…そうそう、蜷川さんなんですよね。。
難しいの書かれるし、長ゼリ多いし、…頭で見る舞台ですものね。。
マリーも疲れてしまいそうでやめました(^_^;)でもちょっと見たかった。。。
by マリーロビンソン (2006-08-18 21:29) 

もも

私は深津さんが好きなのと、三上さんの舞台を観た事がないので行きました。
一幕は結構睡魔と闘ったんですけど、二幕は見入ってしまいました。
理解出来ない事もありましたけど、私もkanonさんと同じように、二人の凛とした、清冽なお芝居に引き付けられました。
「オレステス」観にいきます。
by もも (2006-08-19 11:18) 

あっ!私も見てみたい感があった。
でも、蜷川さんってだけで、難しそうだと即座に却下しました。

三上博史もふかっちゃんも好きなので、見たかったです。
by (2006-08-19 21:15) 

kanon

三上さん、深津ちゃんはやっぱり人気ですね。
蜷川さんのお芝居への印象も結構似てて、おもしろい。
今回は観てかったと、日が経つ程にそう思います。

★マリーちゃん、ありがとう~。
おお!3人とも好きなのね。皆さん、とっても素敵でしたよ。
蜷川さんのは難しいものが多いよね。今回もそうでしたが、
でも、今までと違って、頭で見るよりももっと感覚的なものが
強かったように思います。俳優さん達の魅力のせいかな。
そして、それを引き出しているのは蜷川さんなのかもしれません。

★ももさん、こんにちは。^^
初めての三上さんの舞台を堪能されたようで、
よかったです。お二人とも本当にきれいでしたね。
藤原くんも大好きな俳優さんなので、
「オレステス」も楽しみになってきました。

★魔女さんも見てみたかったのね。
そうなのよ、蜷川さんだからねえ。私も迷いました。
でも、今回は見てよかったよ!
by kanon (2006-08-20 01:23) 

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