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マラーホフの贈り物 A GIFT FROM MALAKHOV 2006 プログラムA [クラシック]

2006年2月24日(金) ゆうぽうと簡易保険ホール 18:30開演

【プログラムと出演者】

第1部
・ 「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」 音楽:ロッシーニ
  ジュリー・ケント(アメリカン・バレエ・シアター)&ウラジーミル・マラーホフ

・ 「菩提樹の夢」よりアダージョ 音楽:シューマン
  ポリーナ・セミオノワ&アルテム・シュピレフスキー (ベルリン国立バレエ団)

・ 「椿姫」 音楽:ショパン
  ルシア・ラカッラ&シリル・ピエール (ミュンヘン・バレエ団)

・ 「ファラオの娘」 音楽:プーニ
  マリーヤ・アレクサンドローワ&セルゲイ・フィーリン (ボリショイ・バレエ団)

第2部
・ 「白鳥の湖」より第2幕 音楽:チャイコフスキー
  ジュリー・ケント&ウラジーミル・マラーホフ、
  高岸直樹 東京バレエ団

第3部
・ 「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ" 音楽:チャイコフスキー
  ポリーナ・セミオノワ&アルテム・シュピレフスキー

・ 「ライト・レイン」 音楽:ダグ・アダムズ
  ルシア・ラカッラ&シリル・ピエール

・ 「ドン・キホーテ」より"グラン・パ・ド・ドゥ" 音楽:ミンクス
  マリーヤ・アレクサンドローワ&セルゲイ・フィーリン

・ 「ヴォヤージュ」 音楽:モーツァルト
  ウラジーミル・マラーホフ

*****

永遠のプリンス、ウラジーミル・マラーホフ☆☆☆
現在、ベルリン国立歌劇場バレエ団でプリンシパル兼芸術監督として
活躍する彼が、世界中から美男美女を率いて東京・五反田に乗り込んできました!!

今回同行するのは、当ブログちょい役レギュラーとして定着しつつあるM本氏。
この2月より我が職場にやってきた新しい仲間、H瀬嬢。
そして、今夜の特別ゲスト。
当ブログでもよくコメントを寄せて下さっている”某友人”殿です!!
私の歌舞伎道の師匠でもある、とてもラブリーな友人です☆

では、さっそくレポへ参りましょう。

【カンゲキレポ】

今宵の舞台は全幕ものではなく、古典作品のハイライトと新作をちりばめた
いわゆる「ガラ形式」の舞台。出演するダンサーの個性を充分に発揮できるようにと
熟慮を重ねたプログラムであったな、というのが観劇後の第一印象です。

Aプロ、Bプロとあって、私たちが観賞したのはAプロ。
プログラムは日によって替わるのですが、これがまた、ニクい構成でして…。
「Aプロのこの作品、観たいなー。えっ?Bプロでこれやるの!?こっちも観たい!!」
と思わせるように、ちゃんと構成されているんです。
「マラーホフめ……おぬし、やりおるな…」といった感じです(笑)。

***

その抜群の身体能力と高い芸術性で、世界中のバレエファンを虜にするマラーホフ。
彼のバレエに対する情熱、仲間に寄せる信頼、ファンへ対する愛情を強く感じるのと同時に
それ以上に彼がファンや仲間に深い愛情と信頼を寄せられ、バレエという芸術に愛されている
存在なのだな、と感じる舞台でした。

まずは第1部のプロローグ、「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」から早速登場。
今宵のパートナー、ジュリー・ケントとコミカルなパ・ド・ドゥを繰り広げ、
早くもイキのあったコンビぶり。

客席の方は最初のプログラムがこんなに楽しいものになるとは想像していなかったので、
(少なくとも私は)最初は反応にも戸惑いがありました。でも、マラーホフ&ケントの
素敵なコメディアン&コメディエンヌぶりに引きこまれるようにして笑い声がこぼれ始め、
和やかで楽しい雰囲気の中で、今宵の夢が始まりました。
(これもマラーホフの作戦だったのかも!!)

***

続いての登場は、第2部。「白鳥の湖」第2幕です。
作品中でも超有名な、白鳥(オデット)と王子が出逢うシーンです。

ここではプロローグでのコミカルな部分とは正反対に、
抜群の身体能力と技術力に裏打ちされた「正統派」の踊りで、
一気に客席を夢の世界へと誘います。
滞空時間の長く、美しいジャンプ。寸分の狂いなくピタリと決まる着地。
女性ダンサーを支え、包み込む深い包容力…
全ての技がダイナミックで、そして情感が洗練されていて、まさに真骨頂を発揮。

白鳥(オデット)を演じるジュリー・ケントも、しなやかで瑞々しく客席を魅了。
全身からあふれ出る気品と優雅さ。突然の王子の出現に怯え、戸惑ううちに
やがて心を許し、彼の愛に身をゆだねながらも魔王(ロットバルト)に不安を覚える
「心の震え」と「愛の喜びと恐れ」を、指先まで神経の行き届いた
美しい白鳥の舞で表現しました。

コール・ドを勤めた東京バレエ団の群舞もとても素晴らしかったです。
あれだけの白鳥が舞台に勢揃いすると、それだけで夢心地ですね~。

魔王を演じた高岸直樹さんは、東京バレエ団メインダンサーとして主役を踊られる方。
今回の役どころは、実はかなり貴重だったのでは…!!
オデット姫の運命を握る重要なバイプレイで、存在感のある踊りでした。
ばっさばっさと羽根を震わせるところが、個人的にツボでした(笑)。

***

さてワタクシ、今年から月に1度という何とものんびりしたペースで
バレエ入門講座を受講しているのですが、今回、少しながらその成果が出たようです。

講座は、バレエの歴史や用語の由来を学びつつ、「白鳥の湖」のビデオを
参考しながらその動きを確認する、といった方法で進められてきました。
そして、バレエの舞台には「形式的・図形的な踊り=グラン・フィナーレ」と、
物語的・パントマイム的な踊り=「アントレ」が相互的に役割を果たしているのだと。

今回、この第2幕を見ただけでも、先生のお話をさらに確認する事が出来ました。
ちなみにケントのオデットは、ダーシー・バッセルほど細かくはありませんが、
パントマイムで自分の身の上を語っていました。

今回の舞台では、その形式と構成を再確認すると同時に、
ひとつひとつの振りの意味をより鮮明にとらえられるようになりました。

これまでは、
「綺麗だな~、美しいなぁ~(でも、何て言ってるのかな…)」
と言う感じで漠然と観ていました。

今回の舞台では、
「今、オデットは『私の仲間を射ないで』ってお願いしているのか、
あ、王子は『もうあなたの仲間を狙うことはしません』って約束しているんだな」
と、その中で展開されていた「コミュニケーション」が伝わるようになり、
よりクリアな感覚で舞台に集中することができたのです。

月1とは言え、侮れないぞ、バレエ入門講座!!

*****

あとは、特に印象に残ったダンサーを書き留めておきます。

まずは、ミュンヘン・バレエ団のルシア・ラカッラ。
第1幕「椿姫」では、病に倒れながらもひたすらアルフレッドを恋い慕う
ヒロイン・マルグリットの純粋で一途な面をたおやかに表現。

恋人が自分のもとへ駆けつけてくれた喜びを、一瞬にして花が開いたかのような
鮮やかさで、一気に客席を物語の世界へと引きこみます。
そこから続くパ・ド・ドゥは、2人の結末を暗示するかのように、美しさのなかにも
どこかもの哀しさが秘められていて、幻想的で切ない世界でした。

第3部の「ライト・レイン(光の雨)」では、インド舞踊のような動きの中で
持ち味である驚異的な柔軟性と活かします。本当に、すごい柔軟性ですよ、この方は!

未明の闇の中、夜明けのかすかな光の粒子が踊りながら蓮の花に降り注ぎ、
蓮はその光を受けて花開く…というイメージの作品なのだと思うのですが(あくまでも推測)、
その表現力と柔らかさ(それしか言葉が出てこない)は素晴らしいものがあります。

もう1人は、ボリショイ・バレエより登場のセルゲイ・フィーリン。
とにかく、素敵なジャンプ力!!大きく伸びやかな跳躍で客席を興奮の渦に。
そして、見事な腹筋!!(笑)いやぁ~、素敵…。
男性の皆さん、男はやっぱり腹筋ですっ!!(大笑)

***

日本公演のみ特別に加えられたというフィナーレは、各コンビが踊った
プログラムをそれぞれ上手くつなぎ合わせて特色や個性を生かした構成になっていました。
演出家・マラーホフの実力を垣間見るひと時でした。

本当に、「良い夢見せてもらったわ~~~~☆☆☆」という感覚で家路につきました。
宝塚歌劇や歌舞伎とはまた違った感動でした。

それにしても、本当に良かった…☆

*****

劇場からの帰路、電車に乗っていると、
バレエ初体験のM本氏がぽつりと呟きました。

「俺も、白鳥に囲まれたい…」。

M本氏にとっても、今宵の舞台は夢の世界だったようです(笑)。

今日のお星さま…★★★★☆ (マラーホフと仲間達に乾杯☆)

ウラジーミル・マラーホフ

ウラジーミル・マラーホフ

  • 作者: インゲボルグ ティヒー=ルーガー
  • 出版社/メーカー: 文園社
  • 発売日: 2005/03
  • メディア: 単行本


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コメント 2

“某友人”

ダンサーとしては勿論ですが、演出家・アーティストとしてのマラーホフの魅力に浸れましたですね。 「ファラオの娘」男性舞踊手の衣裳がおなかの部分がないため、腹筋がよく見えました(笑)。思わずオペラで観察してしまいました。
by “某友人” (2006-02-27 17:13) 

★とろりん★

”某友人”殿、金曜日は素敵なひと時を一緒に過ごせて、
とても嬉しかったですね☆私もオペラで腹筋を観察してました(笑)。
本当に、素晴らしい腹筋でしたね~(って、それしかないのか>笑)
by ★とろりん★ (2006-02-27 19:13) 

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