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6月25日(月) シンポジウム「にぎわい先導都市・新宿を語る-都市間競争の時代に-」 [まちづくり]

6月25日(月) シンポジウム「 にぎわい先導都市・新宿を語る-都市間競争の時代に-」(主催:新宿区)が紀伊國屋ホールにて開催された。新宿駅周辺地区は、日本を代表する繁華街であり、今後とも世界に開かれた「にぎわい先導都市」として機能していくことが求められている。地下鉄副都心線の開通を1年後に控え(平成20年6月開通予定)、大きな転換期を迎えるといわれる新宿駅周辺地区。この地域のにぎわい創出の要となる新宿駅東口4商店街振興組合(新宿大通・新宿駅前・新宿東口・歌舞伎町)の各理事長と学識経験者を交え、新宿駅周辺地域の今後のまちづくり方針、地域の将来ビジョンについて語り合うというもの。

6月25日(月) シンポジウム「 にぎわい先導都市・新宿を語る-都市間競争の時代に-」

新宿駅東口駅周辺地域の各商店街振興組合の分布図

中山弘子新宿区長

パネルディスカッションの前に、中山区政における新宿駅周辺地域の整備方針について概略を説明。

「昨年の11月に二期目の区長選挙があったわけですけれども、その区長選挙の際に区民の皆様とのお約束としてマニフェストに50項目の重点施策を掲げました。その50施策の中に、新宿駅周辺地区の街づくりに関する項目として6項目を掲げている。一つは、玉川上水を偲ぶ流れの創出、二つ目がオープンカフェ展開、いわゆる道路を賑わいの交流空間として活用するオープンカフェの展開、三つ目に歌舞伎町を大衆文化の企画・生産・消費の拠点の街として再生する、四つ目が新宿駅東西自由通路及び来年の6月に開業が予定されている地下鉄副都心線へのサブナードの接続、都市計画決定、五番目として新宿駅東口地区に歩行者専用空間としてモール化等々、六つ目としては新宿駅周辺地区へのコミュニティバス導入と6項目を掲げた。これは、新宿が30万区民の住まう街であると同時に、新宿の街は多くの来街者においでいただいて元気になっている街でもある、人々の暮らしにとって賑わいや交流というのがとても必要な楽しいことであるということで暮らしやすさも賑わいも一番の、みんなで担っていく自治の街を新宿は目指したいというなかでの、この六つを駅周辺のことで
掲げたわけです。これらは、都市マスタープランの中でも位置づけられているものもありますし、モア四番街のオープンカフェの社会実験など地域の皆様との協働によりすでに具現化しているものも一部あるが、新宿駅周辺の街づくりはコレからが本番であり皆様と共に推進してまいりたいと思います。

さて、地下鉄副都心線開通を明年にひかえ、沿線の都市である池袋、渋谷、遠くは横浜、そして新宿を中心とした都市間競争をキーワードとしたマスコミ報道を最近よく見聞きするようになりました。事実、各都市では多額の資金を投入して、いくつかの大型デパートが改装工事に着手するなど生き残りをかけた戦いが始まっていることも事実です。しかし、私は競争によって新宿だけが発展すればいいという考え方は、かえって新宿の発展にとってマイナスになるのではないかと考えております。都市にはそれぞれの特徴や歴史があります。また、人々はそれぞれその時々のニーズにあわせて、そのニーズを満たす街を訪れることで多様なライフスタイルを享受することが出来ます。
その意味から、大切なことは、それぞれの都市が創意工夫をこらし、その都市のアイデンティティを高めることによりその都市ならではの持続的にその街として努力を積み重ねていくのが大切ではないかと思っています。したがって、新宿駅周辺地区においても、都市間の競争という視点だけではなく、新宿力とも言うべき、新宿の地勢条件でありますとか、歴史や文化、芸術、経済活動を背景に、新宿がこれまで培ってきた豊かな地域の力を、多様性・先端性を受容する都市としての懐の深さを背景にして、新宿に集まる多種多様な人々のもつエネルギーによって賑わい先導都市・新宿をつくりながら、他の都市とあいまって共存共栄していくことが、新宿にとっても多くの人々にとってものぞましいものであると私は考えております。新宿の強みを生かすと共に共存共栄していく街づくりを目指したい。
新宿駅周辺地区の街づくりは、西口東口南口の全てを視野にいれて推進していくべきことは論を待ちません。その上で、地下鉄副都心線が開通するという大きな転換期を迎えている東口を中心に今日はお話をしたいと思います。

昭和37年ごろの新宿通り

言うまでも無く、新宿は江戸五街道の一つ、甲州街道の宿場町、内藤新宿としてはじまり、第二次世界大戦で一面焼け野原となったものの戦災復興を経て現在まで日本一の繁華街として歩み続けてまいりました。今日お集まりの皆様の中にも、戦後の復興を担った方々が多くいらっしゃることと思います。このような歴史の文脈の中にあって、地下鉄副都心線がJR東日本の乗車人員の第1位から4位、新宿・池袋・渋谷・横浜の駅を全て含んでいることを考えますと、新宿の賑わいと言うものがさらに姿を変えて将来に受け継がれていくチャンスでないかと思っています。また池袋と渋谷はJRの駅と駅が隣接されているのに対し、新宿は新宿三丁目ですからJRの駅と約400m離れています。このことを捉えて、新宿は通過点になるのではないかとの意見もあるようですが、私はみしろ池袋・渋谷には無い特徴であって逆に積極的捉え方をしています。具体的には新宿駅から新宿3丁目を新宿通りを軸とした、多くの人々が行き交う道路としての交流空間、駅のプラットホームと言う風に捉え、積極的に回遊性の高い歩行者中心の空間を創っていくことが必要でもあるし創ってゆきたい、そんな風に考えています。

具体的な施策について簡単にご紹介します。まずはじめに、新宿駅の東西自由通路です。新宿駅改札前の青梅通路を自由通路と、国庫補助制度を活用して整備するものです。現在、整備形態の協議をJRと関係者間で進め、計画内容が具体化しつつあります。今後詰めの作業を行って今年度中の都市計画決定を目指しています。次に、駅前広場ですけれども、駅前広場を車中心から歩行者中心の広場に再編整備できればという風に考えています。駅前広場は東西自由通路の出口にあたるため、関連して考える必要があります。施設管理者である東京都やJR東日本など関係者と今後検討を行っていきたいと考えています。つぎに、靖国通りの地下通路の延伸です。既存のサブナードと地下鉄副都心線のコンコース間を歩行者ネットワークとして整備するものであります。東京都等と延伸にむけた整備方針・計画を策定するために、調査方法について現在協議を行っておりますがこれも本年度中に都市計画決定を目標としています。また、あわせてここは道路としてだけなのか、地下街を整備するのか地下駐車場の整備が必要なのか、こういったこともあわせて検討しています。次にモール化ですけれども、新宿通りを中心に地元および交通管理者等と協働して進めてまいりたいと考えています。駅周辺のモール化のための実現には、これは地元の皆様から荷捌き車両の抑制・交通処理のご協力をいただくことが不可欠となりますので、実際に実現するためには十分な話し合いが必要と考えています。また、新宿通りについては、立派な街路樹を設置したり、景観法に基づく景観重要道路の指定、伊勢丹の屋上庭園を良い例とした沿道建物の緑化、目に見える緑の量を増やしていきたい、そういった良好な景観を形成していくことが必要なのではないかと考えています。

いずれにいたしましても、街づくりのプロセスでは、利害や考え方がぶつかることも事実です。しかし、そのような状況が起こったとしても、粘り強い話し合いによって合意点を見出しながらルールを作り上げていこうとする共同作業によってのりこえて行くことができると考えています。人は、ビジョンと志を共有できたときに、物事は大きく一歩進むことが出来るのではないでしょうか。街づくりの成否を左右するものは、街の人たち同士がお互いにの連携を更に強化するとともに、行政が専門性を発揮してその合意形成の前提となるたたき台や方向性を、的確に果たしていくことが重要であると考えております。そうした意味から、街では近年、新宿エイサーまつりなどを通して、街の皆さんの連携が強化されてきていることは素晴らしいことであり、本当にたのもしく思っております。今日のシンポジウムをきっかけとして、新宿駅周辺地区の街づくりが更に推進されていくことを願っています。今日が、皆様と共に心を同じくする、それからこれはどうなっているんだろう、というような想像力をかき立てるはじめの一歩になれば本当に幸いです。」

◆以下、パネルディスカッションにおけるパネラーの発言を記載

コーディネーター佐藤滋(早稲田大学教授)

「中山区長は、ものすごく大変なことをおっしゃっているんですね。新宿のような大きな駅の駅前空間・中心になる大通りをモール化する、モール化するというのは基本的には車を入れないということです。駅中心に歩行者を大事にすると言う街づくりをすすめると仰っている。これは非常に大きなことで、また、是非やらなければならない。世界の潮流の中で成功している街づくりの中では、相当無理をしてでもやって成功しているのだと思う。あるいは循環バスの検討というのは、こういうものを通して公共交通を中心として歩行者を手助けしながら街を楽しめるそういった街づくりをすすめる、こういった具体的なプランを区役所の中だけで議論するのではなく、関係者の方々とオープンな議論を始めていこう、そういうことを積み重ねていって合意形成をし、あるいは修正すべきことは修正し、将来にむけて街づくりをしていこうということだと思います。」

竹之内勉氏(新宿大通商店街振興組合)

「新宿通りというのは、エイサーまつり・芸術天国のパフォーマンス、歩行者天国や各種パレードなどもここで行われる。いつも注目される場所ではあるが、この場所をどういう風にしたらいいのかということは非常に難しい問題でしてここは皆さん使われるというのはあるが、大通商店街のものではなく、皆さんがいかにここを如何に活用するかということも大切なことだと思います。ここを如何に活用するか、トランジットモールも含め非常に難しい問題が沢山あるがこれはぜひとも色んな形で実現していきたいと思ってます。」

安田眞一氏(新宿東口商店街振興組合)

「新宿副都心線という名前になりましたが、新宿三丁目を中心に地下鉄がくるというのは新宿にとって素晴らしいことでして、追分の交差点が地下鉄の開通と同時に大変な賑わいになるんじゃないかと私は思っています。それに向け、伊勢丹さんは150億、高島屋さんは130億というすごい投資をしてらっしゃいます。徐々にリニューアルが完成をして、伊勢丹のデパ地下なども開かれたわけですが、昔は紀伊國屋書店が新宿の文化発信の基地だったということですが、今はまさに、伊勢丹が最先端の文化の発信地になってきているんではないかと。確かに、私企業ではありますが、伊勢丹と言う固有名詞を使って都市計画を練っていったらさらに素晴らしいものになるのではないかと、私は率直に思っています。地下鉄が出来ますと、伊勢丹と高島屋の間にコンコースが出来、一つの回遊性が生まれる。JR新宿駅と新宿三丁目駅の間をプラットホームのような考え方にして回遊性を高めたらという話があったが、ひょっとすると、地上に出ないで全て地下を通って完結してしまう、表に出てこない危険性があるわけですね。ですから、私は新宿東口商店街振興組合の皆さんに、先日の総会でも申し上げたんですが、なにしろ街を綺麗にしようじゃないかと。新宿お掃除ブギウギという曲を作りまして、街路灯から毎日16時に音楽を流し、少なくとも路面店の皆さんは4時になったら表に出て向こう三軒両隣の掃除をする、みんなで綺麗にしようじゃないかという運動をしております。このビニール袋(↑写真、安田氏が手に持っているもの)なんですが、『おかげさまでJRは20週年』と書いてある。JR東日本が民営化されて20年、JR東日本の本社ビルが出来て10年だそうです。その3月31日に社員にJRさんが配ったんだそうです。自分達のビルの中、駅の構内をみんなで綺麗にしようじゃないかと配られた袋です。実際、駅構内は綺麗になってきております。駅ビルも昨年の4月1日にルミネエストと言うことで組織が変わりました。1年足らずの間に大変なリニュアルをしてきれいになりました。ルミネエスト、伊勢丹、高島屋、それだけ投資をして綺麗になっています。ですから、我々商店街も、みんなの力で綺麗にしよう。今までは、私の友人なんかに聞きますと、『新宿?汚いからヤダわ。臭いからヤダわ。』というようなことを言われておったんですが、それは新宿で商いをするものとして非常に恥だと思い、街を綺麗にする活動を展開しています。モール化の話は、何年も前から聞こえてくるのですが、地元ではあまり盛り上がっていないのが現実でして、土曜とか日曜の人に流れは歩道からあふれるほどですので、部分的には車を入れないようにするというのは可能ではないかと思っています。モール化は大賛成でして、ですが都市計画は地元とのコミュニケーションが取れていない部分があり、もっともっと地元の声を吸い上げた形でやられたらいいんじゃないかと思います。」

蛭川和勇氏(新宿駅前商店街振興組合)

「モア4番街ではオープンカフェをやっておりまして、来月の中旬からは第三次の社会実験を行う。公道であるため、制限も多く行政の問題もあって自由には出来ない、というジレンマもあります。商店街というのは、物を売るばかりでなく出会いの場所であり、情報の発信基地であると私は考えてる。いろいろ壮大な計画はあるが、何しろ街にも個人にもお金が無い。発言力はあるんですが、先立つものがない。そういう意味では、発言の制限もある。」

新村雅彦氏(歌舞伎町商店街振興組合)

「歌舞伎町は、怖い、汚いというイメージが全国的に拡がっていたが、国・都・区の全面的な協力により安心安全の街づくりを全力を挙げて行っている。今では随分綺麗な街になってきました。明るく、楽しい、ワクワクした街にしたいと思っています。また映画館街の再構築により大衆文化の企画・製作・発表の街を目指したいと思っている。映画、演劇、放送、あらゆるジャンルのものを誘致し、遊びも消費も文化も飲み込んだ大エンターテインメント街にしたいと考えている。」

秋山鉄男氏(首都大学東京教授)

「コミュニティバスについても、1990年代には研究に着手し、功と罪があるということは十分認識している。政治の道具にされているコミュニティバスが地方で千箇所ぐらいあるが、300箇所ぐらいはダメになっている。それをどうやって立て直すかということも研究中です。あと、バリアフリーについては、障害者・高齢者のバリアフリーを中心にやっており、計画と国のガイドラインを協力してつくっている最中です。都市間競争の時代にと言うことですが、昨年観光の授業で六本木ヒルズでやったとき、六本木ヒルズの方が発表したことで『東京らしさ』というのをお尋ねした。そのとき、来た人だけのアンケートですがトップが57%の六本木ヒルズだった。2番3番4番が青山や表参道、あるいは秋葉原だとかが30%台でした。新宿は21%、渋谷は15%、池袋は論外という結果だった。つまり、競争する必要は無い、都市間競争をやるよりはこの都市がどうやって将来生きていくかが重要だと思ってまして、交通機関をスパゲティ症候群といいますか、よく病院でベットに入れた人に全部管を入れて生かしておくという状態があるが、新宿も実は交通機関が通っていることで存在している。この交通機関が全部なくなったときには新宿は存在しません。スパゲティ症候群型の都市であるというのは事実です。そういう意味で、今一番重要なことは、競争というよりは地方との都市と連携をしてどうやって共存・共栄していくかということだと思います。具体的には、災害時の避難する高齢者・障害者の人たちがどうやって逃げられるか、その人たちを一時的に預かっていただく都市を2~30くらい協定を結ばないといけないんじゃないかということを感じています。」

戸沼幸市氏(新宿区都市計画審議会会長)

「都市計画審議会というのは、最近役割が変わってきたように思う。これまでは、行政に言われたことを賛成してくれ、という手順で流れていくんですが、最近は情報公開ということで、利害のある方など公聴会にたくさんおいでになる。審議会は、区民選出の委員、議員、それから関係団体の責任者と私どものような学系と称する専門家が集まっている。私も10年くらいお付き合いしているんですが、非常に公開性の高い中でいろいろな審議会が開かれるということが多くなってきた。そこで、審議会の会長も、さぼっててハンコを押すのではなく、相当勉強しないといけないなという感じに思っている。


そこで、注目してもらいたいのは新宿駅が東西にわかれている、つまりJRとどういう風に付き合うかとうのが実は非常に大きな問題で、本来地元の人たちの中にJRの人もいればいいと思うぐらいだ。ですから、西口と東口をどう関係付けるかというのがもう少し大きなテーマで、都市マスタープランではこれを提起した。それと、東西自由通路に関しては、25mにするか40mにするか2~3年協議して、25mでやりましょうとなった。かれこれ20年も協議してるということで、これがやっと目途がつき、しかも区長は今年区計審(新宿区都市計画審議会)
にかけると言うんです。かけるとなれば、実はそう簡単ではなくて、出た口の広場どうするか、西口とどうつなげるか見通しをたてなくてはいけない。また、お金をどうするかとか、厄介な問題もある。それを克服しようというのが区長の考えなので、いつでも受けて断ちますよ
と区計審でお待ちしてます。
以前、新宿研究会で、JRの政策責任者を呼び、JRが何を考えているか話してくれといったら、とにかくJRも将来ビジョンを持っているんだと、地上のこともあるが、JRの地下に新幹線が入ることもやがてありうるという議論をしてる。ですからJRといかにつきあうか、新宿研究会でも大きな問題で、ここは区としてもしっかり対応してもらいたい。区長さんがよくおっしゃる新宿のDNAなんですが、新宿のDNAはターミナル性、もう一つが盛り場というか、出発点が内藤新宿の遊郭から始まっているSEX産業を軸としてきた賑わい空間をどう作るか、それを歌舞伎町ルネッサンスということで再生しようという、これも世界一といえば世界一だと思うんですね。もう一つは、文化性というのを一つ入れなければならない。文化性というのは、猥雑で卑猥になっていくところを歯止めを受けるような、ちょうど拮抗するバランスが文化性にある。あと、新宿駅の上部空間、ここはやっぱり人口地盤を将来構想としてつくるべきだ。南口はあるので、こっちもかけるべきで、それをどう架けるかは知恵のあるところで、JRも含めて新宿の抱える20年30年の大きな課題で、また私の提案でもある。これはなくなった安田さんのお父さんも、また高野吉太郎さんも遺言で仰っていた。」

佐藤滋氏「新宿という街が持っている文化的、歴史的、社会的な多様性、一つ一つが極めて個性的な質を持っている。そういうものが組み合わさって新宿と言う街が出来上がっている。そういうものが持っているポテンシャルというのが将来に向けて非常に大きな街づくりの資源だと、しかし、それぞれの街の個性があるということは、個性が分立していてなかなか組み立てていかないという問題もあるのかと思います。」

蛭川和勇氏「先ほど、循環バスという話があったが、例えば地元とすれば、どこにバスストップができるのか、どこら辺のエリアで走るのか、またバスで行かれたんじゃ商店街はいったいどうするのか。通過されるわけで、商店街は商売ですから歩いてウィンドウショピングをしてもらいながら商品を買ってもらうのが、どちらかといえばいいわけで、そういう意味では循環バスはもろ手を上げて賛成はできない、こういう意見もある。また、東西自由通路については、時期ですね。5年先になるのか10年先なのか、あるいは完成はもっと先なのか。中長期的ではなく、目途を示していただければいい。こういうところには個人的にも不満がある。」

秋山哲男氏「新宿にはJRだけで74万人の乗降客がある。このうち、何人がコミュニティバスに乗るかといえば、せいぜい7~800人でしょう。そうすると0.1%、1,000人のうち1人しか乗らないんですね。あと999人は歩くんです。それを考えるとほとんど影響の無い程度、つまり新宿でコミュニティバスを使うのは外国人だったり、まったく地域をよくわからない人だったり、あるいは東と西をどうしても歩かないとならなかった人が使うだろうと。買い物に行く人は、直接歩くでしょうということであまり影響は無いというのを私は直感で感じますが、もしかすると大きな影響が出るかもしれないので、それは注意をしてちゃんと検討していこうと思ってます。それから東西自由通路については、おそらく計画をつくるということは100年先200年先のことを本来考えていくべきと私は思ってまして、第二新幹線などそういったインフラを投資するということは、将来新宿区が活き活きと伸びるということがすごく重要です。具体的に言うと、東京の大半の広場ですとか大学の敷地は、みんな江戸時代の上屋敷、中屋敷、下屋敷です。代々木公園だって下屋敷だし、東大だって上屋敷だし、そういう意味では我々はちゃんと子孫に残すインフラをつくるべきだと私は思う。そういう意味で、5年10年かけることは非常に重要で、例えば日比谷公園も明治21年から議論して20年かけてやっと創った。その間、10回くらい設計をやり直している。いいものを創ろうという意欲が明治から大正にかけてあったのですが、昭和のあと現代は、あまりいいものを創ろうというよりはお金の話や利便性が先で、そこに急ぎすぎている。」

竹之内勉氏「100年の計というのはいいことだとは思うが、実際には5年10年の街づくりをしていかないと実現性が遅い、皆さんにしても動いているという印象を持たない。何もないところで建てるなら100年の計もいいんでしょうが、もうすでに建っている、出来てしまっているなかで、それを変えていくというのは大変なことではあるが、それでもせいぜい10年くらいのタームで考えていかないと難しい。それ以上のことは、今、実際に活動し生きている、あるいは企業として、インパクトはないし、やっていくべきではないのかなと。大通りは東西に長い商店街です。そこでやるべきことというのが、身近なことで言うと、歩道や街路灯、街路樹を綺麗にする、そういったことがある。もちろん商店街としてやっていくんですが、これに対し区も協力をしていただきたい。綺麗な街にすることで来街者も増えていく、こういったことを一つ一つやっていく。しかし、必ずお金の問題が出てくるので、商店街としてもフラッグ等も含めお金をある程度稼ぐ、そしていろんなイベントもやりながら、それに対する規制の緩和を推進していただきたい。商店街がビル化し、貸しビルになっているというのが実情です。建蔽率、容積率、高さ、看板の問題、そして駐車場の付置義務これが非常に大きな問題だと私は思ってます。建て替えを進めることによって街は変わり、入るテナントによっても変わって行く。そういったことも含め、みんながよくなる街づくりを進めるべきだと思ってます。」

秋山哲男氏「100年の計というのは、むしろ行政に対し言いたいのでして、クリチバという都市はほんの30年でかなりきちっとした都市づくりをしました。オタワもそうでした。しかし、日本では筋の通った都市づくりがほとんど出来ていないのが大半です。つまり、パッチワーク型の都市が大半です。5年とか3年とかを組み立てていってもパッチワークになってしまう。使い勝手のいい、本当に最後に残せる都市を作れなくなっている。そのためには区が責任を持ってきちっとした10年20年30年の計画をする。今回のマスタープランで大半が歩行空間です。この歩行空間をなぜやるかというのを、区の職員がきちっと受け止めて、これが環境保全と、74万人もJRから降りてくる、その他からも沢山降りてくる、こういった人たちにどうやって歩いていただくかという基本コンセプトなしにはありえない話なんです。そういう意味で、10年20年30年を継続して区が計画を進める力を持っているかどうかにかなりかかっている。残念ながら日本にはそういったことの出来た首長はいない。」

安田眞一氏「わたしどもの街、人と言うのはかわらない、どこかに行くわけにいかない。その場で生活をし、息づいている。ところが、行政の方々と言うのは大抵二年ごとに転勤というのがあり、都市計画部長にしても私が知る限りもう4~5人代わっている。今回、東京都から新たに都市計画部長がいらしたので、先日お会いしたときに申し上げたのですが、何しろ在任中に足跡を残してくれと。新宿区の都市計画部長になったときにこれをやった、と言うような。」

佐藤滋氏「こういう絵は描くんだけど、一体どうやって実現していくのかということが地元ではなかなか現実味をもって見えてこない、そんなようなことなんだと思います。世界の国、それぞれいろいろな公共投資をしてきた。それをどこの都市もバラバラにやってきたと。それが一段落したときに、そういうものを組み立て再編成する、そこで相当大胆なことをここ10年くらいでやったところがものすごい勢いで浮上している。新宿が今、再びこういうものを出して、これに足りないのは戦略なんです。どういう戦略でこれを実現していくのか。それを誰がつくるのかというと、区がつくるんじゃない。この段階で、地元の方々、実際に土地を持ち、経済活動をなさっている方々が一緒になって初めて戦略がつくれる。行政の力だけでやっているところもありますが、例えば商工会議所などが区役所と同じように都市計画やアーバンデザインとか戦略プランを練ることを自ら立ち上げ、区と一緒になって議論する。区が持っている情報とは違う民間の情報がそこにはありますから、そういうものと公共事業を組み合わせていくというそういうことをやったところが非常にうまくいっている。先日イギリスへ行ったが、初めて行くと交通規制がすごくて車で街の中を走れないんです。ホテルがそこに見えるんだが、そこに行けない。そのくらい無理なことをやっている。無理なことをしながら、歩行者とか都市の環境を高めるために、自動車交通は多少不便になっても全体が盛り上がっている。いま、そういう時期にきている。」

安田眞一氏「今、四振興組合の理事長会というのを毎月やっておりまして、情報交換をしてます。私は、言いたいことがありまして、今もアルタの前のステーションスクエアを通ってまいったんですが、あそこに大きな欅が二本ある。新宿東口に来た来街者はあそこでアルタのビジョンを見上げ、歌舞伎町に行こうか伊勢丹に行こうかとか、とにかくあそこの広場を必ず通るんです。ところが、あそこの広場が非常に汚い。今も見てきたが、路上喫煙禁止・新宿区とか、立入禁止、新宿区条例でポイ捨て禁止とか、看板だけでも10いくつ、金網をはってそこについている。看板がまた、大小いろいろあり非常に醜い看板が乱立している。その看板に落書きがあったりして、それが新宿の表玄関として来街者のすぐ目に付くところにあるというのは、新宿の街で商いをするものにとって本当に恥ずかしい話じゃないかと思う。確かにメッセージを発信することは必要なんですが、やはりゼザイン性をもち、美化を考えてやるべきではないか。こういう現実の問題をどうするかといことを踏まえたうえで都市計画・マスタープランを組むことが非常に大切なことだと思います。」

佐藤滋氏「先ほど、新宿の駅に人工地盤をかけるという話がありましたが、区や専門家がある種の理想として描いていくようなプランと、日常的にこの街の中で商売をし経営をなさって日々頑張ってらっしゃる方との間でのズレがあると感じます。ですけど、これを埋めていかないとどうにもならないので、いったい何をどのように組み立てていくのかというのは、非常に複雑な動きだと思うんです。多様な主体が街づくりに関係しますので、簡単に行政と民間の協働でパッとできるようなものではない。そこが難しくもあり、また成功すれば非常に波及効果を生む。そんなことで、新宿駅東口でそういうような組織ができあがり次に展開していくということがあればいいと思います。」

竹之内勉氏「街を綺麗にするという意味では、例えば看板一つとっても、区の同じ部・課でそれぞれ考えが違ったりして統一性が無い。そういう意味では、区の中でも横のつながりを持っていただきたい。その中で、一つの方向に向かっていくということであれば一つ一つのことが具体化していくと思う。それは、区だけでなく、消防や警察との関わりもある。そういったことも含めた動きを踏まえ、大きな問題も捉えていくということが必要ではないか。」

安田眞一氏「区長が仰っている玉川上水の再生と言うのは夢があっていいなと思ってまして、在任中に是非実現していただきたい。新宿御苑という、あれだけ素晴らしい、いわば新宿の宝だと思うんですが、それを大いに活用していただきたい。それから、竹之内さんが仰るように、区の横の連携がなさ過ぎると、つくずく感じている。是非風通しをよくしていただけたらと思います。最近、商工課が商工観光課と、観光と言う言葉がついた。観光施策を大切にしていこうという新宿の方針だと思うんですが、そういう意味で言うと、是非新宿のゴールデン街を新宿文化遺産指定というか、新宿遺産にしていただき新宿の観光の名所として売り込んでいただけたらと思います。ああいう街は、いくら都市計画で練っても、絶対出来ない街でして、本当に新宿にとって宝なんではないか。

それと、歌舞伎町ルネッサンスについては、非常に羨ましい限りでして、行政が全面的にバックアップをして大変な活動になっているわけですけど、私は、一つ欠けていることがあるんじゃないかと思うことがある。それは、犯罪組織排除協議会なんてものができて、安全な街にしよう、去年はみかじめ料不払運動なんていう大々的なイベントがありましたが、あれは、実際は風俗店等が違法営業をせざるを得ないという状況があるんですね。それは、深夜12時(1時)を過ぎると営業が出来ない、それにつけこんで暴力団がミカジメ料を請求したりする。法的不備がかえって暴力団の温床になっている。私が歌舞伎町のみなさんに申し上げたいのは、風適法を24時間できるようにしたらいいんじゃないかと思うんです。やはり、不夜城歌舞伎町は世界に冠たる繁華街、名勝の地ですので、是非24時間営業の出来る風適法の緩和を実現して、歌舞伎町が先頭に立って新新風適法で24時間化ということを全国に訴えたらどんなに皆さんお喜びになるかと。
最近、新丸ビルなんか出来ましたが家賃が高いんです。飲食店なんかは、朝まで営業しないと成り立たないんです。4時まで営業するとか、六本木ヒルズでも朝までやっているところもありますが、家賃を払うためには朝までやらざるを得ないんですね。ですから、風俗店だけ朝までやっちゃいかんと、そのかわり夜明けとともに営業していいなんていうそんなバカな話はないわけです。是非24時間化の実現に向け、新宿区のマスタープランにもそれを載せていただけたらなと思います。」

佐藤滋氏「論争になるところだと思いますが、例えばヨーロッパなどでクリエイティブ・シティというのが標語になっている。都市の中で創造的な活動をいかに活性化し、それを産業に結びつけるかということです。ある論文がでてまして、クリエイティブシティ、クリエイティブシティって言ってますと、若い人たちが段々夜中まで騒いでいる。歌舞伎町のようになっている。でも、これもいいんじゃないかという議論をしているんですね。そこら辺、先駆者としての歌舞伎町はきちんと答えを出す必要があると思います。」

蛭川和勇氏「将来的には、こういう会が西口を含めてやれたらと思います。それから、私ども商店街ですと、カラー舗装したり防犯カメラをつけたり、植栽をやったりお金の係る事業をやっているわけです。これは、受益者負担としてある程度はしかたがないとは思いますが、ただ限界があるわけで、区からも沢山の助成をいただいている現実を考えればそんな難しいことをいえないと言うのもあるのですが、先ほど規制緩和の話がありました。街としては、公道を使って収益事業を行うのはどうかと思うんですが若干そういうことも認めてもらいたい。あがった収益の100%が街に還元される、しかし、これを区一つの行政機関で許認可が出来るのか、ということがある。現実に、オープンカフェをやってて、法律はあるんでしょうけど、行政も個人個人で解釈が違う。行政は2年間で人がかわる、しかし法律というのは人がかわっても法律は法律だと思うんです。そういう意味もひっくるめて規制緩和をしてもらえると街はもっと発展する。とにかく、新宿は汚い、そして臭いの問題もある。とくにはばかることはないんで、実行していただきたいとお願いします。」

新村雅彦氏「歌舞伎町には歌舞伎町ルネッサンスというのがありまして、その中に喜兵衛プロジェクトというのがあります。それは、街づくりのソフトの部分を担当してまして、今、空き室対策として新宿放送局や吉本興業を誘致しました。また、第三として振興組合ビル1Fに宮崎県・山形県・群馬県のアンテナショップを誘致する予定です。7月15日のオープン日には宮崎県の東国原知事も出席していただくよう依頼しているところである。大久保公園では、テント劇場『デージーの咲く街」を社会的実験として行いましたが非常に好評でした。歌舞伎町は24時間楽しい街でなければなりません。歌舞伎町憲章にも24時間、健全な街で楽しく明るいワクワクした街を創ろうと宣言しています。ですが、風適法など若干問題もありますので、どうしたら24時間遊べる楽しい歌舞伎町にするか、私の最大の悩みでございます。」

秋山哲男氏

「新宿区のまちづくり方針図を見ていて気づいたのですが、二分の一程度が歩行空間に関わることなんですね。残念ながら、歩行空間に関わることなのに、駐車場の計画と交通処理計画が一つも出ていない。これは、絵に描いた餅になりやすいので、是非そこの裏を取っていただきたい。とくに警察に持っていったとき、歩行者専用道路がアウトになる。そういう、緻密な努力がこれからあるんだろうなと感じている。それから、同じ歩行者道路を作るのでも、市民レベルの合意形成でやれる部分と、国交省や警察庁、あるいはJR東日本などの関わる巨大プロジェクトと分けて組織的に仕分けをしていかないと、にっちもさっちも進まない可能性がありますので、是非そのことをやっていただけたらと思います。とくに、駐車問題は切っても切れない問題です。おそらく1970年代から80年代、欧米でつくられた歩行者モールの大半は駐車場をかなりきちっとやりました。交通導線処理もきちっとやっている。新宿区には、おそらく交通導線計画がないんじゃないか。ですから、これは是非つくるべきだと思います。」

戸沼幸市氏:「とにかく、新宿には戦略家がいないということで、区もすこし頑張んなさいよと言ってきた。直近のことでいえば、四つの商店街の共通するプロジェクトが、東西自由通路の早期結成だと思うんですね。東西自由通路が出来ることによって東と西が繋がる。さらに、大通りからモア街を経て歌舞伎町に繋がるという関連計画です。さらに、新宿大通りから東西自由通路へとなにがしか広場を作って新宿大通りのモール化に繋がる。東西自由通路は都市計画決定すると区長は仰るので、やる以上は5年くらいでつくるという段取りだと思うんです。あと、20年先30年先のことももう一議論してやるという筋書きでいいんではないかと思う。」

佐藤滋氏:「今日はこういう立派な図が出てきましたが、こういうのを見ちゃうと、なんかこれで出来たような気になってしまう。しかも、これを市民参加でやったんだからと。しかし、都市計画というのはこういったマスタープランをつくったからこれに事業を入れて、規制をしてこの通りに実現していくという、そういうやり方はもう出来ないんですね。どういうやり方をするかというと、協働の計画理論という言い方をしてますが、要するにある強い権力があって、その権力によって公共投資などでマスタープランを実現するのではなく、いろいろな背景を持った人たちや組織が協働して計画をつくりつつもっと詳細化していく。そういうものを組み立てっていって賑わいを実現していく、そうでないといい都市にならない。ですから、こういう計画図をみて、それぞれ自分達がどう動くのか、どういう組織を作って具体的にどんな戦略を立ててやっていくのか、これを行政、専門家、そしてこれを動かす民間の方が全体像を明らかにしながら協働ですすめていく。これが一番重要なことです。」

パネルディスカッションの最中は、中山区長は客席の方にすわり話を聞いていた。ディスカッション終了後に再び壇上に上がり、今回のシンポジウムを総括。「短期的に即対応できること、長期的に私たちが蓄積して一歩一歩進んでいくこととがあると思いますが、一つ短期的な部分では、行政の総合化がちっとも出来ていないというのは、これはもう一度しっかりやりたいと思います。私は、かなり長く行政の中で仕事をしてきまして、そこでどう感じているかというと、日本の行政は縦割りによって専門性を蓄積する、それも中央集権的で、国・都・区という枠の中で上手にやってきた。ところが、今一番大事なことはこれは10年も20年も前からですけれども、生活に一番近いところで見たときには、縦割りというのは機能していない、うまくいかないというのがとうに見えてきていた。だから、区の職員は、何をするかといえば、分野を越えて横串を通しどうやっていったらいいのか、まさに政策提案型に国を動かしたりしていくのが重要だと思ってます。それを、国の方も気づき、特区の制度とかいろんなことでやりましょう。歌舞伎町ルネッサンスの取り組みも、オープンカフェの取り組みも、やってみるといろんなことが見えてくる。例えば、道路となれば、道路を管理しているという区の許可、道路交通法上の警察の許可、いろんなものがあって、しかしその問題一つ一つが見えてきたということが第一歩です。実は私も、これはおかしいんじゃないのかとか、ここの部分からとか、随分色んな人間関係もつくり、警察や消防や国土交通省や内閣府やいろんなところにご協力をいただいてきているんですが、こんど現場の人が代わったりということもありそういったことを、一つは制度と、それからそこにいる人たち、私たちが目指すべき新宿の街、歩行者と中心にした街づくりをしていくことが、単に歩行者にいいわけではなくて、この街が持続的に発展していくためにどうしても必要なことなんだ、ということを互いに心の底から納得しながらやっていくか。今日は、本当にいろいろな示唆をいただきましたし、また、行政は本当に情報の発信の仕方、伝え方が下手なんだなということをすごく感じました。もっと情報を共有化し、もっと個別にやっていきます。
東西自由通路は、実は都市計画決定を今年度内に目指し、またサブナードの接続については、これはまだ事業形態のところでも議論がありますから、私は今年度といってるんですが、これは少し難しいかなと思いながら、でも伸びてもほんのちょっと先でやろう、そういう個別具体的なところでもう一度皆さんとどうやっていったらいいのか、大きな全体像としてのビジョンがどこを目指していて志をどう共有できるか、どういうメリットがあるのか、戸沼先生の新宿研究会などみなさんが入って動き出していただけるのは、専門家がいたり現場の人が真ん中にすわって専門家も支援し、戦略が無いと言われているところをやっていけるところの、今日は第一歩であったのではないかと思います。」


シンポジウム「 にぎわい先導都市・新宿を語る-都市間競争の時代に-」に先立ち、6月20日の朝のことだが、中山区長が歌舞伎町の視察を行った。

 左の写真は歌舞伎町商店街振興組合の片桐基次副理事長(歌舞伎町よくしよう委員会委員長)、右は片桐氏、中山区長、そして新村雅彦理事長(喜兵衛プロジェクト座長)

先々週より、歌舞伎町商店街振興組合、新宿社交飲食業同業組合、および新宿歌舞伎町ホストクラブ協会、その他ボランティアの有志らによって主にセントラルロードを中心に、歌舞伎町の玄関口を綺麗に、そして歩きやすくしようということを主眼においた、とくにホストクラブや居酒屋等の客引き・キャッチ、あるいはナンパと称する部分も含め排除活動を行っている。法的根拠は風適法・迷惑防止条例・道路交通法違反。

  

活動は概ね毎日に近いもので、夕刻、歌舞伎町に一般客の入ってくる時間帯を中心に重点的におこなっている。実際に客引きを行うもの、またナンパと称して客を引くホストを見つけては一人ひとり捕まえ、説明し、または排除を行うもの。とはいえ、歌舞伎町の玄関口ということもあり道案内、店舗案内などのニーズも高い。

客引き排除活動の最中は、人の歩く速度もゆっくりで、写真のような様子。

 

確かに排除活動の範囲内では客引きをほぼ完全に押さえ込めるが、一方で、カバーできていない靖国通りの反対側、モア2番街(通称スカウト通り)、そしてコマ前はホストの客引きがカラスのごとく群がっている。これは、セントラルロードなどに立つホストらを仕切る暴力団のシマの範囲がコマ前からモア2番街の靖国通り側入り口(バリケード手前まで)ということからで、例えば上の写真左は、セントラルロードから排除されたホストらがモア2番街入り口の車両バリケード手前のわずか歩道幅の範囲でのみキャッチを行っている様子。モア2番街内でのホスト客引き行為は暴力団のシマの関係で行われない。なお、新宿駅前広場、および新宿駅東口構内もそれぞれ客引きを行うホストがいるが、ここはここでまたシマが変わるため、セントラルロードを排除されたからといって新宿駅前に、あるいは新宿駅構内に移ることは彼らにとっても容易には出来ないと思われる。

しかし、歌舞伎町に来る来街者は、そのほとんどが新宿駅東口→モア2番街→セントラルロードという導線から入ってくる。いわばこの部分が歌舞伎町の背骨にあたり、また地域経済の生命線となっている。つまり、それゆえに客引きやスカウトも成果をあげられるわけだが、一方このエリアでの客引きや迷惑行為、ぼったくりの居酒屋のキャッチは、いわば歌舞伎町全てに係るイメージダウンにもなり、結果として来街者を減少させることは明らか。そこで、この背骨の部分を民間ボランティアで自ら立ち上がり、守っていこうという趣旨でスタートした活動である。いまのところ、マンパワーの範囲でのみ限られた時間と一部エリアにのみプライオリティを置いての活動になっているのは現実はある。今後、ボランティアスタッフの拡充、セントラルロード入り口の空き交番の再活用を目指しつつ、それが整い次第徐々にエリアや時間帯の拡大を検討している。また、客引き行為を続けるホストクラブや居酒屋等の情報は徐々に蓄積されており特定もしているので、現実に店舗や経営者を追い込むことも辞さない。

さて、とはいえ、モア2番街のスカウト、新宿駅東口駅前広場や駅構内のホスト・居酒屋の悪質なキャッチ・客引き行為はまだまだ深刻である。また、歌舞伎町の外ということもあり、他の商店街・事業者の範囲であるということもあって、どう活動を広げていくかは課題もある。中山区長と、この点についていろいろ話したのだが、やはり、既存の商店街振興組合等だけの活動範囲では、例えば歌舞伎町のこと一つとっても足りない、立ち行かない部分が多い。そこで、既存の組織や事業者の活動範囲を超えた横軸となるあらたな連携を模索すべきだろうという話になり、丁度今回のシンポジウムを機に、そういった各商店街やJR東日本なども含めての横軸の形成に向けてさらに一歩前に進めていくことが重要だろうという話になった。

話はかわるが、セントラルロードを中心に行っている客引き排除活動だが、実際にはこれが進化し、いわゆる来街者へのおもてなし、つまり道案内であったりとかそういった一種の歌舞伎町コンシェルジュ的なものに発展していければいいと思う。それにはまず、セントラルロード入り口の交番を開け、ここを警察とボランティアとの協働によるインフォメーションブースなどの拠点化することができればと、これはこれまでもよくしよう委員会などでは散々議論してきたことだが、現実はというと、新宿警察署の「人手が足りない」の一点張りによりいまだ実現の目途は立っていない。やはり、こういった話は上からじゃないとダメなのかな。。

いずれにしても、こうしたプロセスを経て、以前にも書いたことだが、今回のシンポジウムで新宿東口商店街振興組合の安田理事長も言ってくれた歌舞伎町24時間特区構想(風適法上の経済特区)の実現にむけての本格的な活動へと結び付けていくつもりである。

区役所前のハンギングフラワーや緑化帯、あけびの実がなっていた。


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tx

歩行者重視政策より、現実的には明治通りの導線の代々木~大久保の渋滞解消をなんとかしてほしいもんです。地下鉄工事が終わって南口ロータリー立体化がされればいくらか解消されるんでしょうけど。

歩行路ばかりになると搬入搬出、タクシーなどの問題が出ると思うのです。また地方の年配の人たちは「新宿はどこへ行くにも階段の昇り降りが多く、歩くからいやだ」と行っています。

歩くのが好きな人はいいんでしょうけど、池袋サンシャインのようにワンストップで大半のことが出来るような施設が無い新宿、コミュニティバスよりはLRTのような移動・乗降の楽なものを整備したほうがよいと思うのです(渋滞とは矛盾しますが)。もしくは動く歩道とか…。

バス、だいたいすでに100円バスも走ってるわけで。ただ北新宿辺りの人はバス欲しいかもしれませんが。

ソウル市内の観光循環バスみたいなシステムなら良いのですがね。
by tx (2007-06-30 16:07) 

Tera

歌舞伎町でも、一部(例えば西武駅前通り)のトランジットモール化なんて議論もあったりします。
セントラルロードもカラー舗装の張替えの話もそろそろ出る気がします。

歩道空間を広げて、新宿駅~新宿3丁目間を一種のプラットホームのようなイメージにする、これはちょっと面白いと思いました。ただ、搬入・荷捌きの車両抑制、あるいは、導線整備は思っている以上に難しい。
例えばセントラルロードを歩行者専用にして、さくら通り(あるいは一番街)を搬入路にしましょう・・・なんて言ったら、さくら通り(あるいは一番街)からの猛反発は必至でしょうね。時差制限による通りごとの自己完結、ってことが結局のところ落としどころになりやすい。

でも、本当に新宿通りを歩行者優先のトランジットモールに出来るものならば、見てみたいものです。総論賛成、でも各論は?ここがまちづくりの最大の難しいところです・・・

今は無いもう一つの巨大な人工地盤を作る、つまり新宿駅上(線路上含む)とか、あるいは靖国通りを地下化しての新たな地盤とか、自分はどうせ難しいことをやるならその位の大きな話がいいと思うんですけども。。
by Tera (2007-07-04 02:35) 

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