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7月11日 第3回新宿繁華街犯罪組織排除協議会総会 [まちづくり]

7月11日(火)14時より損保ジャパンビル2F会議室にて、第3回新宿繁華街組織犯罪排除協議会(下村得治会長)総会が開催された。この新宿繁華街組織犯罪排除協議会というのは、新宿駅周辺繁華街の各商店街振興組合、事業者を中心に新宿警察署と新宿区と協働で暴力団などの組織犯罪排除を推進する連絡協議会である。毎年二回の暴力団及び国際犯罪組織排除旬間を設け、合同パトロールや暴力団排除講演などを開催、暴排啓発、また不当要求責任者講習などの実施している。警視庁の四地区総合対策取締強化(歌舞伎町・池袋・六本木・渋谷地区)によって、たとえば歌舞伎町で言うとここ2年で500件1,500人の違法風俗・エステ店や違法カジノなどの検挙・摘発から廃業に追い込んだことで、暴力団のインフラに大きな打撃を加えてきている。結果、暴力団員による一般飲食業等にまで「みかじめ料」を要求することも予想でき、この協議会では犯罪組織排除宣言として「暴力団、国際犯罪組織追放三ない運動」を基本に推進している。

暴力団、国際犯罪組織追放三ない運動スローガン

  • 暴力団を恐れない
  • 暴力団に金を出さない
  • 暴力団を利用しない

また、新宿警察署 組織犯罪対策課ホットライン℡03-3348-0137 を設置、たとえ事件としにくい案件などでも暴力団などの組織犯罪に関わるあらゆる情報・相談ごとに対応している。

また、協議会では犯罪組織排除功労者への感謝状の贈呈を行っている。下村得治会長と新宿警察署の柗木(まつき)署長の連名の感謝状で、今年度は藤田観光㈱新宿ワシントンホテル、セントラル総合サービス㈱、㈱太田、太陽建設㈱の4社が表彰を受けた。

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この日の協議会には来賓として竹花豊氏警察庁生活安全局長(元東京都副知事、第一・二回歌舞伎町ルネッサンス推進協議会では委員としても出席されていた)、金子正志氏(日本弁護士会 民事介入暴力対策委員会委員長)、長尾敏成氏(東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員長)、また中林喜代司氏(財団法人全国防犯協会連合会 全国暴力団追放運動推進センター担当部長)による暴力団排除講演が行われた。

総じて言えるのは、まず暴力団対策を本気でみなさんでやっていきましょう、とくにミカジメ料不払いを進めるなどして暴力団の資金源を断つ、またそれにともなう民間人に対しての圧力は警察が本気で対応します、といった話が中心だった。歌舞伎町の暴力団問題を見ると、戦後混乱期~復興期にかけての必要悪としての「ヤクザ」との共生関係からなかなか脱却できていない、まだまだ暴力団に対して寛容な土壌が存在している。「繁華街なんだから、多少のミカジメはしょうがない。この程度の金で面倒が起きないのならば、かえって払ったほうが安い。」という声も少なくない。これは、池袋や渋谷、六本木など繁華街にはどこにも共通する。一方で、多様な集金手段によって地域経済に根付いた暴力団は地域の治安を悪化させ、見た目も一般人を寄せ付けない景観をつくる、違法な経済インフラとその仕事に従事する周辺社会を形成し、地域の資産価値を低下させる。つまり一件のミカジメ料の払いの積み重ねが結果として地域全体の経済活動を疲弊させていく。このことをミカジメ料を払っている事業者は理解できていない。そして「警察はなにもしてくれない、どんどん移動していくだけだ。それなら地元の暴力団にめんどう見てもらえばいい」的な昔からのいいわけをどこかに根にもつ。それでいいんですか?と問われているわけだ。

竹花豊警察庁生活安全局長

「暴力団問題は、これを解決しなくては日本の社会が世界に恥ずかしくない社会にはなれない。地域から暴力団を追い出す考え方は、一つは地域が一緒になってみんなでやれば怖くない、もう一つはみんながみているぞ、つまりここでみなさんのように事業をされている方々、マスコミが見ている、弁護士会も見ている、暴追センターも見ている、多くの人たちが新宿の暴力団との対決を見ているということ、もう一つが過去は問わないということ。過去はいろいろあったと思うが、それで後ろめたい思いをすることはない。たとえばみかじめ料不払い運動など、具体的な行動を起こすのも一つのチャレンジとしてどうだろうかと考えている。」と竹花豊 警察庁生活安全局長。竹花氏は、全国繁華街対策の象徴としての歌舞伎町の地域浄化における最初の一歩として東京安田会の資金源であった新宿東口駅前線路沿いのサインボード撤去を仕掛け、その撤去訴訟の弁護団長が来賓の金子正志氏(日本弁護士会 民事介入暴力対策委員会委員長)、事務局長が長尾敏成氏(東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員長)である。

撤去訴訟中の新宿駅東口線路わきのサインボード跡

この訴訟は、もうすぐ決着すると聞いているが、すでにこのサインボードはかつて映画興行の広告版から白塗りになり、しばらくホストクラブや質店の広告が出たりしていたが、いまは白塗りボードも撤去され錆びた鉄骨がむき出しになっている。鉄道関連ではそれ以外にも暴力団関連利権としていくつか広告物などに関与の情報はあるが、いずれ完全に撤去されるであろうこの新宿駅東口線路脇の錆びた鉄骨は暴力団対策の最前線の姿ともいえるのかもしれない。

暴力団排除体験について、「ウチでは1Fでパリジェンヌという喫茶・レストランをやっているが、店でこぼし事故などの暴力団とのトラブルがあった場合、徹底しているのは相手のペースにのらない、大人数のところで話す、自分のところで話すといったことである。自分の意志を強く持ち、警察と連携して対策を進めていくのが重要。」と風林会館専務の林裕照氏の話もあった。林氏は、昨年の第二回新宿繁華街犯罪組織排除協議会にて暴排功労者として感謝状を受けている。

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■中林喜代司氏(財団法人全国防犯協会連合会 全国暴力団追放運動推進センター担当部長)による暴力団排除講演より

「企業のコンプライアンス遵守が言われるなかで、企業と同じように街もそういった街づくりをしていかなくてはいけない。かつて必要悪といった部分もあったかもしれないが、今やそれは絶対悪となった。そういった品格を持った街にしていく、戦後60年経ってそういう時期に来ているのではないか。また、街に事務所を構え、根を張る行政も含めてこの協議会を進めていくべきだ。繁華街は、外国人犯罪組織も含めた暴力団等の集金装置になるという特性がある。これらには拠点となる場所がある。拠点には表と裏の拠点があるが、とくに裏の拠点をみなさん街の人たちの目で発見し、暴追センターと連携して撤去活動をやっていくのが効果的だ。また、暴力団・犯罪組織を利用し共生し提携して裏に隠れて資金を投下し利益を得ている、そういう人と拠点を徹底して排除していかなくてはいけない。戦後60年のしがらみがいろいろ交錯して、諦めてしまっている人たちがいる。そこで、あきらめずに情報を集約し、タイムリーに警察に通報して進めていきましょう。一つ、それの心の準備運動として是非みなさん、掃除の精神を大事にして欲しい。際を綺麗にすることで、隣同士の連帯感が生まれる、掃除をすることで、忍耐が生まれ助け合い、協調性、目配り気配り、ちょっとした汚れも気にするようになる、それが小さな変化に気づくようになる。そして、なにより心にすがすがしさを産む、これが暴追運動のエネルギーになるのではないか。」

財団法人 暴力団追放運動推進都民センター(略称 暴追都民センター)

「みんなの目 みんなの力で 暴力追放」 Tel:03-3201-2424


個人的に思うことを書く。協議会の講演を聞いていて、つくづく感じたのは新宿というアジア最大の繁華街における地域の人たちの暴力団排除に対する意識の徹底、啓発に重点が置かれている、つまりそこがまだまだ足りないということなのだろう。歌舞伎町の実体を見ている中で、それは明らかである。歌舞伎町ルネッサンスを推進する内輪に、本気で暴力団のインフラ排除を考える人たちの中に混じって、一方では意識してかせずかはともかくインフラを提供しているビルオーナーや事業者もいるのは確かだし、特に不動産業を営むものには当然知ってて違法な風俗や暴力団事務所、あるいは違法でなくとも暴力団が関与する店舗やまた貸し、暴力団所有の建物の仲介をするものと、非常に高い確率で存在している。また、中林氏の話にあった裏の拠点についてだが、大箱のホストクラブやキャバクラの店舗の中に事務所が存在するケースもある。そういった情報を持った街の人たちが警察に協力、情報提供、通報し、排除活動を進めましょうということだ。少し穿った見方をすると、検挙・摘発を促進するための環境整備、民間協力体制作りといったところか。

検挙・摘発が、警察のポイントである今の流れは、それはそれでいいのかもしれないが、その反面、たとえば検挙・摘発にならなくとも不法行為を未然に防ぐ為の抑止活動がおろそかになっているように見える側面もある。たとえば、客引き行為だ。「交通違反を取り締まるように、客引き一人ひとりを取り締まれない。」とある現場の警官から話を聞いたことがある。道交法の改正が、これだけ駐車違反に抑止的効果を生んでいるように、たとえば迷惑防止条例やぼったくり条例が客引き行為に対して効いているのか?昨年4月1日に条例改正があって、しばらく客引きは減ったが、それも今ではまったく機能していない。風俗系の客引きやスカウトは「食うためにはやむをえない、リスクは承知」と言う連中もいるが、しかし場所代としてミカジメを上納(月5万くらいかな)、100人いれば犯罪組織に月500万が入っていく。ホストクラブ(すべての店が出しているわけではないが)のキャッチは、結局「どうせ警察はなにもしない」と今では大手を振って客を引く。一例としては、山口組系の組織の資金で店舗が建ち、店のミカジメや売り掛けのキリトリは住吉系で、ホスト個人個人にもバックがあったりするといった暴力団インフラのパレード状態な場合もあったりする。民間からの情報協力・通報も大事かもしれないが、これら目に見える客引きをどうして抑止しようとしないのか。。。「面の割れてるたとえば組対警官数名が毎晩街を歩くだけで抑止的に無くそうと思えば無くせる。しかし、それが警察で評価されにくい。」のだと言う。客引きを一掃すれば、それに依存する業態は壊滅し、ついでに不法店舗には多くの場合また貸しや商業ビル・リートとしての暴力団(国内外を含む)系資金が入っているケースも多く、結果として犯罪組織のインフラに大打撃を与えられるはずなのだがなぜしないのか。「どうせやらない」と、そういった組織と結託している不動産事業者やビルオーナーも少なくない。ならば、必要ならぼったくり条例のビルオーナー責任を拡大強化し、たとえばテナントを貸したり仲介して犯罪組織に加担した場合は、知っていようと知らずとも直罰、しかも不法収益としてそれで得た収入を没収する、不動産事業者は宅建免許取り消しくらいのことをすべき。

暴力団もホームレスも、そういった人たちが生まれない社会をつくるためになにをすればいいのか?本当はここが一番大事なんだろうと思う。しかし、これはある一定の割合でやむをえない部分もあるのかもしれない。彼らを追い詰め、食い扶持を奪うことで、水面下に潜っていくのは予想できたはずだ。一方で、ある確率でそういった部分が残らざるを得ないのであれば、犯罪に強い抑止の効いた街を作ることも重要となる。しかしレッテル社会は、そういった人たちをさらに追い込み、社会復帰の道を与えない。元暴力団員を普通の企業は雇うわけがない。以前、こんなことを言ってみたことがある。「元暴力団員を、警察なり自衛隊なりで臨時雇用してはどうか?」と。一種の矯正をする構造をつくり、そこで元警官・元自衛隊なら社会が受け入れやすくなるのではないか?日本の警察の負担率は500人に一人、アメリカの1/5だという。治安状況に対してあまりにも少ないように感じる。空き交番が問題になって、では交番を減らそうなんていう議論ではなく、いかに地域防犯のために人を増やすかを考えるべきだ。警察増員と雇用緩和をすることは、たとえば警察内不祥事はやや増加するかもしれないが、その何百倍も犯罪とその被害者を抑止することになると思うのだがいかがだろうか。

ニューヨークは安全になったというが、以前FBIの方と話したときに「今のニューヨークは、それでも最悪の頃の歌舞伎町よりも危険だといえる。」と。しかし、BIDがホームレスを地域防犯のために雇用したりして公共の安全に地域が投資して同時に犯罪に強い街をつくってきた。歌舞伎町も防犯カメラの設置などによって地域のセキュリティを高め犯罪に強い街ではある。しかし、むしろ日本全国を見回すとまだまだ治安基準は脆い。いかに犯罪行為の要因があろうとも、実際の犯罪に結びつかないようにする「抑止」のためになにからすべきか、これは歌舞伎町以上に全国的な課題だろう。「排除」は結論にはならない、歌舞伎町から排除しても新宿全体に、新宿から排除しても町田だの八王子だの、あるいは全国に散らばり、あるいは水面下に潜る。暴力団員を無くすというよりは不法行為を無くせばいいわけだから、そのためには不法行為を未然に防ぐための「抑止」的な活動や法改正、積極的な行政が必要かと。


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