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3月31日 「東京都風俗案内所規制条例」公布、6月1日より施行へ。 [まちづくり]

←えび通り、旧ワンダラーの場所に最近オープンした無料風俗案内所。

平成18年度第一階東京都議会定例会において、警視庁から出せれていた「歓楽的雰囲気を過度に助長する風俗案内の防止に関する条例」(東京都風俗案内所規制条例)が可決、3月31日に公布された。施行日は2006年6月1日、その内容についてまとめておくことに。

警視庁:「歓楽的雰囲気を過度に助長する風俗案内の防止に関する条例」(東京都風俗案内所規制条例)について

都内各繁華街で地域の歓楽的雰囲気を過度に助長してきたとされる無料風俗案内所。これら案内所では主として店舗のパネルや風俗嬢の写真、またはパソコンを置いてのインターネットによってキャバクラ・ホストクラブ、性風俗店などの宣伝・案内を行ってきている。池袋や歌舞伎町などの主要な繁華街では、これらを規制する条例を施行する要望が地域・行政主導で警視庁に対して行われていたが、いよいよこれらを規制する「歓楽的雰囲気を過度に助長する風俗案内の防止に関する条例」(東京都風俗案内所規制条例)が都議会を通過、(案)がとれ、正式に6月1日より施行される。

「歓楽的雰囲気を過度に助長する風俗案内の防止に関する条例」(東京都風俗案内所規制条例)[PDF]:http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/gujourei/image/fuuan.pdf

この条例に関する問い合わせは、警視庁生活安全部保安課風俗営業係 TEL 03-3581-4321 内線31643(平成18年5月31日までは、生活安全部生活安全総務課(内線34925)へどうぞ。)

具体的に条例についてのポイントを示すと、以下の通り。

  • 風俗案内所を行おうとする者の、公安委員会への届出義務。義務違反に対しては、30万円以下の罰金。
  • 風俗案内所に、ホステスの写真等を表示する場合は、風俗案内所の外から見通せるように表示してはならない。違反に対しては、中止命令が出される。風俗案内事業者が中止命令に違反した時は、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金。
  • 18歳未満の者の風俗案内所への利用・立ち入りの禁止。義務違反に対しては、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金。
  • 午前零時(特定の地域は午前1時)から日出時までの時間において、風俗案内を行うことを禁止する。

そのほか、公安委員会で定める数値以上の騒音を生じさせることの禁止、案内を委託された風俗店の委託者氏名または名称・住所、法人の場合は代表者、営業所等の住所、業種についての確認義務など。

5月1日より施行される改正風適法解説:5月1日 デリヘル規制等に関する風適法改正の概要まとめ)で風俗関連営業店舗、いわゆる性風俗店の宣伝行為についての禁止区域解釈が運用上強化される。これとの連動によって、今回の風俗案内所規制条例は、デリバリーヘルスやその他の性風俗店(ファッションヘルス・ソープランド)について実質宣伝・案内行為は違法となる。(性風俗店の禁止区域内宣伝行為:条例違反としては直罰50万円以下の罰金、風適法違反として立件された場合は100万円以下の罰金等あり)したがって、案内所によって案内可能な業種は、キャバクラ・ホストクラブ等風俗営業店までとなる。

もう一つ、これに関連しての「性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に対する条例」(通称ぼったくり条例)が一部改正され、4月1日から施行される。改正のポイントとしては、違法な性風俗店を取り締まっても解約後新たな違法な個室マッサージ店が入居、営業を受け入れてしまうビルオーナーの存在について、これを規制するためにビルオーナー責任・義務を定めたもの。ポイントとしては以下。

  • 何人も、違法な個室マッサージ店を営むために必要な場所を提供してはならない。
  • 場所提供の中止義務:ビルオーナー等は他人に貸している建物が、違法な個室マッサージ店に使われていることを知った場合に、契約解除の特約があるときは、契約を解除して、建物の明け渡しを申し入れなければならない。
  • 再発防止のための標章貼付:公安委員会は、上記違反があった建物について再び違法な個室マッサージ店に使われるおそれがあると認めるときは、最大一年間、その建物の出入り口の見やすい場所に、その建物を違法な個室マッサージ店に使ってはならない旨を告知する標章を貼り付けることができる。

また、指定区域内(特定の繁華街:新宿区においては歌舞伎町一丁目、同二丁目、新宿三丁目、大久保一丁目、同二丁目(4番から33番まで)、百人町一丁目、同二丁目、その他渋谷区・豊島区・港区・台東区・文京区・墨田区に指定区域あり)においてはさらに、ビルオーナーに対し、指定区域内のビルを貸す場合にとらなければいけない措置として以下を義務付けている。

  • 相手方にその建物を違法な個室マッサージ店に使わないことを誓約させる。
  • 建物を違法な個室マッサージに使われた場合には、契約を解除できる旨の特約を契約書に定める。
  • 建物が違法な個室マッサージ店に使われていないか、定期的に確認すること。
  • 違法営業が行われた場合、上記措置が行われていないと認める場合、ビルオーナーに対して①上記措置を行うよう勧告②勧告に従わなかった場合、それを公表③公表後、なお正当な理由なく勧告に従わなかった場合、上記措置をとるよう命令④検挙:6ヶ月以内の懲役、50万円以下の罰金

仲介不動産業者にしてもビルオーナーにしても、仮に違法な個室マッサージ店的な使用を黙認しての賃貸仲介あるいは契約を行っているというケースもあるようで、それが実態がある。違法な個室マッサージ店というのは、なにも受付所や案内所形態のものだけではない。サービスルームに特定のレンタルルーム(中には白看板で営業しているところもある)や漫画喫茶の個室などの使用も、用途違反行為である以上、これらについての仲介・契約も、宅建法違反や風適法違反の幇助といった立件も可能ということになると思われる。また、先だっての「風適法違反による森下景一に対する判決」 (3月24日 東京地裁にて風適法違反容疑の森下景一(54)に対し判決公判)にもあるように、はじめて風適法違反についても不法収益に対する追徴没収(刑法第19条)が適用を受けたことから、それを幇助した不動産事業者やビルオーナーの仲介手数料・家賃等も幇助による不法収益とみなすことが可能、今回の条例施行や改正・風適法改正はこれらを踏まえての抑止力となるよう設計されていると理解できる。

少し現実的な話をすると、たとえば迷惑防止条例などで禁止されている客引き行為について、街に立つ客引きをすべて一人ひとり交通違反のように検挙していくことは効率的に難しいかもしれない。しかし、客引きを出している店舗が仮にその他の違法行為(風適法違反など)があれば、それによって客引きを出している店舗そのものを摘発、営業停止に追い込むことでまとめて客引きをなくすことが可能となる。つまり、上記条例や法改正がどこまで運用・規制されるかも所轄や警視庁のマンパワーによるところが多い。ある意味、警察にとってもっとも検挙しやすい法運用で摘発され、またそれが軒並み続けば、個人的な見解ではあるが、もっとも地域の経済活動を圧迫・減退させる。違法なものは暴力団のインフラになる。もちろん排除すべきだろ。しかし、そういう地域経済にマイナスの圧力をなるべく避けるためにも、本来地域の各業種ごとにでも法律や条令について理解し、違法行為を自浄機能によってなくしていく、自主規制と互いに顔の見える関係を築きながら地域との折り合いをつけていくことが急務でないか?

今回の条例・法改正は、とくにデリヘルと案内所業者、それに建物を貸していたビルオーナーにとってダメージが大きいだろう。だが、「歌舞伎町ルネッサンス」的な言い方ではないが、実際、法と条例に従って合法的に営業を継続できる余地も明文化されている。つまり、はっきり言って警察から見れば、まだまだ追い詰めきっているわけではない。運用面では実際かなりの幅もありうる。本気でなくすつもりなら、それこそ労働基準法をいじって、性風俗で働くことそのものを違法にすることだって出来ないわけじゃない。少なくとも、媒体やネット求人を規制するのは簡単なはずだ。つまり、警察的には働くものの権利、それで生活する人たちの権利を守ることを常に配慮しながら規制してきているのだ。政治は、おそらく誰も発言しないだろう。ある意味、警察だけが「風俗」の保護者なのかもしれない。

たとえば、歌舞伎町において個室マッサージ事業者部会やホストクラブ、キャバクラ、案内所ごとの部会とか組合的なものを作って自浄作用を促していくべきだろう。カラオケ業については、現在「新宿警察署管内カラオケ業防犯協力会」なる自主規制組織を立ち上げでいる。「営業上は敵同士、なかなか難しい」という声も聞くが、抜け駆けの一軒が一時的に潤おったとしてもその業種全体が規制を受け、全滅すれば地域経済には大きなダメージに、結果として抜け駆けした一軒も存続はできない、ということになる。新宿区の区政の最大の課題でもある「持続可能な経済活動を可能にする」ということは、言ってみればこういった課題をどうするか?ということだ。「歌舞伎町ルネッサンス」的に言えば、「そういう業種を根こそぎ排除」と強硬な意見を言う方もいるわけで、それも言ってみれば一つの選択肢だろう。そうはいってもここは歌舞伎町。ある警察関係者が言う「この街ほど懐が深い街はない。人生再生、人間再生を思うと、他に思い浮かぶ街が歌舞伎町以外にはないよ。」と。地域の懐の深さ、寛容性をいかに失うことなく地域の再生・浄化を進めるためには、なんといっても歌舞伎町にかかわるすべての人たち自らが民間主導で自治を進めていける土壌・環境があればなぁと思う。18年度、新宿区企画政策部の歌舞伎町対策の専管組織が進める柱にTMOの創設がある。このTMO設立が、こんなきっかけになればいいのだが。

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4月1日は町名「歌舞伎町」誕生の日

戦後、焼け野原になったこの地に大衆芸能の街として興行街を中心とした街づくりを進めた鈴木喜兵衛氏。(参考:鈴木喜兵衛氏と歌舞伎町について)当時、鈴木喜兵衛氏は、映画館や劇場などの興行的施設が企業的に成立するか否か、緻密に計算をしていたと聞く。東京の人口と芸能施設の比率を調べ、人口に対して芸能施設が不足しているのであれば、十分採算が立つとして企業家は誘致にのると考えた。少なくとも昭和18年時点の比率を10とすると、昭和20年10月の時点が7、戦前に比較して芸能施設数が3割も不足していた。こういったマーケティングデータを下に、鈴木喜兵衛氏は計画を修正、煮詰め、スポンサーを説得した。

当時、この地は角筈一丁目北町会という名であった。喜兵衛氏は、生まれ変わろうとしているこの町の名としてどうか?語呂が悪い、間延びしている、そう感じていた。当時、街づくりのヘソとして歌舞伎劇場の誘致計画が進んでいた。(この計画は後に二回にわたる金融緊急措置令と三回にわたる建設制限令で頓挫し、歌舞伎劇場の誘致は行われなかった。)劇場の名前は「菊座」ということで、当初「菊町」という案もあったようだ。だが、これも語呂が悪い、まして短すぎだった。

新しく生まれる街の名前について昭和21年の秋、復興計画の裏方で支える東京都建設局都市計画課長の石川栄耀氏を鈴木喜兵衛が訪れる。石川は「ところであんたが汗を流している復興計画の目玉は歌舞伎劇場でしょ。だったら迷うことはない、ずばり歌舞伎町にしてみては?」

これを聞いた鈴木喜兵衛氏は、「カブキチョウ」の語呂のよさ、歌って舞うという粋な印象を気に入った。さっそく、都内・全国と同名の町名があるかどうかを綿密に調べ、幸い見当たらないことを確認する。やがて、復興協力会の役員会で決議、22年1月6日付けで書類を整え、町名変更手続きを行った。

皮肉にも、歌舞伎劇場の誘致は頓挫し、実現には至らなかったが、その想いと夢にちなんだ町名「歌舞伎町」の名は、長い審議を経て昭和23年4月1日、町名変更申請が認可、淀橋区角筈一丁目北町会と東大久保三丁目の一部を編入、新宿区歌舞伎町と正式に呼ばれるようになる。おりしも昭和23年4月15日には、歌舞伎町中央広場(現在のシネシティ広場)をメイン開場に安井誠一郎都知事を招いて歌舞伎町復興祭が行われた。

今、この街において進められている「歌舞伎町ルネッサンス」の、低下した街のブランド力をいかに回復させるかという議論の中で、「町名変更」という意見もないわけではない。事実、慢性的な赤字事業で補助金の無駄遣いとまで言われるハイジアのオフィス入居がほとんどないのは、企業が歌舞伎町という町名を名刺に書くことをまだまだ敬遠するということも一因だ。「歌舞伎町」の名を捨て、マイナスイメージに蓋をする的な話であるが、一方「こういったダイナミックな議論が、エネルギーを生む可能性もある」という人もいる。歌舞伎町の名に愛着を持つ人たちも多いので、実際はおそらく「町名改正」ということはない、とは思うが。

          


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ある人

結果ある意味「歌舞伎者」ばかりが集まっている訳で、街の名が体を表している典型例ではないでしょうか。
by ある人 (2006-04-02 02:14) 

Tera

一瞬「歌舞伎役者」と読めてしまった^^;つまり歌舞伎町というステージに立つ人たちとでも言うか・・。けっこう味があって、いいステージだったんですが、ぼちぼち装置も仕掛けも新しいものが欲しい時期ってことですかね。
by Tera (2006-04-04 00:58) 

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