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2月15日 新宿区 平成18年度予算に関する記者会見 [まちづくり]

2月15日、新宿区役所6F第三委員会室にて、中山弘子新宿区長等による新宿区の平成18年度予算についての記者会見が行われた。歌舞伎町ルネッサンスの推進にかかわるものとして、新宿区のなかの歌舞伎町という観点から区全体の動き、区政における重点課題などについても知っておこうかなと、覗いてみた。

 真ん中が中山弘子新宿区長

まず、新宿区の予算規模は平成18年度1,110億円(前年度比+43億円)、歳出の中では義務的経費610億(人件費300億 扶助費262億 公債費45億)で半分以上かかっている。行財政改革の促進で経費削減を進めている中ではあるが、とはいえ人件費と扶助費は毎年増加傾向にあるようだ。一般事業費は392億、これを区政が直面する3課題「減災社会づくり、少子高齢化社会への対応、暮らしを支える(税制改正等影響緩和、低所得者負担増)」に対する即応性をもっての取り組みに約50億、継続的に進められている今回第4次実施計画となる4つの課題(1、新しい時代を担う子供の育成 2、高齢化、障害者など誰もがいきいきと暮らせる地域社会づくり 3、安全で快適な文化の薫るまちづくり 4、柔軟で多様な開かれた参画システムの構築)に91億など、政策目標に沿ってそれぞれ予算が振り分けられている。

課題1、新しい時代を担う子供の育成(約53億)

課題2、高齢者障害者など誰もがいきいきと暮らせる地域社会づくり(約73億)

課題3、安全で快適な文化の薫るまちづくり(約25億)

課題4、柔軟で多様な開かれた参画システムの構築(約6億)

歌舞伎町ルネッサンスの推進等については、上記課題3における「安心・安全のまちづくり」の中で歌舞伎町対策の推進という項目で分類されていた。以下、歌舞伎町対策内訳について

■歌舞伎町対策の推進

□歌舞伎町ルネッサンスの推進:企画政策部 1230万

・歌舞伎町ルネッサンス推進協議会費

・家守事業(空きビル・空き室対策) 

[歌舞伎町地域の再生・活性化を図るため、空きビル・空き室について、テナント誘致などを実施]

これは、第三回歌舞伎町ルネッサンス推進協議会で正式に承認された喜兵衛プロジェクトにかかわる予算。コーディネートとしてかかわるコンサルタント会社(株式会社アフタヌーンソサエティ)の経費が主たるものかな。約500万程度と思われる。。。

・TMO創設事業

[地元・企業・及び関係機関との協働による歌舞伎町タウンマネジメント組織の設立に向けて、調査、検討を行い、歌舞伎町ルネッサンスの取り組みを継続的に推進]

主に企画調査費用として500万程度ということになる。具体的仕分けはこれから。設立における出資金ではない。案として、すでにLLP(有限責任事業組合)形態によるタウンマネジメント会社を区や日本政策投資銀行、歌舞伎町商店街振興組合、四葉会各企業、および有志、関係各位によって出資、あるいは人的貢献による出資で設立を目指すという構想がある。

□放置自転車対策の推進:環境土木部 3745万

・撤去及び啓発活動 歌舞伎町一丁目及び周辺

□路上清掃・不法看板の撤去等:環境土木部 4090万

・繁華街クリーンアップ作戦 

[路上清掃委託(歌舞伎町及び新宿駅東口、高田馬場駅周辺など、水曜日、年末年始をのぞく毎日 午前9時から12時・午後1時から4時)]

[歌舞伎町クリーン作戦(水曜日)地元団体・ボランティア等との協働による路上清掃の実施]

毎週水曜日、中央通りとシネシティ広場にてボランティア清掃を継続しているが、これをもうすこし本格的に参加者を増やそうという課題がある。

[警察との協力による不法看板撤去、チラシ、はり紙等の撤去の実施]

□歌舞伎町及び周辺地区の計画策定・整備の促進:都市計画部 525万

・まちづくり誘導方針の策定 [まちの現況調査をふまえ、課題を整理して誘導方針、事業誘導方策などを検討]

現在、㈱都市みらい総合計画研究所による歌舞伎町現況調査が進められており、第三回歌舞伎町ルネッサンス推進協議会でも途中経過について都市計画部の折戸課長から報告がなされた。㈱都市みらい総合計画研究所の土井さん、最近しょっちゅう歌舞伎町でウロウロしてますね、ご苦労さまです。今年度中に現況調査をまとめあげ(17年度予算)、ひきつづき18年度予算で誘導方針案をまとめていく。とはいえ、四葉会再開発の計画内容やスケジュールとの兼ね合いもあるだけに、けっこうな重作業かもしれない。

□歌舞伎町地区の道路整備:環境土木部 1億4272万

・歌舞伎町地区の道路整備 [花道通りの自動車停車帯の確保と歩道の拡幅]

新宿区歌舞伎町二丁目23~45番 現道幅員 10m(歩道2m+車道6m+歩道2m) 延長約255mを整備し、歩道3.9m+車道3.5m+歩道2.6mにする計画

予算規模としては、18年度新規事業として出てきたもので、道路整備ということで比較的大きい予算が付いている。歌舞伎町周辺道路の整備計画は花道通りの歩道拡幅以外にも19年度計画西武駅前通りの相互通行化と歩道拡幅、関連するところで職安通りの青梅街道に抜ける部分の拡幅(都計画)などがある。

「花道(はなみち)通りの名にふさわしい、みんながわくわくする、人がたくさん集まる通りにしていきたい」と中山区長。花道通りは、歌舞伎町一丁目と二丁目の境目に位置、歌舞伎町の真ん中を東西に二分する主要基幹道路。風林会館前から歌舞伎町交番前までが一方通行、交番のところから西武新宿駅前通りにぶつかるまでが相互通行になっている。

  

  • 歩道舗装(インターロッキング舗装) 1,600㎡
  • 車道舗装(アスファルト舗装)              640㎡
  • 排水工                                                   500m
  • 植栽                  一式

歌舞伎町一丁目は、ほとんど住んでる人はいない。主に商業中心の繁華街であり、歩行者優先のアメニティ空間を目指したエリアであるのに対し、二丁目側は住宅(マンション等)もあり、また地域内にはその多くがバーとホテルであるために車の乗り入れも多く道路の整備需要が高い。花道通りは、1・2丁目の特性の違う街の境目にあり、今回の歩道拡幅・道路狭隘化について、むしろ花道通り全体を相互通行にすべきという対立意見も多かったようだ。

根本にあるのは、歌舞伎町ルネッサンスにおいての原点でもある治安対策。つまり暴力団排除を戦略的に進める手法としての要素が強い。暴力団は、自分達の縄張り、あるいは力の誇示に事務所前に目立つように車を置く傾向がある。つまり、車をおけなくしてしまえば組事務所として機能しにくくなる、ということで暴力団関係事務所の多い花道通りを駐車できなくする目的で、昨年初めに架設ボラードを設置して道路部分を狭隘化、これが一年たって組事務所の排除等に効果があったということで改めて歩道拡幅という計画にいたった。花道通り周辺の店舗や二丁目周辺の駐車場は、店にもよるだろうが、わりと多くが暴力団関係者とホステス・ホストに売上を頼ってきた傾向がつよく、そのため老舗の割烹などが次々と閉店に追い込まれたという経緯もある。空き室・空きテナントのあふれる歌舞伎町、というイメージのある意味象徴的な道がこの花道通りともいえる。

 

暴力団排除に向けての違法駐車対策から警察主導ですすめられたこの花道通りの歩道拡幅計画であるが、一方みまわすと、今のボラード内には違法駐輪の自転車やバイクが大量に止められている。歩道拡幅に反対した方々が危惧してたのは、ここにもあり、今度は歩道に乗り上げてとめられかえって歩きにくくなるのではないかという心配である。違法駐輪対策に予算を多くとっている区の計画を見ると、ここらへんを重点的にするつもりはあると期待したい。

歌舞伎町1丁目は、16時以降基本的には車両の乗り入れは禁止されている。しかし、ここ最近の傾向として、たとえば閉鎖された案内所や空きビルなどの前が違法駐輪場・駐車場になっている。歌舞伎町1丁目内でレッカーはほとんどされないことを見計らっての確信犯的なものは明らか。さらに、今後花道通りの歩道拡幅によってとめられなくなった車両・バイク、仮に徹底的に駐輪を締め付けた場合、それらがまちがいなく歌舞伎町1丁目内の閉鎖テナントや空きビル前などに移動してくることも懸念される。

  

警察所轄、違法駐輪対策を進める区の環境土木は、こういった傾向を想定しての対策を期待したい。花道通りの歩道拡幅は、18年度秋ごろに着工、来年の春に完成の予定。

関連記事:

歌舞伎町花道通りの狭隘化、いよいよ本格始動か。

花道通りの狭隘化ボラード

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花道通り歩道拡幅計画決定における背景について

↓花道通り整備後のイメージ(歌舞伎町2丁目、割烹車屋前からハイジア側を望む景観イメージ)

花道通りの歩道拡幅・車道の狭隘化について、以前も歌舞伎町1・2丁目間において意見の対立があったことは書いた。この1・2丁目というのは、行政から見た場合、1丁目は歌舞伎町商店街振興組合、2丁目は2丁目町会を指す。それぞれが地域の実態の総意形成を指すかどうかは別にして、公式な民間の代表組織という意味である。はっきり言ってしまえば、暴力団を排除しようとする1丁目と警察、傾向として暴力団とある部分共存関係にある2丁目といった構図に根本を持つ対立。しかも住民のいる2丁目の意向を区は無視しにくい。そのため、当初架設ボラードによる対策実施時にも、1丁目と警察vs2丁目と区という対立があった。それでも警視庁による費用負担によって強行に実施され、結果暴力団排除には有効という意味で今回の歩道拡幅工事が決まったわけだ。

問題は、2丁目が黙った理由である。昨年、この件について区と2丁目、つまり歩道拡幅に反対していた側は水面下で協議し、いくつか2丁目側から提示された条件を区がのむ(18年度以降の予算化)ことで合意形成を行った。その条件が以下。

・西武駅前通りの一部相互通行化(現在職安通り側から靖国通り方面へ一方通行)

・三番通り(船藤、オスローバッティングセンター、塩田屋前)の整備事業と職安通り側へのアーチ設置

・大久保公園をイベント広場化

1丁目側と2丁目側の地域特性は違う。歩行者優先、2丁目は車の回遊性を求めている。だが、どれも数億規模、花道通り歩道拡幅(1.4億)を実施するための二丁目対策の交換条件らしいが、それにしては随分と区も大盤振る舞いだなぁと。シネシティ広場改修計画なんて1千万とか2千万の話で紛糾してるのに・・・。まぁ、それでも地域全体のコンセンサスがとれてるならそれでもいいのでしょうが、1丁目の重鎮と思われる方々に当然知ってると思って話を聞いたら「区からの説明はなし」「単純に2丁目からの要望案があるとだけ聞いていた」ということだ。

これが発覚したのは19年度のまちづくり計画策定について、18年度に作業をして区や国に対し提出しようという話を活性化プロジェクトやよくしよう委員会で話題が出ていた矢先に、区の方からストップがかかり、理由を問いただしたところ「19年度の歌舞伎町ルネッサンスにおける国交省のまちづくり交付金は二丁目の道路整備計画(上記)にあてることが内々で決まってるため」ということのようだ。

誰が区との間で介在し、誘導したのかここでは言及をさけるが、今回の水面下でのプロセスについて波紋は広がり始めている。18年度、誘導方針案をまとめていこうという時期に、これでいいんでしょうか?

18年度、新宿区に歌舞伎町ルネッサンス課という専管部署を設置すると聞いているが、歌舞伎町ルネッサンス推進協議会を開催していろいろ議論したり、とくに活性化プロジェクトもまちづくりやKIHEIプロジェクトも行政から1円も予算をもらわず、というか主として歌舞伎町商店街振興組合事務局主導によるマンパワーと一部協賛スポンサーで進めている現状、今回の計画内定のプロセスは問題ではないか。

一番街やさくら通りなどの老巧化したビルの建て替え促進や景観問題、客引き問題、治安対策など緊急課題は山積で、実体におけるプライオリティと区による計画策定にはどうも開きを感じていますが、まちづくり交付金を出す国交省さん、暴力団対策に本腰をいれ区や2丁目の反対を押し切ってまで花道通りの歩道拡幅を後押しした警視庁さん、どう思いますか?

 


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