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一Sonyファンより2006年のSonyへ [Sony・全般]

2005年も今日で最後となりました。今年のSonyを振り返ると、前半は経営陣の総入れ替え、後半はCCDの不具合問題、XCP問題や非難囂々のコネクトプレーヤといった失態を次々繰り返すなど、Sony史上最悪の低評価に見舞われた年だったと思います。

それ以上にSonyファンである僕が危機的だなと感じたのが、「Sonyらしい製品が減った」ということです。

そもそも「Sonyらしさ」とは何か?皆さんそれぞれに「Sonyらしさ」のとらえ方は違うと思いますが、僕は、

「楽しくて、斬新で、他の会社じゃやらない先駆者的な製品」

にSonyらしさを感じます。

では、それが今年のSonyから感じられなかったのは何故か?死ぬほど暇だったタイのまっすぐな道を走りながら、僕なりに考えていたのですが、Itmediaの小寺信良氏のブログに一つの解答をみつけました。

そこにはこう書かれています。

>たぶんこのヘッドフォンは大して売れなかったんだろうけど、それでもこういう製品を世の中に問う形で送り出せたのが、ソニーのいいところだったのだろう。最近はどうも、してやられたところを挽回しようと躍起になっているようなところがあるが、そういう仕事は時間も資金も人力もかかる割には、大して報われないんじゃないかなぁ。

今年出たBRAVIAもWalkmanも、「こんなのあったらもっと楽しい」というアイデアから生まれたモノではなく、今までSonyがトップシェアを誇っていた分野を、SHARPやAppleに取られてしまったので、あわててそれに対抗しようと企画されたとしか見えないモノです。

でもそんなふうに営業サイド的な見地から「売れてない、どうにかしろ」という命令で作ることになった製品に、Sonyの技術者のパワーや愛情をどれほど注ぐことができたというのでしょう?

しかもSonyという会社は、元来「すでにある市場を開発力と営業力の力業で取りに行く」ことよりも、「技術者の『こんなのが欲しい』『こんなのがあったら面白い』というアイデアで製品を作り、市場は後から自分達で作りにいく」というやり方を得意とする会社のはず。

自分たちの企業風土にも伝統にもない「市場優先」の製品開発をやったところで、Sonyらしからぬ付け焼き刃的な製品しか出来ないのは当然です。

しかし過ぎてしまったことを嘆いていても仕方ありません。

今日は大晦日記念として、2006年のSonyに向けて主な製品への提言を書いていきたいと思います。

あり得ないことですが、出来れば社長の中鉢さんが読んでくれることを願って・・・


・BRAVIA

 

今年WEGAからブランド変更され、新たなスタートをきったBRAVIAですが、他社製品よりも確かに画質はいいですし、それなりに売れているようですから、大赤字のSonyのテレビ事業もなんとか一息つけるようになるかなと思います。

しかし冒頭申し上げたようにBRAVIAがSonyらしい製品かというと、僕にはとてもそんな風には感じられません。だいたい「ソニーパネル」といくら宣伝したところで、韓国産のサムスンパネルだと市場には知れ渡っており、トリニトロンのようなSonyオリジナルの技術というイメージがBRAVIAにつくことは、今後も無いと思います。

結局今のBRAVIAのラインナップでは、SHARPのAQUOSとの差別化が出来ず。無意味な価格競争に陥って、利益が上がらないままズルズルと作り続ける結果に終わるような気がしてなりません。

一方僕も何回か取り上げたナナオのFORIS.TVは、僕の記事にも常に定期的なアクセスがあり、僕も高評価を与えたように、自社パネルじゃないテレビでも、ユーザーからの注目を集め、十分に高画質なテレビと、市場でのブランドイメージを作ることが出来るということを証明しています。

そこで2006年のBRAVIAに提言です。

40インチ以上の液晶テレビ市場は、SHARPとの差別化が困難なので放棄した方がいいと思います。そこで現在の32~46インチという液晶BRAVIAのラインアップを、19~32インチにシフトさせたほうがいいのではないでしょうか。

そして全サイズHDMI端子3系統以上装備、全サイズベガエンジン装備、といったようにサイズに関係なく高い性能を維持することで、「Sonyはちょっと高いけど高画質・高品質」というイメージを確立すべきです。

で、40インチ以上はどうするか。これは今年何度も申し上げたとおり、リアプロ一本で行くべきでしょう。BRAVIA Eに使われている透過型パネルも、反射型パネルのSXRDも、完全Sonyオリジナルのパネルです。これこそ「ソニーパネル」を名乗るにふさわしいですし、SXRDの高画質は液晶もプラズマも追いつけません。

市場としてはまだまだ大きくないですが、BRAVIAブランドのイメージ向上のためにも、フラッグシップ機として、42/50/60インチのSXRDリアプロの2006年の早期投入を強く望みます。

Sonyが液晶よりもリアプロ普及に挑戦することを願ってやみません。

 

・Walkman

今年ユーザーの期待を最も裏切った製品はこれでしょう。前半こそNW-E40X/50X(ウォークマンスティック)がヒットを飛ばし、「ついにWalkmanも復活か?」と思わせましたが、9月のWalkman Aとそれに付属してきたコネクトプレーヤのあまりの不出来に逆に評価を暴落させ、一部では「もはや死んだも同然」とまで言われるほど落ちぶれてしまったWalkman。

こんなことになってしまった最大の理由も冒頭に述べたように、「iPodに対抗する」という企画のスタート地点そのものが間違っているからにほかなりません。

26年前、Walkmanによって「音楽を外に持ち出す」という基礎が確立され、21世紀、iPodによって「音楽を全て外に持ち出してもっと自由に楽しむ」というパラダイムシフトが実現されました。

今更それに対抗して「インテリジェントシャッフル」なんて打ち出したところで、iPodの二番煎じのポジションより上に行くことなど起こりえないでしょう。

Sonyに必要なことは、iPodの真似をすることではなく、iPodを駆逐する次のパラダイムシフトを起こす製品を作ることです。

それがどんな製品かは、以前書いたとおり「携帯電話Walkman(ワイヤレス・ウォークマンと言うほうがわかりやすいかも)」だと僕は思っています。

ただし携帯電話の技術の進化から考えても、次のパラダイムシフトはあと3年以上後の話になると思うので、2006年は多少売れなかろうが、ポストiPodを見据えた準備と挑戦の年にすべきと考えます。

具体的には、無線LANで母艦と同期する機能、ヘッドフォンはBluetoothを使ったワイヤレスヘッドフォン、携帯電話の赤外線アドレス交換のように、友達のWalkman同士を近づけて曲やプレイリストを無線で受け渡すことができるような機能(もちろん受け渡し時にはDRMをかけて、本当に聴きたい曲はサイトから権利を買わないといけないようにする)、といったワイヤレス・ウォークマンの基礎をスタートさせて世に問うてみること。

これも何度も言ってますが、日本以外はSonyがWalkman + Connect Player + Connectという形で、ハード・ソフト・配信サイトを一括提供しているのに、日本だけ配信サイトがレーベルゲート(Mora)という形で別会社になってるので、使い勝手もわかりやすさも明らかに悪くなっています。これを是正するためにも、レーベルゲートは一日も早くSonyが買い取って、全世界を「Connect」で統一すべきでしょう。

そしてWalkmanだけでなく、Sony全体の将来を考えても、ソニーエリクソンのSonyへの再吸収も一日も早く行うべきだと思います。

 

・スゴ録/PSX

結局、このDVDレコーダという商品は誰一人儲かることなく終わってしまった感があります。Sonyも松下も東芝もパイオニアも、みんな「DVDレコーダで大きな利益を上げた」という話は出てこずじまいでした。まさに勝者なき繁忙。

僕はスゴ録という製品が好きではありません。クリップオンからコクーンへと繋がる流れや、PSXが未来のレコーダ像を見せてくれた非常にSonyらしい製品だったのに対し、スゴ録はデザインも機能も20世紀的で、旧態依然としたAV機器でしかなかったからです。

バラバラだったレコーダ部門が統合され、今年のスゴ録はコクーンやPSXの血も受け継いだ未来的な部分も手に入れることができました。ですが未だにLAN端子もメモリースティックスロットも搭載せず、ただ番組を録るだけの機械から脱し切れていないのはどうかと思います。

2006年はSonyのビデオ事業の勝負の年になると思います。

それはなんと言ってもBlu-ray + HDDのハイブリッドレコーダが満を持して登場する年だからです。

ではどんなBDレコーダがいいか、少なくともBDレコーダにスゴ録ブランドを使うのは止めてください、旧世紀のイメージがついてしまいます。SD録画に関しては、PSP連携、ロケフリベースステーション機能、スカパー連動、携帯電話の外から予約等の機能は必須だと思います。HD録画に関しては、画質に手を抜かないこと、デジタルチューナーもダブルチューナー機を用意すること、といったあたりでしょうか。もちろんLAN端子装備で、機能のアップデートも出来るようにすることは言うまでもありません。

Sonyらしい手を抜かないチャレンジングなレコーダの登場を期待します。

 

・VAIO

 

海外では売れに売れていてすっかり元気になったVAIOですが、今年は製品も「新TypeT」や「Xビデオステーション」などSonyらしい製品も増えていい年だったと思います。

この勢いを2006年も続けるためにも、VAIOノート505/VAIO C1に匹敵するような、VAIO全体のイメージリーダになれる1スピンドル超軽量ノートの復活、VAIO Uのような面白い使い方の小型機の投入、

ここらへんを希望します。VAIO部門は比較的Sonyらしさが残っているところなので、期待は高いです。

 

・PS3

単刀直入に言いましょう。

PS3の発売は2006年12月の年末商戦まで延期すべきです。

Xbox360の散々な出来を見てもそうですが、今ここで、遊べるゲームソフトも少ない、ハードの生産も安定しない、という状態のままあわてて発売しても、こけるのは目に見えています。

特にPS3はBD-ROMプレーヤ機能を持つ以上、青色レーザーのピックアップの安定供給は欠かせません。しかもAV機器と違い、ゲーム機は桁違いに多い数の販売数があります。普通のBD-ROMプレーヤがようやく発売になるという来年春の段階で、そんなことが出来るとはとても思えないのです。

そして何と言っても発売したところで「何のゲームがあるの?」という疑問もあります。

どうせXboxはあの有様ですから恐るるに足りません。確実に一歩一歩発売の準備を進めるべきでしょう。

 

・Cyber-Shot/Handycam

Handycamに関しては今のところ安泰だと言っていいでしょう。HVR-A1Jユーザーからみても、HDR-HC1はSonyらしい素晴らしい製品だと思います。ただビデオカメラ全体の市場が、伸び悩みどころか縮小傾向にあるので、今までのDVテープやDVD-RWを使ったHandycamとはまた違う、思い切った製品ラインの創設が必要だと思います。

Cyber-Shotは逆に酷い年でした。薄さにチャレンジしたDSC-T7はあったものの、それ以外は挑戦的な製品を出すわけでもなく、売れ筋の製品を出すわけでもない、中途半端な戦略に終始していました。年末になってようやく、DSC-T9という売れ筋ど真ん中の製品を投入してきましたが、それでも往時の勢いはどこへやら。

個人的には、どうもここ何年かの光学系部分のムリな共通化に原因があるように思えてなりません。

コストはかかってもそのカメラの性格に応じた最適な光学設計というのはあるはずで、コンパクトカメラの光学系のほとんどを、T系とP系の二つに整理していたのがSonyのカメラの面白さを奪っているのではないでしょうか。

もっと技術陣や企画陣が自由に設計できるような、光学系のバリエーションを許容することが経営サイドには必要だと思います。特に広角に強いレンズ+16対9CCDの松下のLX1のようなカメラは、Sonyが最もやるべきカメラに見えるんですけどどうでしょう。

今年はコニカミノルタとの協業でαマウントの一眼レフに挑戦するSonyですが、平凡な弁当箱+レンズという構成で出しても、NikonやCanonに勝てるわけは無いのですから、Sonyならではの動画の撮れる一眼レフとかそういう個性的なカメラを期待します。

 

と、これからのSonyの中心となる6事業を見てきたわけですが、やはりまだまだSonyは苦しい状態が続くなぁという思いは拭えません。

特に前の出井さんと違って、ストリンガーさんや中鉢さんは派手な記者会見とかをしないので、今ひとつ何を考えているのか、消費者に伝わってこないのが不安です。

2006年のSonyはこれで行くんだ!

という決意表明みたいなものを新年アメリカで開かれるInternational CESで聞かせてくれるといいのですが・・・

とにかく来年も僕はSonyを応援していきます。久しぶりにSonyのテレビも買う計画ですし、僕が「もうちょっと待ってれば良かった」と悔しくなるような、すごい製品の登場を期待して、2005年のIt's a ...のSonyファンサイトとしての活動を締めくくりたいと思います。

今年一年Sony関係者の皆さん、お疲れ様でした。


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ahtoh

PS3は今のサポート体制のままでは発売しても買い控える人が多い野ではないかと危惧しています。
PS2、PSPと製品の裏切られたと感じているユーザーは少なくないはず。
僕もPS2では初期不良品らしき物に当たり、初期型はあまりまともに動いてくれませんでした。僕自身は修理に出し忘れていたのですが、修理に出した人の話を聞くと、その応対はかなりひどいようですね。
いくら性能の割りに安いからといって、安心して買えないなら買う気は起こりませんよ。
買った製品が初期不良で使い物になりません。残念でした。
これじゃ話になりませんからね。
特にゲーム機ということで基本的には相手は子供だと思いますし、この対応により未来のアンチソニー派を増殖させないかと考えると・・・。
by ahtoh (2006-01-01 21:51) 

akoustam

>ahtohさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

僕は不思議とPS関連は、はずれをひいたことがないですね。VAIOははずれをひくことが多いですけど。

PS3は無理して春に出しても何も良い事ないように思えます。あの超絶高スペックには、ライバルらしいライバルもいないわけですし、もっとじっくり取り組むべきでしょう。

この春は単独BD-ROMプレーヤの発売に集中して欲しいですね。それでPS3の設計をより安定させる事が出来るでしょうから。
by akoustam (2006-01-01 23:25) 

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