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2色の世界 [オランダ]

 さてさて、前回の記事から引っぱる、気になる答え。 Fries Museum(フリース博物館)で、とても興味をひいたものは・・・

 ・・・ヒンデローペンの家の壁に使用されていたタイルです。 (・・・えっ? な~んだ・・・ですか?)

 ぎっしり貼られた壁のタイル

 の素朴な世界は、モノクロ写真よりも、すこし主張があって、それでいて、余計なものを省いた、必要最低限のものを集めた感じがします。 また、お堅い雰囲気ではなく、ちょっぴりマンガっぽいのもありで・・・。 

 それに、ここのタイル、1枚1枚、異なる図柄です。 でも、なんらかの順番があって、並べてあるわけでもなさそう。 

 偉い人にご挨拶をしている人(?)

 中央のタイル、「王様、お目にかかれて光栄です。」って感じです。 さらに、よく見ると、隣のタイルと微妙に、四隅の柄が異なっていたり・・・。

 オランダで陶器といえば、「Delft デルフト」を挙げるかたが多いと思いますが、他にも「Makkum マッカム」があります。 (発音的にはマックムが近いのですが、マッカムで紹介されることが多いので。)  

 現在も、1594年創業の陶器工房「Koninklijke Tichelaar Makkum(王立ティヒラー・マッカム)」が製作を続けています。 

 デルフトと同様、ブルーを基調としていますが、中には、など加えた色彩豊かなものも多いです。 タイルも手がけています。 そして、価格も同様、高額 です・・・。 レーワルデンと同じ、フリースラント州にあり、ヒンデローペンとも近くです。 

 私には、陶器やタイルを一目見て、これはデルフト、これはマッカムと、まったく判別つきませんが・・・。

 東方の三賢者 

 聖書のマタイによる福音書に登場します。 彼らは東方に大きな星を見て、その星に導かれて、ベツレヘムの、幼子イエスのいるところへ。 そして贈り物、乳香・没薬・黄金を捧げます。 

 私は三賢者が大好きで、大人になってから、クリスマスの飾りも三賢者から集めました・・・。 (ちなみに、「うちは仏教で、家にも煙突がないからサンタさんは来ないよ。」 と両親に言い聞かされて育ちました・・・。)

 キリストの誕生 

・・・ですよね。 後ろにいる牛の目が怖いですけど。 ルカによる福音書では、三賢者は登場せず、羊飼い達が幼子イエスのもとを訪ねるそうです。 

 井戸とキリスト 

 中には、こんな茶色で描かれたタイルもあります。 これは、“ヤコブの井戸”でサマリア人の女性に水を求めているシーンのようです。  

 空から降りてくる天使たち 

 眠るヤコブのもとへ、空から3人の天使がやってきます。 その登場の仕方が、なぜだか、階段を下りて・・・。 羽があるのに、どうして飛んで来ないのか不思議なんですけど。 

 巨大葡萄を運ぶ人 

 これも、聖書に出てくる話みたいです。 モーセが男の人ふたりに、カナンの地を見に行かせた時に、彼らは、ザクロイチジクとともに、ひと房の葡萄にかけて持って帰ったそう。 こんなに巨大な葡萄、食べてみたい。 フランスの教会のステンドグラスには、このシーンを描いたものも多いとか。  

 以前、ドイツHambach an der Weinstrasse (直訳:ワイン通りに面したハンバッハ)という村のWeinstube(ワインの酒屋)に泊まったことがあり、そこの村の葡萄畑の入り口に、やはり、木や蔓でできた、こんなオブジェがありました。 

 聖書に詳しければ、もっともっと、この部屋のタイルが味わえるんでしょうね。 

 Bedstede収納型ベッド)

 扉を開けると、中は、こんな風になっています。 少し狭い感じ。 完全に横になるわけでなく、壁にもたれるように眠ったそう。 

 部屋の壁には、白地に青で描かれたタイル。 夜、 眠りに付く前に、ひとつひとつが、それぞれのお話を聞かせてくれそうです。


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何も思わない観光客だったら、何気なく通り過ぎてしまいそうな…。
でもこんなに沢山、しかもずべて別の絵柄となると、凄いなあと改めて感動。
Inatimyさんの審美眼にも感服。

青と白(時たま茶色)の世界だからこそ、こんなに沢山の絵柄も統一された美しさの中に存在出来るのですね。
by (2007-09-12 20:27) 

はっちん

Inatimyさんが、とーっても穏やかな口調(?)でタイルの絵に時々鋭い突っ込みを入れているから、楽しくてたまりません。^▽^
担いで運ぶほどの葡萄だと、一粒一粒がかぼちゃくらいありそうですね♪
by はっちん (2007-09-12 21:08) 

krause

一つ一つの絵柄をみるのも楽しいですね。
by krause (2007-09-13 05:12) 

julliez

ほのぼのとしたタッチの絵が心地よいですね。
日本のお茶碗とかに描かれるブルーっぽさを感じたら、ご飯が食べたくなってきました。
by julliez (2007-09-13 06:26) 

rino

タイルの一つ一つがちょっと古くなっていて、でも絵の表情や色が温かみを感じます。Inatimyの解説がなければ、絵の意味がわからず通りすぎてしまうところかもしれません。
Inatimyさんのいつも一つのものに対してこだわりを持って見つめているお姿がすてきです。
by rino (2007-09-13 07:28) 

詳しい解説ありがとうございます。ひとつひとつが楽しめますね。
収納型ベッド、カワイイです☆
by (2007-09-13 08:48) 

newyork

こんなに凝ったタイル、見たことなかったです。1つ1つが物語りになっているのですね。教会のステンドグラスみたいですね。これらのタイルはどのくらい古いんですか?
収納型ベッド、うちにほしいです!子供の頃、押入れでかくれんぼをしたのを思い出しました。ここだったらかくれんぼをしながら良く寝れそう。完全に横にならないベッド、ベルサイユ宮殿で解説を聞いたのを思い出しました。昔はいつでも敵が襲ってきたら起きれるように、短いベッドで仮寝状態で睡眠をしていたらしいですね。この収納型ベッドももしかしたらそういう意味があるのでしょうか?
by newyork (2007-09-13 11:14) 

MOCOMOCO

いろいろな模様のタイルがあって、見ていて飽きないですね~^^
一つ一つに物語が隠されているようで面白いです。
デルフト焼きは知っていましたが、マッカム焼きというのは知りませんでした。本物を見てみたいです^^
by MOCOMOCO (2007-09-13 12:51) 

ムーミン

一個一個の絵が、丁寧に描かれていて素敵ですね。
タイルの色が、綺麗!
ゆっくり見てみたいですね^^
by ムーミン (2007-09-13 15:50) 

noriko

うふふ♡
雲の切れ間から陽光がさしてくるさまを英語で Jacob's Ladder (ヤコブの階段)ってよびます。
天使が降りてくる階段がそれ^^
そう思ってみると納得しちゃうでしょ?
by noriko (2007-09-13 21:58) 

Inatimy

⇒きぃ* さま、xml_xsl さま、jules さま、plot さま、オデコさま
nice! ありがとうございます。

⇒Roseblanche さま 
色の統一で家の中がスッキリ見える、というのは、勉強になりました♪ 我が家も小物雑貨が多いもので・・・。 しかも家具付き賃貸なので自分の好みの家具ではないところが、さらに難しいところです。

⇒はっちんさま 
まぁ・・・鋭い突っ込み、だなんて・・・素朴な疑問や感想ですよ~♪ かぼちゃサイズの葡萄、半分ほど凍らせてデザートにいいですねぇ。

⇒Krause さま 
これでも、ぱっと見て気になった箇所だけチェックしたので、じっくり見ればもっともっとスゴイ絵柄があるのかもしれませんね♪ 

⇒julliez さま 
青と白って、やっぱり和の食器のイメージですよね。 julliez さんのご飯の話を聞いて、ホウレン草のおひたし、カレイの煮付け、塩鮭なんか思い浮かべました・・・。 お腹がぐぅです。

⇒rino さま 
表現のスゴさに圧倒されてしまいます。 「変なところばかりに目が行く」も、ものは言いようですね♪ 私も撮った時は、詳細気にせず、気になるもの&気に入ったものを撮ってるんですが、後で調べて、そうだったのか~!っていうのが多いんです。 知らずに撮ってます・・・。

⇒夢空さま 
何気なく目が行ったタイルに、いろんな話があったので、調べていて楽しかったです♪

⇒newyork さま 
確か18世紀ごろのものだったと思います。 この収納型ベッドは、農場の家や風車の家などで、19世紀が流行のピークだったとか。 収納型ベッド、いいアイデアですよね♪

⇒MOCOMOCO さま 
マッカム焼きも、もっと紹介されるようになって欲しいですね。 一目見て、あ、これ焼き魚入れたら良さそう、と思ったお皿の値段を見て、腰抜かしそうになりましたけど。 ・・・日常使いできる度胸がほしいです。

⇒ムーミンさま 
絵付きタイルは1枚でも、たくさん並べても素敵です♪ マッカムの窯元でも、タイル1枚だけ買っても、額に入れたり出来るように専用額売ってます。

⇒てんとうむしさま 
ちょうど、この日の朝、大堤防で、雲の切れ間から陽光が差し込んで、海面を照らしているのを見ました! 「ヤコブの階段」だったんですね。 ヤコブというと、私の中では、帆立貝(オランダ語で Jakobschelpen ヤコブの貝)のイメージしかなくって・・・。
by Inatimy (2007-09-14 17:31) 

jyoji-san

詳しい説明で一つ一つが楽しめました。天使の羽が役に立ってない・・・はうけました。(笑)
by jyoji-san (2007-09-16 01:45) 

Inatimy

⇒amaguri さま 
意外な笑いどころになって、びっくりでした♪ 本人は、ほんとに素朴な疑問でしたので・・・。
by Inatimy (2007-09-24 22:11) 

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