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東京イラストレーターズ・ソサエティ “わたしとJAZZ展” [ART]

 2月27日(火曜日)

 毎月末、みなとみらいすぐ傍の横浜合同庁舎へ必ず用が有って、いつもは大抵クルマで出向くのだけど、この日は1件、目的が他にも有るので電車を利用。役所での用事を済ませたその帰り道、関内駅を挟んで反対側の伊勢佐木町までてくてくと歩いて、横浜市民なら誰でも知ってる本屋さん、有隣堂へと向かう。目的は東京イラストレーターズ・ソサエティに所属するイラストレーター108人による、横浜で育まれた音楽、ジャズをテーマとした作品展「わたしとJAZZ展」を観ること。この日が最終日だった。中でも僕のお目当ては、以前にこのblogでも紹介したことのある川村みづえさん。(参照過去記事→http://blog.so-net.ne.jp/ilsale-diary/2006-09-10




 以前、川村さんのことをnetで検索した時に、昨年もこの有隣堂で東京イラストレーターズ・ソサエティの展覧会が開催されたことを後から知った僕は、こんな身近な場所でそんな催しが有ったのかと地団駄踏んでしまった。予め気が付いていたなら絶対観に行ったのに~!。だって、川村さんの作品を直に観られるような機会なんて、そうそう有る分けじゃないんだから。

 その悔しさを思うと、今回はどうしたって見逃したくなかったのだけど、やっぱりいつもどおり愚図愚図していてあっと云う間に最終日。この日は会場撤収の都合もあって5時終了とのこと。もし役所で時間が多く掛かってしまったら間に合わなくなるかもしれない。それなら近くまで行って駐車場を探す手間も省かなきゃ危険かも・・・なんて気持ちも湧いて、わざわざ電車に乗って出掛けたと云う次第。合同庁舎から有隣堂は近いんだけど、わざわざクルマ移動するとまどろっこしいから(苦笑)。



 そんなこんなで用事を済ませ、有隣堂に着いたのは16時半。残念ながら許された鑑賞時間はたったの30分程度。先ずは川村さんの作品を真っ先に探した。そして念願の作品とご対面。

 ・・・だったんだけど、ジャズがテーマと云う足かせ(?)が有った所為だろうか、川村さんの今回の出展作は僕の好きな、淡くささっとした素早い筆致の例のスタイルではなく、紫色した夜景をバックにMJQの面々が描かれたその作品は、かなりきっちりと塗り込まれたものだった。うーん。最近の川村さんの画風はこうなのだろうか?。嫌いなわけじゃないけど、ちょっと予想外だったかも。(これは余談だけど、川村さんの実のお兄さんは作曲家・小林亜星さん。その昔、亜星さんが米軍基地でジャズ演奏をしていたこともあって、川村さんにとってのジャズは割合身近な音楽だったそうだ。)

 ちょっとした物足りなさ、やっぱり何点もまとめて観られたらとも感じつつ、それでも川村さんの作品をこうして初めて目の前で観られたわけだし、自分の中ではまずまずの満足感。いつかまたこんな機会もあるだろう。

 他の作品もさっさと観ないと時間無くなっちゃうしね(汗)。



 ところで、この展覧会に出展されている作品はこの場で販売されていて、申し込めば展覧会終了後に入手することが出来るんだそうな。僕も作品番号と値段の入った一覧表を手に、ちょっとだけバイヤーになった気分で作品鑑賞(笑)。川村さんの他、安西水丸、安斎肇、ソリマチアキラ、黒鉄ヒロシ、和田誠各氏の大御所の作品を目の前にして、ほ~う、これが○○円するのかーなどと、普段とはまた一風違った絵の楽しみ方をしてきた。
#ちょっと或る意味、俗っぽくてなんだかイヤらしかったかな・・・(苦笑)。

 今回観た作品の中で僕がいいな、と思ったのは人気イラストレーターでTVなどでもよく見掛ける上田三根子さん(http://www.tis-home.com/cgi-bin/artist.cgi?id=20)の作品だった。

 リラックスしたムードで自室にてレコードを聴く女性の描かれたそのイラストは赤を基調としていて、いつもほんわり家庭的ムードの人物画が得意の上田さんの作にしては珍しく、ほんのちょっぴりセクシーな女性(^^ゞ。こちらは好い意味で意外なムードの作品だった。

 値段は有名な方達でも目が飛び出る様なものではなかったけど、それでも僕にとってみればかなり良いお値段。例えば、少しだけ本気になって買ってしまおうかと悩んだ前述の上田さんの作品が7万円超くらい。ただ、この30センチ四方の小さな作品を1枚買ったら、2ヶ月くらいワインは1本も買えずに我慢かなぁーなんて思うと、僕にはやっぱり、どうしたって踏み切れなかった。それに、どうせ素敵な絵が在ったって、似合うような部屋が無いしね~・・・(苦笑)。



 展覧会全体を観た感想は、描かれているジャズのイメージがちょっぴり古くさくて、本当はイラストレーターの皆さん、如何ほどまでジャズが好きなものなのかなぁ?との感も無きにしも非ず。だって、相変わらずサッチモ(ディジー・ガレスピー)だとかビリー・ホリディ、マイルスの世界なんだもの。感性の豊かな方々の集合体なのだから、もっと違ったイメージの、現在進行形のライブ感のある「描かれたジャズ」が見たかったなぁ~、が僕の正直な気持ち。

 そんな中で、この展覧会のポスターにもなっていた山崎杉夫さんの絵(冒頭写真)は見つめるうち、ウッディなアップライト・ベースの深い音色が今にも鳴り響き始める様な、しっかりと「音が見える」作品だった。

 もし僕がアルバムをレコーディング出来る様なミュージシャンで、この日の出展作品の中から自分のCDのジャケットの為に、1枚の絵を選ばなくてはならなかったとしたら、きっとこの絵にするだろう。ベーシストにはチャーリー・ヘイデンがいいかな(笑)。


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TaekoLovesParis

ひとつひとつの絵に値段がついているっていうのが、鑑賞側にとっては、「この値段なら買い」、「え~これ、絶対買わない」とかって、楽しめますよね(あ、、、ごめんなさい)

私にとっても川村みづえさんは、ほんわり淡い色というイメージなので、
紫の夜景、が想像できません。でも、いろいろなものが描けてこそプロ
の画家だから、それも「あり」なんでしょう。亜星さんの妹さんだから、川村さんにはジャズのリズムが刷り込まれているんでしょう。
yk2さんのお兄様もジャズ好きだったんですか?

上田三根子さんのサイト、見てきました。
お茶目でかわいいですね。
イラストと油絵って基準価格が違うのか、同じなのか、って、さっき、plot
さんの展覧会を見たばかりなので、つい、考えてしまいました。

<描かれているジャズのイメージがちょっぴり古くさくて>
→やはり、「今」を感じるものから刺激を受けますよね。その刺激がまた
新しい未来を作っていくわけだし。映画音楽では、ジャズで時代を表現して
いる時が多いけど、当時のものよりテンポが速くなっていたりしますね。
by TaekoLovesParis (2007-04-08 00:36) 

yk2

>「え~これ、絶対買わない」とかって、楽しめますよね

taekoさん、そこまで具体的に書いちゃダメです。こっちが「ちょっと俗っぽかった」ってぼかしてるんですから。でも実際はそのとおり(笑)。

川村さんはちょっと画風が違っているので戸惑ってしまいました。ただ、taekoさんのおっしゃるとおり、イラストレータは只の画家ではなく、プロなら商業的に様々な注文に応じてタッチを変えた作品を描くこともあるんでしょうね。だから当日の僕も、それはそれで納得して見ました。

上田さんの作品はハンドソープの商品CMなどでTVでもお馴染み。しっかり画風がキャラクターとして確立されている感がありますね。誰が見ても「あ、上田さんの絵だ」って判っちゃう。

イラストと油絵って、基本的には同じ価値基準で観ても良いのかもしれませんが、観る側がカテゴライズしてしまう以上は別物でしょう。ただ、イラストも作品単体の独立性が高く感じられれば他の絵画と何ら価値は違わないはず。例えばですが、僕が山崎杉夫さんの作品を良いと思ったのは、今回のテーマ「JAZZ」がお仕着せのものでなく、ごく自然に、「お題」を超す表現が為されていたからなんだと思うのです。このベース・プレイヤー、とっても存在感が有って、タッチは違うけどまるでレジェの絵を見ている様な気分になりましたもん。

ウチの兄はjazzなんてあまり聴きませんでした。でも兄がいたから僕は大人ぶりたがっていつも背伸びばかりしてたので、今にして思えばjazzもそんなことから手を付けたものだったかも(笑)。そんな僕のjazzへの入り口は中学生の頃観た映画「ベニー・グッドマン物語」でした。
by yk2 (2007-04-08 08:57) 

山崎杉夫

はじめてコメントいたします。イラストレーターの山崎杉夫です。
友人よりこちらのページでjazz展の絵についてコメントして頂いてるとの連絡をもらい覗いてみました。ポスターの絵お褒めいただいて、どうもありがとうございました。照れくさいですが素直に嬉しく思います。担当する事になって中華街近くの491HOUSE等でライブを聞いたりしてイメージを膨らませて描きました。
 さて、横浜に御縁がありそうなので宣伝になってしまっって恐縮ですがひとつ告知させて頂きます。
 昨日より22日(日)まで 元町・代官坂にある日本茶専門のカフェ「茶倉」(http://www.sakura-yokohama.com)にて個展を開催しております。元町にあるバーをモチーフにして書き上げた絵本「黒猫ナイト」の原画展となっておりますので、御興味ございましたら、お立ち寄りいただければ幸いです。
では他のコメントもゆっくり読ませていただきます。今後ともよろしくお願いします。

 
by 山崎杉夫 (2007-04-11 10:42) 

yk2

山崎杉夫さま、コメント頂き大変驚いてます。

こう云う出来事を全く期待、想定しないで思ったとおりに書いてるのに、時々こうしてご褒美にアーティストやクリエイターご本人さまからコメント頂いちゃったりして、そんな時、Netが双方向メディアであることを改めて認識させられます。わざわざこんなところに、ありがとうございます。

展覧会の作品中、横浜の風景も画中に納めてなおかつ、音が聞こえる様なjazzyな作品は山崎さんの作品だけでしたから、お世辞抜きで一番にいいな、って思いましたよ。

「黒猫ナイト」も面白そうですね。元町のBARがモチーフなんですね。どこなんだろう?。ここのところあまり行ってないのですが、代官坂にはその昔VANのOBがやってらした、BEAGULと云う名のメンズ・ショップが在って、中学生の頃から随分と通った馴染みの場所です。是非、期間中にお邪魔したいと思います。

それはそうと、「黒猫ナイト」を調べたくて、山崎さんのお名前でnet検索したところ、Cre8なるサイトでオフデザインのKさんとご一緒の写真を発見して大変驚きました。もうずいぶん昔の話ですが、Kさんは僕が学生の頃アルバイトしていた自由が丘のメンズ・ショップのお得意様で、あれからお引っ越しでなければ、住んでる駅も一緒です。世間は本当に狭いですね(笑)。

こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
by yk2 (2007-04-11 21:51) 

山崎杉夫

yk2さま

そでしたか!Kさんとお知り合いとはビックリです。
クリ8というサイトはオフデザインがまとめている
ので青山近辺で展覧会をすると取材していただいたりして
御世話になってます。ほんとせまいですね世間は。

展覧会お時間ございましたらば是非お越しください。
モチーフになったBARは茶倉にてお問合せいただければ
すぐわかります。

私も不定期ではありますが会場に顔だしておりますので
御会いできればいいですね。

ではまた よろしくお願いします。
by 山崎杉夫 (2007-04-12 09:56) 

yk2

山崎杉夫さま
再度のコメント、ありがとうございます。

Kさんとはお知り合いなんてレベルではなく、遠い昔の事ですのできっとこちらのことは覚えてらっしゃらないと思います。それにKさんはあのお顔立ち(おこられちゃいますね・・・笑)でおられますので、外見的には演出家の久世光彦さんと1、2を競うちょっとこわいお客様でしたから(^^;。
#店の店主氏に確認しましたら、今でも時々お見えになるそうです。

「黒猫ナイト」の会場でもしお見かけしましたら、ご挨拶にお声を掛けさせて頂きたいと思います。若くてカワイイオンナノコにそうされるワケじゃありませんので少しも嬉しくないでしょうが、その辺はまぁ、お許し下さいませ(笑)
by yk2 (2007-04-12 22:55) 

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