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ワイン日記・・・⑩ヌーヴォーが美味しいなんて / CHフュイッセ・ボージョレ・ヴィラージュ [そとごはん、そとワイン]

 12月12日(火曜)

 行きつけのお店で、1本、頼んでもいないのにいつの間にか僕の割り当て分になっていた(笑) ボージョレ・ヴィラージュ・プリムール。放ったらかしにしていたら、新酒解禁からもうすぐ1ヶ月が経ってしまいそう。いい加減にそろそろ飲まなきゃお店にも迷惑だよねと思い、この日抜を栓いてみることにした。

シャトー・ド・フュイッセ・ボジョレー・ヴィラージュ・プリムール・キュヴェ・ジャン・ジャック・ヴァンサン・アン・オマージュ・ア・NY 2006

 名前長いよ・・・(苦笑)。

 なんでもこのボージョレに、ワインに☆印や点数を付けるのがとってもお好きな某P氏は満点となる☆5つを授けたそうだ。それでも、普段ヌーヴォーはおろか、ボージョレ周辺地域のワインをほとんど飲まない僕には今ひとつピンと来ない。「ふーん。それじゃ、さぞかし美味しいんだろうね~」などとは言葉にしつつ心さに非ず。基本的にはしっかり重めのワインが好みである僕の胸の内は、ヌーヴォーが美味しいだなんてことはあくまでも人ごとのお話だった。

 だって、ボージョレ・ヌーヴォーを飲む事自体が多分、6~7年振り。薄くて、酸っぱい。頭の中には、過去のそんなイメージしかない。あくまであれは、今年も葡萄が獲れて良かったね、ワインが出来上がって良かったね、と云う収穫のお祝い、お祭りの為の御神酒であって、普通に楽しむワインとは別物なのだ。

 だから、どんなにどこどこの巨匠が自己所有の畑で自然農法で育てたガメイの古木で、その長い歴史の中で初めて造るヌーヴォーだとか、P氏の評価がどうのなんて聞かされても、あくまでもそれは「ヌーヴォーとしては美味しい」と評価されるのであって、一般のワインの評価とは全く別の次元のお話。

 そう僕は決めつけていた。

 もう回りくどい言い方は止めよう。ヌーヴォーなんて美味しいワケがない。飲まなくて良いワイン。解禁日に我先に、なんて昔のイギリス上流階級の遊び人達が始めた、只のゲームだよ。

 僕は、もうそう割り切って、ヌーヴォーは要らない、って決めつけてしまっていたんだ。

 それなのに・・・。
 この透明感はあるものの、おおよそヌーヴォーらしからぬダーク・チェリー色したボージョレを一口、唇に含んだ途端に僕は驚いてしまった。

 「なに、これ?・・・美味しいよ・・・・・・」。
 呟くように、思わずそう言葉が口から零れてしまった。

 濃厚とは云わないけれど、色のとおりチェリーをさっぱり目のコンフィチュールにしたような(あくまでしっかり水気を煮詰めたようなジャムではない)優しく爽やかな甘みと酸味。ボディだってミディアムと云い切ってよいほどしっかりしている。全く期待してなかったから、そのギャップはかなり大きい。こんなワインだったら、1本と云わずケースで買い込みたかったくらいだ。

 いやはや、ヌーヴォーだなんてと、ずっと思い込んでいた僕は、偉そうに、若過ぎてとまるで相手にしていなかった少女に頬を打たれ、ふと気が付くとその少女が一瞬にして妙齢の美女にすり替わってしまったかのような思いにとらわれた。そう、まさに目が醒める思い、って感覚。マイリマシタ・・・(苦笑)。


 以前TVで、ボルドーの人達がやっぱり新酒の季節のおつまみにはきのこが一番!とセップをドロドロになるまで炒めているのを観たことがあって、僕の記憶にはそれが定番のように刷り込まれている。それだから、今日もやっぱり4種きのこのソテーを貰ってみた。美味しいヌーヴォーときのこ。絵に描いたようなコテコテの秋の味覚の取り合わせだけど、やっぱり滋味深いマリアージュ。蝦夷鹿のタリアータのロケット添え(写真なし)とセットで食すと更に季節感も増して、ヌーヴォー・メニューの気分もいっそう引き立つ。


テヌータ・ベルグァルド ポッジオ・ブロンゾーネ2004
Tenuta Belguardo / Poggio Bronzone Morellino di Scansano

 シャトー・ド・フュイッセが予想外の美味しさであっと云う間に空いてしまったので、即もう一本。これはお店(=Le Chapon)にお願いして、イレギュラーに取り寄せて貰ったイタリアン・ワイン。

 テヌータ・ベルガルドはトスカーナ州南西部ティレニア海沿岸・マレンマ地区に在って、カベルネ・ソービニョンを主体としたスーパー・タスカンを2000年にリリース。それが評判となり名を馳せた新星ワイナリー。

 そのトップ・クオリティのスーパー・タスカンは僕は未だ口にしたことは無いのだけど、ここのところかなり気になる存在。買ってみたいけど・・・と悩んでいた。それじゃ、先ずは味見がてら手頃な価格のものから試してみようと、コイツを取り寄せて貰ったのだ。但し、ポッジオ・ブロンゾーネはカベルネじゃなくってトスカーナの伝統品種、サンジョヴェーゼのワインなので性格は大きく異なるだろうとは思うけど。

 そして、このワインも大当たり!だった。
 程良い濃さ、力強さを持った、まるでブルネロのようなサンジョヴェーゼだ。あまり出回っていないらしいけど、一般市場では3000円をちょっと出る程度の値付けだと聞くこのワインが、こんなに美味しいなんて・・・。価格帯が同レベルのビオンディ・サンティのサッソアローロやドンナフガータのタンクレディ(この2本だって僕が美味しいと思ったワイン)と較べても、より確実に抜きん出て美味しいお値打ちワインだと断言しちゃう。今でも、もっと買っておいて貰えば良かった・・・と激しく後悔中(苦笑)。


 フォアグラのソテーはマロン・ペースト添え。見た目よりふんわり軽やか。


 そして、この日もぷち贅沢。白トリュフをタリアテッレで。この日も頑張って(=サービス)でたくさん削ってくれたみたい(^^ゞ。削りたてを、即温かい内に頬張ると、トリュフの香りに口と鼻腔は一瞬にして支配され、もう目眩がしそう(笑)。シェフのO氏は白トリュフを楽しむならサラダが一番だよ、と云うけど、僕はやっぱりきのこはちょっとでも熱が入った方が好きなのだ。なんと云われようとも、これで最高に幸せ(^^v。



メルキュレイ ジャンナン・ナルテ コート・シャロネーズ地区メルキュレイ村
Mercurey 1er Cru Clos des Grands Voyens Jeannin Naltet

 僕は白トリュフに赤ワインは強すぎると思って、いつもシャンパーニュをグラスに1杯、意地キタナク(笑)残しておいたりするのだけど、この日は初めから赤ばかり。たまには違ったアプローチも面白いと思って、お店のギャルソンI君に、白トリュフに合わせられるフランス・ワインって、何かあるの?と訊いてみた。

 で、彼が持って来たのがこれ↑。なんだプラスチック・コルクでやんの・・・と侮ったらこちらも大間違い。イチゴのコンフィチュールのような美味しいピノ・ノワール。タンニンが優しくって白トリュフの風味と全く喧嘩しない。いくらピエモンテの名産同士って云ったって、タンニンぎしぎしなバローロと白トリュフの取り合わせは僕は苦手。でも、なるほど、このブルゴーニュだったら赤でもOKだよ。


 デザートにはもうパネトーネが。それは、イコールもうすぐクリスマスってコトだよね。
 今年はイヴェントの予定も無いし、実感湧かないなぁ・・・(苦笑)。


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c-d-m

一気に最後まで読んでしまいました。
美女に目を覚ませてもらえましたか、ヨカッタ、ヨカッタ。

だんだんとyk2さんのワインの好みが絞り込めて来ました。
でも恐らくもう少ししたら、今の世界ももっと楽しく変化して行く事でしょう。
そう、なぜならば葡萄組の葡萄酒観はボケて突っ込んでいくうちに果てしなく広がっていくからです。

キノコにはブルゴーニュ。
今年は是非ブルゴーニュの魔性の魅力に憑かれてみて下さい。

丁度、刺客(いや飛脚)を放っていますので。(笑)
by c-d-m (2007-01-02 14:42) 

yk2

cdmせんせ、ヌーヴォーに対する自分の偏見にようやく気付きました。
こんなのもあるんだ~って。

僕のワインの好みは、薄くてあまりにも酸っぱいもの以外は何でもOKかも・・・ってくらい、最近とみに雑多になってるかも知れません。

それにしても葡萄組の葡萄酒観は、まずボケてから突っ込まなきゃいけないんですか~、むずかしそー(大笑い)。僕に会得出来るかなぁ・・・(^^;。

実はブルゴーニュって、あんまり手を付けてないトコだったりします。ワイン飲み始めの頃に買って、見事に散々ハズしたので好い思い出無くって・・・(苦笑)。今にして思えば、ブルゴーニュのとっつきの悪さがフランス・ワインから距離を持ってしまった原因だったかも知れませんねぇ。

ちょっとこわいけど?刺客さん(笑)にその魅力を解説して頂こうっと。

全然関係有りませんが、ウチの母は上野公園すぐ近所で育ったばきばきの江戸っ子で、「ひ」と「し」が上手く云い分けられなかったりします。ですから、「ひきゃく」も「しきゃく=しかく」も一緒にされちゃったりするんですよ(笑)。
by yk2 (2007-01-03 00:52) 

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