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8月4日(土) 消えたものには「福」がある [社会]

 昨日、4チャンネルで「太田光の私が総理大臣になったら……秘書田中」が放映されました。残念ながら、私の発言はほんの一部しか放映されませんでした。でも、本当はこの3倍くらい発言していたんですよ。

 そこで私が強調したのは、自民党の敗北は宇野内閣のときの36議席に匹敵する37議席であり、国民の批判や不満がいかに大きいかがここに示されているということ、その原因は、あれかこれかという部分的なものではなく、安倍首相の政策理念、政治手法、政治姿勢の全てが拒否された結果であるということ、「政権選択」の選挙ではなかったかもしれないが「首相選択」の選挙であったことは確かであり、「政権」が変わらないからこそ、「首相」を変えて欲しいと自民党支持者の4分の1ほどが他党に投票したということです。この発言の最初の部分だけが放映され、後半部分がカットされてしまいました。まあ、編集権は向こうにありますからやむを得ませんが……。
 お気の毒なのは、私の隣にいた政治評論家の有馬晴海さんです。ちゃんと発言したのにカットされ、ほとんど放映されませんでした。

 ところで、安倍首相の続投に至る経過が明らかになってきました。今日の『毎日新聞』一面に「消えた『福田暫定内閣』構想 3氏会談の内幕」という暴露記事が掲載されています。
 これによれば、参院選投票日の29日夕、国会に近いグランドプリンスホテル赤坂の一室に、森喜朗元首相、青木幹雄参院議員会長、中川秀直幹事長の3人が顔をそろえ、安倍首相の退陣を想定して、福田康夫元官房長官を後継首相に擁立する構想を具体的に話し合っていたそうです。
 席上、中川さんは「私の不徳の致すところです。申しわけございません」と頭を下げ、青木さんは「森さん、私もこれで楽になります。高みの見物でもして過ごしましょう」と乾いた声で笑ったといいます。「責任をとって幹事長を辞めます」と中川さんは言い、青木さんも「私も同じだよ」と同調したそうです。

 当然、安倍さんの進退も話題になりました。その前日の夜、安倍さんは森さんの携帯電話に「今後も続けるつもりです」と伝えていたからです。
 記事は、この後、次のように続いています。

 3人は自民党の獲得議席を「40台中盤」「40台前半」「30台」と三つのケースに分け、「30台なら退陣は避けられない」との結論で一致した。青木は「安倍君はまだ若い。今、辞めれば次のチャンスが生まれるかもしれない」と言った。
 「じゃあ、それなら誰がいいのかなあ」。3人が異口同音に口にしたのは、「福田首相」による次期衆院選までの選挙管理内閣構想だった。「彼なら落ち着いているし、安定感がある」。ただし、福田は71歳。福田を評価する森らも、あくまで「暫定的な緊急避難措置」と考えていた。
 「アルツハイマー」発言でミソをつけたものの、外相・麻生太郎だけは、党内に「ポスト安倍」の人材が枯渇するなか、温存しておかなければならない--。それが3人の共通意見だった。

 協議を踏まえ、森は「じゃあ、今晩中におれが福田さんに会おうか」と言った。ただ、その前に首相が当日夜のテレビ出演で、進退についてどう語るか確認しておくことも必要だった。
 森と青木は、中川に首相公邸に出向いて、安倍の意思を聞いてくるように求めたが、中川は「いや、記者もいっぱいいますし」と尻込みした。森は「幹事長が総理に会うのは、誰も不思議に思わないよ」と中川の背中を強く押した。その場から首相公邸にアポイントメントの電話を入れた中川は、電話を切った後「総理は麻生さんと会っているようです」と、森と青木に告げた。
 午後6時前、麻生と入れ替わるように首相公邸に入った中川に、安倍は「結果がいかなるケースであろうと、解散のない参院選で、政権選択が行われることはあるべきではない」と続投への強い意思を伝えた。「ポスト安倍」は安倍という強烈な意思表示だった。

 「続けるのも地獄、引くのも地獄、いばらの道ですね」と中川。会談後、中川は森に「我々が考えていたのとは全然違う雰囲気です。総理は続けるつもりです」と伝えた。安倍も森に電話し「辞めません。続けるつもりです」と通告。森も「わかった」とのむしかなかった。安倍は周囲に「こんな状況で続けるのはきつい。でもどんな結果になってもやる」と漏らした。この瞬間、「福田選挙管理内閣」構想は幻に終わった。

 消えた次期政権構想には、福田さんがいたというわけです。それを蹴飛ばしたのは、安倍首相でした。
 安倍さんは、選挙結果が分かる以前、投票日の前日の時点で、すでに森さんに「今後も続けるつもりです」と伝えていました。安倍首相は、もともと選挙結果など問題にしていなかったということになります。
 最初から、民意に従う気はなかったのです。選挙カーの上や討論会で、「私と小沢さんとどちらが首相に相応しいか、国民の考えを聞いてみたい」などと発言していましたが、腹の中では、「国民の考え」に従う気など、はなからなかったというわけです。

 なんという傲岸不遜。国民を馬鹿にするのも、いい加減にして欲しいものです。
 選挙の舞台裏がはっきりするにつれて、安倍首相の続投がいかに正当性のないものかが明瞭になってきました。それでもなお、安倍さんは首相の椅子にしがみつこうというのでしょうか。