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BATBOY THE MUSICAL(2006) [★ カンゲキ日記]

◎2006年1月27日(金)「BATBOY THE MUSICAL」(2006)/シアターBRAVA!/(原)キース・ファーレイ、ブライアン・フレミング(詞)(曲)ローレンス・オキーフ(訳)(演)吉川徹(出)森山未來、杜けあき、福井貴一、シュー、他/♪♪♪♪♪

 

 ある日、町外れの真っ暗な洞窟の中で、リックとロン、ルーシーの3人が“コウモリ少年(森山未來)”を発見する。「人や家畜に危害を与えるかもしれないバット・ボーイなど殺してしまえ!」という町の人々の声に押され、保安官は捕らえた少年の処分を獣医のトーマス・パーカー(福井貴一)に任せることにした。
 少年を連れて獣医の家を訪れた保安官だったが、あいにくトーマスが不在だったため、彼の妻メレディス(杜けあき)に預けて帰ることにする。なぜかメレディスは、言葉も心も通じない少年に大きな関心を示すのだった。
 やがて帰宅したトーマスは、檻の中の少年に驚き、すぐに彼を薬殺しようとする。ところが、メレディスは少年を自分の手で育てたいと懇願。少年を家に置くことで妻の愛を取り戻せるかもしれないと考えたトーマスは、彼女の願いを聞き入れることにする。二人の夫婦関係は、とっくの昔に冷え切っていたのだった。
 エドガーと名づけられた少年は、メレディスと娘のシェリー(シュー)に優しくされるうちに、心を通わせ、言葉や人間らしい所作を覚え始める。
 ちょうどその頃、町では牛が伝染病によって次々と死んでいた。町議会は、町の一大イベント・信仰復活集会を前に、バット・ボーイを家から出さないようにとトーマスに迫る。しかし、礼儀正しい青年に成長したエドガーは、神に祈りたい、集会に参加して町のみんなに自分の存在を認めてもらいたいと強く望んでいた。メレディスは夫の反対を押し切り、娘と共にエドガーを集会に連れて行くことを決断する。
 エドガーを溺愛する妻に、異常な嫉妬心を燃やすトーマス。町では、次々と事件が起こり、人々の怒りの矛先はバット・ボーイへと集中する。そんな中、次第に明らかになっていくパーカー家の秘密…。そして、ついに信仰復活集会当日、悲劇が起きるのだった。

 


 去年の初演を見ているので、先行チケットを取らなかったのだが、公演日の2週間ほど前に残席ありと知って猛烈に見たくなり、チケットを買ってしまった。
 驚いたことに、私の後ろの列は10席ほど空席だった。ほかはビッシリ詰まっているのに、そこだけポッカリ空いている。去年やったばかりとはいえ、今回は上演回数が少ないのに、売れ残るなんてあり得ないのでは?! 某チケットサービス宣伝ミスじゃないの? まぁ、おかげで私は見ることができたんだけど…。

 

 同じ芝居を2回見るのはこれが初めて。しかもそれが、今まで苦手だったミュージカルだなんて、自分でも意外だ。
 とにかく、今回も未來くんが素晴らしかった! なんだか余裕すら感じた(見る側も2回目で余裕があったせい?)。
 彼の魅力は、なんといっても身体能力の高さと、あの細い目。遠くからだと表情がわかりにくいのが難点だが(笑)、今回はわりと前の方の席で見ることができたので、バット・ボーイの苦悩や葛藤が、彼の表情からひしひしと伝わってきた。
 人間らしく成長し、知識を得たとき、少年は己の罪を認識する。生きものの血を欲することは神の教えに逆らうことだとわかっていても、洞窟の中でその血をすすって生き長らえてきた彼は、本能に抗うことができない。許されたい、人々に受け入れられたいと願いながらも、飢えと渇きを癒したいという衝動に駆られてしまうのだ。ウサギを前に葛藤する姿、牛の頭を手に謝罪する姿、随所で、バット・ボーイになりきった未來くんの悲哀に満ちた姿を目の当たりにして、グイグイ引き込まれていった。

 杜けあきさんの歌の上手さ、バット・ボーイに言葉を教えるときのコミカルな演技も素晴らしかった。
 トーマスの役は、初演ではメガネをかけていなかったように記憶している。今回、しょぼくれた中年男の哀愁が強調されていてよかったと思う。
 リック、ロン、ルーシー兄妹の母親役と、ナース役は男性が女装していたが、初演では男女入れ替わってなかったのでは?(どなたか、初演を見られた方、教えてください) 少々、笑いがくどく感じる場面もあったが、2回目でも大満足の舞台だった。

 帰り道、「ラスト、誰も救われんかったなぁ」と話している女性たちの声が聞こえたが、私はそんなことはないと思う。メレディスの「もう忘れましょう」という言葉で夫婦の心は再び通い始めたように思うし、エドガーがトーマスの犯した罪を被ったままだったこと、3人一緒に逝ったことで、少なくともあの3人は救われたのでは。



 


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コメント 5

ナルミアキラ

こんにちは。
TBありがとうございました!こちらもさせていただきました。
「BATBOY」はとても好きな作品なので、同じように観に行った方とお話できることはうれしいですv
私も、ラストであの夫婦は救われたと思います。
by ナルミアキラ (2006-02-06 09:47) 

YUMiKO

ナルミアキラさん、こんにちは。
TB返しありがとうございます。
ナルミアキラさんは、今回、2回もご覧になったのですね。
私は、初演と再演で1回ずつ。ええトシして、ハマってます(笑)。
DVD出るといいですね~。
by YUMiKO (2006-02-06 14:29) 

YUMiKO

ちなみに、この作品の演出家さんは、「ザ・ロッキーホラーショウ(1999)」の演出もされていたそうです。そういえば、あの作品も面白かったなぁ。
そうそう、“すかんち”再結成されるそうですね。お姉様、ご存知でした?
by YUMiKO (2006-02-06 14:31) 

オネイサン(山本)

つられて出てきました(^^ゞ

>ちなみに、この作品の演出家さんは、「ザ・ロッキーホラーショウ(1999)」の演出もされていたそうです。そういえば、あの作品も面白かったなぁ。
あら~!、YUMiKOちゃんがホラーショウを見ていたとは・・・、そんなお話した事あったっけ(^^ゞ
ティム・カリーのをビデオや映画でも観ましたが、わたしはローリーの方が【美しい♪】し、フランクリン・フルターは彼以外いないと思っています(^^)

>そうそう、“すかんち”再結成されるそうですね。お姉様、ご存知でした?
残念です(T_T)読んで速攻ローリーのHPをチェックしましたが、チケットは完売かなぁ・・・。
すかんちのコンサートを何度か見て思った事は、何となくローリーのノリ次第みたいなところがあったかなぁ~と。その点「ホラーショウ」はいつも気合い入れてやっていたような気がしました(←何回見にいったんやσ(^^;))
by オネイサン(山本) (2006-02-07 12:04) 

YUMiKO

ふふふ。お姉様、お待ちしてました。

>あら~!、YUMiKOちゃんがホラーショウを見ていたとは・・・、
>そんなお話した事あったっけ(^^ゞ

してましたがな(笑)。

私は、ローリーのロッキーホラーショウを見てから、ティム・カリーの映画版を見たので、映画版の方が物足りなかったです。

>わたしはローリーの方が【美しい♪】し、
>フランクリン・フルターは彼以外いないと思っています(^^)

同感です~♪

ライブのチケット完売でしたか。ライブハウスのキャパ小さいですもんね。
by YUMiKO (2006-02-07 14:57) 

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