伝統と破天荒な発想 ／ 通し狂言「児雷也豪傑譚話（じらいやごうけつものがたり）」 [★ カンゲキ日記]
◎２００５年３月１５日（火）通し狂言「児雷也豪傑譚話（じらいやごうけつものがたり）」／京都南座／（原）河竹黙阿弥（脚）今井豊茂（演）（出）尾上菊五郎（出）尾上菊之助、尾上松緑、市川亀治郎、他／♪♪♪♪
南座での観劇は初めて、しかも亀ちゃん以外は初めてみる役者さんばかりだったので、張り切って５列目のど真ん中の席を取ったら、舞台に近すぎて最初の宙乗りシーンがちょっと見づらかった。失敗、失敗。
“史上空前のハイパー歌舞伎”と銘打たれただけあって、見せ場、遊び心たっぷりの演出だった。
一幕では、大蛇丸（松緑）、児雷也（菊之助）、綱手（亀治郎）が、戦ううちにそれぞれ巨大な蛇、蛙、蛞に変身。とぐろを巻いたり、目を光らせたりしながら舞台上を這いずり回る。（大蛇丸は日本を魔界に変えようと企む大蛇の化身。児雷也とその妻・綱手は、大蛇丸の野望を阻止し、親の仇を討つため、それぞれ仙人からガマ蛙とナメクジの妖術を授かった…という設定）
二幕は一転して笑い満載。
強欲な妻と娘の浪費癖のため、村人から多額の税金をむしり取る代官の屋敷が舞台。壁や襖には、高級ブランドのロゴマークをイメージした模様が描かれ、ＢＧＭにはクラシックの名曲「ボレロ（ラヴェル）」「四季（ヴィヴァルディ）」などが、三味線をはじめとした和楽器で演奏された。
登場した娘は、なんと茶髪にギャル風メイク。妻（菊五郎）もつけまつげに舞踏会風ヘア（？）で、和洋折衷のド派手なデザイン＆色彩の着物といういでたち。台詞にもギャル語が使われ、お笑い番組でおなじみのギャグ（悪代官の「アイーン」、茶髪の娘と茶坊主コンビで「あるある探検隊」）など、なんでもあり。まさかレギュラーも、自分達のネタが歌舞伎の中でパロられるとは思ってもみなかっただろう。
三幕は本編に戻って（？）ＳＦちっく。迫りくる炎をはためく布で表現し、舞台上で打楽器を力強く演奏させて炎の中を進む恐怖感を演出。児雷也が手に入れた宝刀は、ＳＷのライトセーバーのように青く光っていた。
凝った演出でお腹いっぱい大満足…と言いたいところだが、物語をもう少し丁寧に描いて欲しかったなとも思う。大蛇丸の悪党ぶりが描き足りなかったのか、魔界の存在がピンとこない。児雷也と綱手が命懸けで、それぞれの一族の仇討ちと大蛇丸の野望を打ち砕くために戦うにしては、彼らの悲しみや恨み、苦悩も伝わってきにくかった。泣かせどころが、生き別れた児雷也の姉が児雷也を救おうとして命を落とすシーンだけでは、ちょっと物足りないような気がする。
しかし、さすが“菊さま”は、女形も立役も美しかった。
児雷也が伝家の宝刀を大蛇丸めがけて振りおろした途端、とり憑いていた魔力が消え、大蛇丸（松緑）の表情が一瞬で悪人顔から精悍な青年の顔へと変わったのもお見事。＞松緑さん
↑このチラシにやられて、チケットを衝動買いしてしまった。
TBありがとうございました☆本当にハイパーで見せ場たっぷりの舞台でしたね。二幕目のお笑いシーンのネタはちゃんと新しいものになってましたよ。ひろし・ギター侍・・菊五郎丈すごすぎます。
by Ren (2005-11-05 08:28)
Ｒｅｎさん、ｎｉｃｅ＆コメント＆ＴＢありがとうございます。
＞二幕目のお笑いシーンのネタはちゃんと新しいものになってましたよ。
＞ひろし・ギター侍・・菊五郎丈すごすぎます。
え～～、そうなんですか！
今回の公演も、前売り発売時にちらっと「東京まで行こうかな」と思ったのですが、
一度見てるし、その分ほかの作品を…と思い直したのでした。
あ～、いま公演中なのですよね。今月は仕事で上京する予定はないし…。
これだけ好評だと、また関西でも再演してくれるかなあ。
by ＹＵＭｉＫＯ (2005-11-05 09:12)
こんにちは～☆ど～してももう一度観たくなってしまって
来週観にいくことに決定です（汗）最初に見たときのネタバレな感想を
アップしたので、またまたTBつけさせていただきま～す。
by Ren (2005-11-16 09:11)
Ｒｅｎさん、こんにちは。ＴＢありがとうございます。
また観に行かれるのですね。いいなぁ～。私ももう一度みたいです。
私は歌舞伎をみるようになってまだ日が浅いのですが、この作品は初心者でも十分楽しめますよね。
by ＹＵＭｉＫＯ (2005-11-16 14:27)