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湿度100%の壁 [暮らし]

昨日はしゃきっと8時起床。というのも、11時から部屋に工事の人が入ることになっていたからです。

去年の12月中旬に、この部屋唯一の収納であるクローゼットの奥の壁から水が漏れ出し、壁はもちろんのこと、しまっておいた洋服までカビ被害にあうという惨事がありました。

大家さんに相談すると、さっそく建物の組合に連絡して(水道管が走っていないはずの箇所のため、屋根や外壁からの漏水が考えられるということで)、工事の手続きを取ってくれました。

「不便をかけてごめんね。でも10日もすれば直るから」と言われて、待つこと75日(^^;暖かくなったせいか、あるいは一時期より雨が減ったせいか、最近は漏水もめっきりなくなり、もう工事しなくてもいいんじゃないかと思っていた矢先に、業者から連絡が入りました。

どうやら大家さんは組合から意地悪をされていたようです。

いくらフランスとはいえ、こんなに遅れるのは異例のことだそうで、大家さんは嫌がらせかなぁなんて冗談まじりに言っていました。

というのも、真面目な大家さんは、この部屋を買った4年前、組合の会合に真面目に顔を出し(出ない人も多いそうです)、アパートの運営に関して歯に衣着せず意見を言ったせいで、古くから住んでいて、組合や業者と結託していうアパートの住人と対立してしまい、関係があまりよくないのだとか。

大家さんが組合に連絡をすると、組合側は要領を得ない理由を並びたて、今週中に業者に私に連絡させるようにするからと言って連絡がこない、というパターンを何度か繰り返したあとで、組合がこの工事をちゃんと手配する気がないと感じた大家さんは激怒。法的処置に訴える手続きに入ると組合に通告した2時間後に、私に連絡が来ました。16時45分には片付けを開始し、17時には職場を離れるフランス人が、19時半に、それも携帯に電話してきたということは、向こうもかなり必死だったと思われます(^^;

『くそったれ 美しきパリの12ヶ月』の冒頭で、主人公がフランス在住経験のある友達(男)に、「フランスは別れた女みたい」と言うシーンがあります。サッカーのワールドカップでイングランドが優勝した日の翌日に会ったフランス人は、ことごとく嫌がらせと思える態度を取った。しかもそれは絶対に思い過ごしなんかじゃない、というのがその理由。

フェミニスト的な観点から言えば、それを別れた「女」と形容するのは問題アリですが、まぁこの男友達は異性愛者なので、女としか別れたことがないだろうからよしとしましょう。

私自身は、フランス人のいい加減な仕事に嫌な思いをすることはあっても、嫌がらせを受けたと感じたことがなかったので、この本を読んだ時はあまりピンと来なかったのですが、案外本当なのかもしれませんね。

さて、約束を取り付けるところまでは来たけれど、これでちゃんと時間通りに来るかどうかは別問題。11時から13時の間に来ると言っていたけれど怪しいもの。あまりにも業者が来ないので、業を煮やして連絡すると、「いやー、道に迷っちゃってさ」というすぐにばれるウソをつき、予定時刻の2時間後にやってきたとか、「今度の月曜」と言ったのに、翌々週の月曜にやってくるとか、業者の遅延をめぐるエピソードには事欠きません。

そこで一日つぶれる覚悟でいたら、なんと10時にやってきました。早起きして早めに部屋を片付けておいてよかった!ていうか、どうして彼らは時間通りにやって来られないのでしょう。約束の時間に結界でもはっているのでしょうか。

さて、工事とはどんなものなのか、ちょっとどきどきしていたら(部屋に業者が入るのは実は初体験)、やわらかい金属でできた触覚のようなものが2本ついたザウルス程度の大きさの機械を、壁のいたるところに押しつけて何かを測定したあとで、「また戻ってくるよ」と一度部屋を出て、屋根のに上がって下りて、さぁ次は工事かなと思ったら、いきなり診断がありました。

結露。

一番疑わしかった屋根の状態は「最高」で、水漏れは考えられないそうです。

このザウルス君は、実は湿気測定器。そんなものがあるんですね。

これを押し付けると壁の湿度が分かるんだ、見てごらん、この部屋の壁は湿度がどこも100%だよと言われてゲージを見ると、確かにザウルス君をおじさんが壁に押し付けた瞬間、グワーンと目盛がいっぱいまで上がり、警鐘なのか目盛の横の赤ランプがつきます。

100%…。
どーりで洗濯物を干しても乾かないわけです。
というより、湿度100%の壁って、どういうこと?!

フランスの建物は、お墓と同じで、建物と建物の間に隙間がなく、隣の建物と連結して建っています。だから壁がペラペラだろうが、少々建物が傾いていていようが、立派に建っているわけですが(共同責任というやつですね)、あいにく私のアパートはそういう頼りになるお隣さんがいない、単体の建物。築150年以上という建物に、断熱材が入っているわけもなく、150年前の技術で作られたペラペラの外壁が冷たい風の中でふきさらしになっているわけです。

そりゃ結露にもなるさ。

というのが工事の人の見立て。

部屋のカドっこは壁の中でも一番温度が低くなる=室内との気温差が開きやすい=部屋のカドにあるクローゼットの中は、とても寒い。それに追い討ちをかけるように、クローゼットのすぐそばに暖房がある。それも給湯式でもガスでもなく電気暖房が。電気暖房が一番結露になりやすいんだよね。

つまり、クローゼットが結露のメッカになる条件は、全て整っているわけです。

だから大家に言って室内と同じ厚めの壁紙をクローゼット内に貼ってもらって(クローゼット内はかわいいけれど、ぺらぺらの壁紙で、壁が一部剥き出しになっている)、あとクローゼットの扉に小さな格子窓を開けてもらって通気をよくしてもらうこったね。じゃ、頑張って!(別れ際にBonne continuation!といわれた気がします。でも何を続ければいいの??)

といっておじさんとその助手は帰っていきました。11時10分。

結局、おじさんがザウルス君以外の工具(?)を取り出すことはなく、全てが終わりました。助手くんに至っては、おじさんが屋根に上がるときに使った階段を支えていたのみ。水漏れではないにせよ、おじさんたちは結露退治のいいワザを知っていて、何かしてくれるのではという淡い期待ははかなく消えました。

大家に連絡をすると、奥様が出ていらして、一応ご主人に伝えておくと言っていました。つまり、いつ大家が壁紙を変えてくれるかは未定ということ。しばらくはまだ「カーテンレールがマイクローゼット」生活が続きそうです。

隣のアパートと10メートルくらいしか離れておらず、向かいの部屋からは私の室内がまる見えだというのに、面目ないことです。

くそったれ、美しきパリの12か月

くそったれ、美しきパリの12か月

  • 作者: スティーヴン クラーク
  • 出版社/メーカー: ソニーマガジンズ
  • 発売日: 2006/01
  • メディア: 単行本


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コメント 7

ランランラン太郎

いやあ、観光旅行とは違い(ってヨーロッパには行ったことがない私ですが)住んでいるといろいろなことがありますね。
フランスの人の気質も良く分かりました。
梅雨時の日本もびっくりの、湿度100%とは・・・
色々な体験が出来ておもしろいですね。
by ランランラン太郎 (2007-02-25 17:45) 

KAZZAKI

はぁ。フランス人は時間は全く守らないのね。
ってどうやって日本人のビジネスマンは、フランス人と仕事しているんですかね?
しかし、のんきですよね。原因が結露ならaiaちゃんが住んでいる前から、発生していたはずですが、今までどうしていたんでしょうか?
(こんな事書いていいのか?あんまり不安にならないで下さいね。)
除湿機は買ったほうがよいですよね。また、壁とクローゼットの間に空間を開けることができればいいのですが。
by KAZZAKI (2007-02-25 20:03) 

aia

>ランランラン太郎さん

ナイス&コメントありがとうございます。
パリ観光はいいですよ。見どころがたくさんあるし、食事もヨーロッパの中ではかなりいいほうだと思うし。でも住むとなるとやっぱり大変ですね。隙間風問題や結露(とカビ)には、割とどの家も困っているようです。

湿度100%には私もびっくりしました。気温が低いからか、それほど湿気てるという実感はなかったんのですが。いやー、フランスはほんと不思議の国です。

>KAZZAKI

コメントありがとう。
フランス人には時間を守らない人が多いよ。そのくせ、そういう人に限って終業時間はきっちり守るから、なんともです。夫を見ている限り、フランス人とお仕事をするのは、大変そう。すごくきちっとした人も、いるにはいるんだけどね。ありがたいことに、大家さんや私の指導教授は、割とのその部類に入る。

私の前にこの部屋に住んでいた人は、夏から秋にかけての入居だったので、結露知らず、その前の人は、クローゼットの他に、自分でタンスを持っていたそうだから、あまりクローゼットにものを入れていなかったのがよかったのかも。入居した時点で、すでにクローゼットの壁紙が浮いていたから、ある程度、結露はあったんだろうけど、通気がよくてカビまで行かなかったみたい。

私は次の引越しを見越して、家具をなるべく増やさないようにしているから、その30センチも奥行きがないクローゼットに、ぎゅうぎゅうにモノをつめこんでいたんだよね。

あと、先住者たちはみな1年間だけの留学だったようだから、そもそも私より荷物が少ないのかも。私だって、スイスに行った時の荷物は50キロ+スーツケース分だけだったけど、今回は倍以上の125キロ+スーツケース(しかも二回帰っている)だもん。

ヨーロッパは乾燥していると思いきや、実はシケシケでびっくり。加湿器は聞いたことがあるけど、除湿機って売ってるのかしら…。
by aia (2007-02-25 22:28) 

mana

うちも今年は寝室の壁がカビッカビ。びっくりしてよく観察してみたら部屋の2辺だけだから、どうやら壁の向こうが屋外になっている壁のみらしい。つまり原因は結露。
とりあえず壁の前に置いてあったスーツケースとかをどけて、洗剤でカビを落としてアンチカビ用のスプレーをかけて(ともに塩素系)、換気に気をつけています。その後カビが発生していないから、成功かも。でも壁の前がデッドスペースになったままで不満…。
室内工事をするのに大家だけでなくサンディカが手配しなくちゃならないってかなり面倒くさいね。それも仲が悪いって…、前途多難だ。
by mana (2007-02-26 08:22) 

aia

>mana

やっぱりどこの家も悩まされているのね~。
この間別の友達に聞いてみたら、やはり彼らの部屋もそうだって。
部屋の角が肉眼で直角に見える、結構新しそうな部屋でも、窓際がダメなんだって。

うちは大家さんが怒ってカビの生えている壁紙を剥がしちゃったから、壁がむき出しで、結露的には余計悪そう。同じく塩素系の洗剤で拭いたけどね。30センチも奥行きがないクローゼットだから、隙間をあけるってことは、全く使わないということと同義で、不便きわまりありませぬ。

大家が組合に手配したのは、室内ではなく屋根からの水漏れに違いないと判断したから。室内の問題と判定されたら、今回の払いはどうなるんだろうね。

でもね、気づいたときは漏水と勘違いしてもおかしくないくらい水滴が、壁から湧き出ていたんだよね。1箇所とくに水がたまりやすい場所があって、拭いても拭いても、そこには結露というよりは「水滴」て感じの大きな水の粒が出現してて。

ただ、最近だって夜になると必ず大雨が降るのに、全くぬれてないことを考えると、やっぱりこれは結露なのかね。壁紙を変えたらよくなるのか、判定が難しいところ。
by aia (2007-02-26 21:25) 

aia

>椎名さん

またまたナイスありがとうございます~^^
by aia (2007-02-27 04:05) 

aia

>nobuperiさん

ナイスありがとうございます。
by aia (2007-02-28 07:32) 

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