たりないピース 宮崎あおい・将さん [読書するなり!]
今最も輝いている女優・宮崎あおいさんとお兄さんの将さん(俳優)が,インドを旅して考えたことを写真と文で表現した本です。
たりないピースのピースは,パズルのピースと,平和・平穏のピースをかけた言葉ですが,この本自体は「反戦平和」ということがテーマではありません。
テーマは,貧困と教育,身分制度…です。
冒頭に次のように書かれています。
(本より引用)
人間の欲望は無限です。しかし,それを支える地球には限界があります。
環境破壊,地球温暖化の進行,戦争やテロ,国家や宗教間の対立,貧富の差…
これらの問題は解決するどころか,むしろ拡大しつづけています。
有限な世界で無限に成長することは不可能なのです。
そこで生まれたのが「持続可能な成長」という考え方です。
前の世代から引き継いだ資源・環境・文化などの遺産を,
自分たちの幸せの追求に使いながら,次の世代にもきちんと引き継いでいくこと。
そのような視点から2025年の地球を想像するとき,私たちが追求すべき幸せってなんでしょう?
それはなによりもまず,貧困のない状態ではないでしょうか。
すなわち,生まれた場所にかかわらず,
全ての人が人間として最低限の生活を保障されていること。
貧富の差は拡大しつづけ,その対立は世界をますます不安定にしています。
2001年,あの9.11のテロで標的になったのも,
富の象徴ともいえるワールド・トレーディング・センターでした。(引用終わり)
宮崎あおいさん・将さんは,インドのあちこちを旅します。
特に,
貧困とこどもたちの教育の現場
を歩き,色んな写真と文章におさめておられます。
私たちが,「インドの教育」として本やテレビで見聞きするのは,たとえば暗算術に優れている,教育現場で思考を重視している等のプラス面だと思います。確かにそういうことが実現しているところでは実現していて,それがわが国の教育にも大いに参考になるところはあるのです。
しかし,それはインドの一面のようです。
宮崎あおいさんが歩いたのは,「オープンスクール」と言われる,働いて家計を助けなければならない等の理由で公立の学校に行けない子たちが通っている学校でした。
そこでは,もちろん子どもたちの放つ輝きもあるのですが,例えば,「マッチ棒を使った授業で,12歳の子が,黒板に描いてあるのに同じものを作れなかったりして。どういうことなんだろう?と思って。」(本文中より)という現実もあるそうです。
こういう感じで,
貧困
オープンスクール
カースト制度
などなど
の現場を歩き,写真や文で伝えておられます。
そういう中で,あおいさんや将さんの素直な感想とその場で結論の出そうにない疑問となどが綴られていて,とても見聞を広めてくれる本です。
「スラムの子や差別をうけてる子は,どんなに好きな子ができても,付き合えない人もいるのかなぁって思うと切なかった。」(宮崎あおいさん)
など,現場をみて思ったことが綴られています。
こういう本を,トップ女優の宮崎あおいさんが出していることについて,意地悪な見方をする人は,「どうせ成功者が善人ぶっているだけでしょ。清純イメージアップ戦略の一環かも。」というかもしれません。
が,私は,確かにあおいさんの女優業が順調な状況の中であるから出来たこと,まただから本が売れているという要素があるにしても,「私に出来ることがないか」と思って,貧困を知ろうと思い世界を歩き写真に収め私たちに伝えることをされていることは掛け値なしに素晴らしいと思います。
なぜなら,やはり,貧困の問題に向き合うにしても是正するにしてもその為のアクションそのものにはお金もかかるし,それはまず,少しでも恵まれた状況にいる人がやらなければ,世の中良くならないからです。
世間的に成功している人や恵まれている人というのは,「考える余裕」があります。
そして,弱い立場の人のことも考える余裕があり,考え,悩み,また行動することだってしやすいのです。
そのこと自体,私はとても幸せなことだと思います。
だからその「幸せ」な状況の中で自分の力を,この本に書かれた言葉を借りれば,「生まれた場所にかかわらず,全ての人が人間として最低限の生活を保障されていること」の実現に少しでも多く傾ける気持ちで生きておられるなら,宮崎あおいさん将さんの生き方はとても尊敬できるものだと思います。
さて,先日宮崎あおいさんが結婚されたというニュースがありました。
コアな男性ファンの中にはショックで寝込んだ人も沢山おられると聞きます。
しかし,私は,結婚し家庭を持ち,また特に子どもを持つと,世の中を見る目線がとても変わるということを実感として持っています。
宮崎あおいさんは,この本を読む限り,人ひとりひとりの立場に立つ想像力や感性に優れた方だと思えます。そういう人が,自分の家族をもつことによって,さらに,「生まれた場所にかからわず」全ての人が等しく尊い存在であるということを原点に,見聞や考えを深めてゆかれるだろうこと,とても頼もしく思っています。
なぜ,宮崎あおいさんにそこまで思うかというと,やはり若いからです。
私よりも10も若い。お兄さんの将さんだって若い。
明日の世界を担う,という意味で,こんな風に考えている私よりも若い人がいるということを本当に心強く思うのです。
そして勝手に,一緒に明日の世界を作っていきたいというメッセージをあおいさんと将さんに送りたい,と思います。
地球上に人間が100人しかいなければ、どんなに贅沢に暮らしても、環境問題にはなり得ないと思いますし、60億人の人口が90億人に増えたら、どんなに工夫しても食糧問題は解決困難になりかねません。
人間が少なければ、働かなくても、狩猟と採集だけで生活が可能です。
真の問題は、人口が増えすぎたということだろうと思います。
皆が自由で平等ですから、同じ権利を主張するのもわかりますし、
どうすれば解決できるのか…
分かっていても、実行できないのではないかと思います。
by 心如 (2007-07-04 01:57)
インドといえばガンジーさんの思想受け継いだサティシュ・クマールさんがいます。
俗人のうちにはついていけない思想ですけど・・。
君あり・故に我あり・・・命を育む経済社会へというのを提唱しています。
フランスの平等・自由・博愛に対して土・ソウル・社会を唱えています。
成功求めず充足求めるそうです。
インド・パキスタンの国境を緊張関係のなか、手ぶらでお金もなにも持たずに歩いて国境越えたそうです! 信じられないことです。
by あゆ (2007-07-06 14:00)
貧困をいろいろ考えています。お金とかの貧困は政治で救済できるようにと思います。
平和への貧困(平和の願いの貧困)
思考の貧困(用意された決められた事にうたがわずに従い生きる)
人間関係の貧困(家族疎遠・友達いない・組織で仲間はずれ)
環境の貧困(自然・労働状態・教育状態とか)
他にいっぱいでそうです。難しいからしょうがないで終わらせずに、少なくとも逆行することないように、できるといいなと思いました。
by ayu15 (2007-08-06 14:33)
世界には、現人口を養えるだけの食料はあります。
ただ、先進国といわれる国に住む世界の3分の1の人口の人々が
世界の食料の半分を手にし、そして飽食しているだけのことです。
さらには我々が食べる牛や豚の飼料とされるものの中には、途上国の人々にとっては主食であるものも多く含まれます。
3分の1の人口の人間が食料の半分を得ているから、3分の2の人々は3分の1の食料しか手に入らないのです。
その結果、5秒に一人ずつ、風邪や下痢などによる脱水、栄養失調などで命を落とし続けています。
パイが足りないのではなくて、パイの分配の仕方が間違っているのです。
by daisaku (2007-08-17 00:03)