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チャイコフスキー 交響曲第5番(フルトヴェングラー) [クラシック音楽]

チャイコフスキー 交響曲第5番
ワーグナー    歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
          楽劇「神々の黄昏」より
                夜明けとジークフリートのラインへの旅
     トリノ・RAIオーケストラ
     ヴィルヘルム・フルトヴェングラー:指揮
     1952年6月6日ライヴ

ある意味フルトヴェングラーの録音中ファンの間ではもっとも有名な録音。
戦後チャイコフスキーの5番を演奏会で13回取り上げていたらしく、
それなりにレパートリーに入れていたようだが、
この演奏はどうも腕の振りようのないような印象しか残らない。
もちろん録音の貧弱さに起因するところもあるのだろうけれども
演奏自体もかなり物足りない。
フルトヴェングラー流に振ろうとしてオケの反応がかなり鈍い感じ。

1楽章冒頭から随分呼吸が浅い。
巨匠ならばもっと重々しく荘厳に始めそうなものだけれども
随分あっさりとした出だし。
響きの軽さもあって激しいテンポの動きが微笑さえ誘うような
滑稽ささえ感じてしまう。
2楽章も巨匠ならばもっと歌えるはずだし、3楽章のワルツも
押し付けがましいロマンティシズム満載で違和感がある。
フィナーレが一番「らしさ」と言うことでは成功していると思うけれども、
それでも昔は慣例化されていたらしい大幅なカットは違和感たっぷりだし、
全体的にまだまだ振舞いきれていない感じ。
有名な「フライング拍手」はまぁご愛嬌ということで。
昔はたまにあったことらしいし
(これを防止するために「編曲」までしてしまった指揮者もいるらしいし。)
”現在の”日本の聴衆のレベルだって胸を張れるほど高いもんじゃないし。

しかし、それにしても録音がデッドで寸詰まり気味でちょっと頼りなさ過ぎる。
今回デルタ盤を入手できたので久しぶりの再聴だったが
以前のものよりは随分聴き易くなったとは言えやはり根本的な印象は変わらない。
もっともっと振舞い切った巨匠の5番を聴いてみたかった。
客演の、しかもイタリアの明るい響きが持ち味のオケ相手では
これが限界だったのかもしれないけれども。
私は”自称”大のフルトヴェングラー・ファンだけれども、とても
「チャイコフスキーの5番」を聴くためにこの演奏を推す気にはなれない。
一般的ではなく、あくまでフルトヴェングラー・ファンのための音盤だと思う。

カップリングの「さまよえるオランダ人」はEMIへのスタジオ録音よりも
よりおとなしい感じでこれも物足りない。
この中では最後の「ラインへの旅」が一番聴き応えがあると思う。

チャイコフスキー:交響曲第5番/ワーグナー:さまよえるオランダ人序曲/夜明けとジークフリートのラインへの旅

チャイコフスキー:交響曲第5番/ワーグナー:さまよえるオランダ人序曲/夜明けとジークフリートのラインへの旅

  • アーティスト: フルトヴェングラー(ウィルヘルム),チャイコフスキー/ワーグナー,トリノRAIオーケストラ
  • 出版社/メーカー: delta classics
  • 発売日: 2008/04/25
  • メディア: CD


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