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ショスタコーヴィチ 交響曲第5番(小澤征爾) [クラシック音楽]

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
     サイトウ・キネン・オーケストラ 
     指揮:小澤征爾
     録音:2006年9月9日、11日、12日
     長野県松本文化会館(ライヴ)

久しぶりのクラシック音楽関係の更新。
世間で大絶賛の嵐の小澤、サイトウ・キネンによるショスタコーヴィチ。
実にこれが小澤にとって初のショスタコーヴィチ交響曲の録音になるのだとか。

曰く
「クールで繊細な小澤とは思えないほど激しい演奏。」
「バーンスタインを思わせる情熱の爆発。」

まぁ表面的には確かにそうなのかもしれないし的を射ているのだろうけれども、
世評ほどどうもピンとこない自分がここにいる。
一昔前の祝典的な演奏とは打って変わって最近の5番は
作品の内面に潜む悲劇性、反体制的な解釈のものが多いが
この小澤の5番はどうもどっちつかずな中途半端な印象。
まず1楽章の出のふわっとした”硬派でない”響きで出鼻をくじかれた感じ。
その後も響き自体がどうも軟質でしゃきっとした厳しさに欠けて、
そこへ”らしからぬ”劇性が加わるものだから
さて、小澤はどういうショスタコーヴィチを目指しているんだろう?
ということになってしまう。
4楽章冒頭の遅いテンポからのアッチェレランドも
この演奏に一貫した流れでこれはこれでよいのだろうけれども、
それほど効果的に高揚感を煽っているようにも思えない。
一にも二にも響きそのものの厳しさの欠如が惜しまれる。
ただ、ラルゴだけは絶品。
ここはバーンスタインと同等の評価をしてもいいかもしれない。

ひょっとしたらこの解釈を違うオケでやったら大成功をするのかもしれない。
サイトウ・キネンの巧いことこの上ないけれども、
どこか作品に共感し切れていないクールで冷静な響きが
小澤の熱い解釈についていけていないだけかもしれない。
小澤、サイトウ・キネンの多くの演奏を評価している私だけれども、
久しぶりにオケは巧いだけじゃダメだなぁと実感。
世評では小澤、サイトウ・キネンのベスト1を争うと言われているこの1枚、
少なくとも私にはマーラーの2、9番には遠く及ばないと思うのだけれども。

ただ、小澤征爾70歳にしてこの情熱の爆発!!
ここにきてやっと一皮むけたか、という感は強く持った。
今後はオケと作品の相性を考えながらより多くの
名演を残してくれることに期待したいと思う。

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

  • アーティスト: サイトウ・キネン・オーケストラ 小澤征爾,ショスタコーヴィチ,小澤征爾,サイトウ・キネン・オーケストラ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2007/08/22
  • メディア: CD


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