オーマンディのチャイコフスキー [クラシック音楽]
音楽評論家の宇野功芳氏は自らの著書で事ある毎に
「クラシック音楽ともなると愉しむだけの曲というのは数少ない。
特に交響曲はそうだが、たった2曲だけ、ムード的に聴き流すだけでも
十分愉しめる曲がある。」
と述べている。
ちなみにそのたった2曲というのは
メンデルスゾーン「スコットランド」とドヴォルザーク「新世界」。
クラシック音楽っていうのはそんなに大層なものなのか?
そんなこと大っぴらに言っちゃう評論家がいるから
クラシック音楽を敬遠する人が増えるのでは?
私も氏の言うところの「精神的な」演奏は大好きである。
フルトヴェングラーなんてそのもっともたるもの。
でも、彼の唯一のチャイコフスキーの5番やJ・シュトラウス、ラヴェルなんかを
日常的に取り出して聴こうとは思わない。
あくまでコレクションの1つ。
クラシック音楽だからといって何でもかんでも「精神的な」演奏をすれば
良いというものではない。
また同じ曲でも「精神的な」演奏、ムード的に聴き流して愉しめる演奏、
どちらでも可、という曲だって数多くあると思う。
チャイコフスキーの後期交響曲なんていうのもそう。
深刻ぶった4番や「悲愴」は大好きだけれども
たまにはメロディ・メーカーとしてのチャイコフスキーも愉しみたい。
そんな時に取り出すのがオーマンディがビクターに入れたCD。
今はなきゴージャスな「フィラデルフィア・サウンド」に何の不満もなし。
最初から精神的なものなど期待せずに愉しんで聴いているのだから
音の大洪水に大満足。
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