続 東海に挑む ~調子はどうよ?~(8) [ シリーズ実況 Old..]
前回からの続きです。
このときのケーブルの状態
海底に下ろした「分岐装置」、海底でひっくりかえってないかなぁ?と心配でしたので
ケーブル船に搭載されている有線ロボット(ROV)で海底を見に行くことにしました。
発進!
このROVはめちゃくちゃパワフルなので、分岐装置が多少ひっくり返っていてもちゃんと起こせ
る(かも?)なのだ。あ、けっして設置しそこねたから発進!というわけじゃなくて、はじめから
海底を見に行く予定です。ROVは整備に時間がかかるので、そんな急に出撃できまへん。
ところでROVが潜っている間、母船はどうしているかご存知ですか?
ROVと母船はケーブルでつながっているので、母船が1箇所に留まっていてはROVは移動
や作業ができません。JAMSTECの船だと、風や潮の加減をにらみつつ、ROVが移動や作業
しやすい場所へと母船を移動させます。ROVの運航長と船長は無線で連絡を取りながら、
それぞれ別々に操船(操縦)します。阿吽の呼吸というやつですね。
一方、このケーブル敷設船は違います。ROVの位置にあわせて、船の位置を自動調整して
います。つまりROVが右に行けば船も右へ、ROVが左に行けば左へと自動で移動します。
なんか小さいロボットにでかい母船が操られてるみたいで、ちょっと変な感じ。
ちなみにケーブル船は、DPS(Dynamic Positioning System:GPSを使いながら数mの精
度で位置を船の位置を自動調整するシステム)を搭載しています。またROVの位置はGPS
ではわからないので、船のそこに取り付けた複数の超音波送受信器(SSBL = Super
Short Base Line)で測定します。
ロボット潜航中の艦橋の様子。
JAMSTEC船と比べると人も少ない。
そうするうちに、ROV、海底へ着く。
ROV自身と海底の分岐装置の両方が写ってます。
なんか、他の惑星みたいですね。
海底の分岐装置。きれいに着底してます。
よかった、よかった。海底の泥砂にも、ほとんど埋もれてません。この様子であれば、
4月に分岐装置に地震計や磁力計をつなぐこともできそうです。
水中着脱コネクターも見てみる。問題なさそう。
真ん中のが海底ケーブル。これが50-60km先の陸地までつづいているのだ。
このROVは、磁力計を搭載していて海底ケーブルがどこにあるかを探すことができます。
ケーブルに絡んだり、傷つけることなく、ケーブルの状態を観察できるのは、さすがケー
ブル保守専用ROVですね。今回は行いませんでしたが、ケーブルを海底へ埋める機能も
持っています。
ふぅ、、、仕事終わりですね。ここまで仮眠を取りつつ丸3日強の連続作業でした。
皆様、お疲れ様でした & ありがとうございました。
※追伸
ROVの写真、実は「発進」ではなくて「帰還」です。
なんでかわかるかな?? > ROV好きの諸君!
http://obem.jpn.org/field056.html
さらっと聞いてるとそのままスルー、ですけど・・・・確かにケーブルつないでるんだから、切れないように作業、移動の苦労が伴うわけで・・・・
ともかく、船も機械も乗組員サンも、お疲れ様でした!と思いました。
by honyapin-turedure (2007-04-29 13:53)
>さらっと聞いてるとそのままスルー
スルーせず本ブログにお付き合いいただき感謝です(笑) > ほにゃぴんさん
もっともっと、わかりやすい「読み物的ブログ」も心がけたいとおもいます~
by MANTA (2007-04-30 11:34)
>ROVの写真、実は「発進」ではなくて「帰還」です。
>なんでかわかるかな?? > ROV好きの諸君!
ROVが着水する前なら、海面にしぶきはないのでは?
ROVが海面から揚収されているので、ROVから海水が滴り落ちているのでしょう。(自信ないですけど)
さらっと読んでいたらそのままスルーでした。(笑)
by みきぱぱ@きょうこん (2007-05-02 22:43)
- さすが鋭いですね。> みきぱぱ@きょうこんさん
でもこのROVは着水時に海面ギリギリに吊り下げるので、着水前に
しぶきが上がることはあるのです(着水時でも上の写真のようにクレーン
=Aフレームを目いっぱい張り出します)。
正解は…「ROVの向き」です。船の向き(舷側)とずれています。
ROV揚収時だからです。このあと、ドッキングヘッド(クレーンとROVの
接合部分))を回転して、船とROVの方向が同じになるようにそろえて
から、甲板へ収納します。こうしないと甲板からROVがはみ出します。
(このROV、でかいのです)
着水時には、写真とは違って、ROVと船の方向はそろってます。
以上、マニアックな問題でした!熟読、ありがとうございます。
by MANTA (2007-05-03 10:49)