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日本沈没 回答編1(わだつみ、タケキン、日本隆起) [ 連載 Old..]

映画「日本沈没」は上映から1ヶ月半、オリコンではまだ4位だそうですね。ヒットしてよかったなぁ。これをみて「地球博士になる!」って子供もいるのかなぁ?

さてこれまでお寄せいただいたコメントの中には日本沈没などに関するご質問もございました。もうすっかりお忘れかもしれませんが、ここで一気呵成に答えさせていただきましょう。すでに一部回答させていただいたものも混じってますがお許しを。ネタバレありですがもういいですよね?

Q.「わだつみ」っていう潜水調査船、ホントにあるんですか?実在する名称を使っているの?
 「わだつみ」は小松左京氏の原作「日本沈没」(1973年)にでてくる潜水船の名前です。「しんかい2000」の完成は1981年。つまりフィクションが現実より先んじていたわけです。今回のリメイク映画では、本物の潜水船開発に先んじた原作に敬意を表して「わだつみ」の名を使ったのでしょう。

ただリメイク映画は原作とはかなり違っています。しかも監督さんは「本物」へこだわりが強い方です。なのになぜ「わだつみ」の名を使ったのでしょう? 勝手な推測ですが、リメイク映画中で潜水船を2つも沈めるにあたって本物の名前を使うのに製作者が躊躇した(あるいは使用許可が出なかった)のではないでしょうか? 真実をご存知の方、教えてくだされ。

Q.前作では、竹内均さんが出られておりましたが、今作では?
 竹内均先生(通称タケキンさん)は、東京大学教授で地球物理学者です。2004年にお亡くなりになるまで、月刊科学雑誌『Newton』の編集長をされたことでも有名ですね。私は直接存じ上げませんが、親しみやすい先生だったようです。

Newton (ニュートン) 2006年 09月号 [雑誌]

Newton (ニュートン) 2006年 09月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ニュートンプレス
  • 発売日: 2006/07/26
  • メディア: 雑誌

今作では本物の先生はどなたも出演されていません。東大地震研究所の日本沈没Q&Aで有名な山岡先生は映画監修でもかなり関与されたようですので、お出になればよかったのになぁ。ただ竹内先生のインパクト?には勝てないかも(笑)。そのほか「おすすめ」の先生もいますが、内輪ネタなのでやめましょうー。

Q.映画では「日本沈没」ですが、隆起も有りなんでしょうか?
 オオアリです。まず日本列島は現在隆起しているのでしょうか?沈没しつつあるのでしょうか?
海岸での調査結果でみてみましょう。
 http://www.enecho.meti.go.jp/rw/hlw/qa/safe/safe05.html
最初の白黒の図は、12.5万年前の海岸線のあとが今の標高何mで見つかったかを示しています。どこでも大体数10~100mですね。このことから、日本列島の大部分は隆起したらしいことがわかります。年平均で1mm以下の速度です。
よーく見ると沖縄のあたりで200m以上隆起した島があるようですね。なにがあったんでしょうか…

次に陸上での調査結果を見ましょう。
 http://www.aist.go.jp/GSJ/~murakami/iwanami/NihonnoShizen/HeiyatoKaigan/chapter1.htm
第四紀とは約200万年前から現在までを指します。日本列島の大部分はこの期間に500~1000mくらい隆起しています。1年あたり平均すると0.25~0.5mmの隆起速度で、海岸線の調査結果と大体一致します。ね、地殻の変動っておそいでしょ?

このうち一番隆起が激しいのは飛騨地方です。こちらに飛騨地方を中心とした図があります。
 岐阜の地学・よもやま話 → 北アルプスをクリック
急な山地は侵食が激しいですが、それを差し引いても1500m以上隆起してます。長い年月とはいえ、凄いですね。

ただこの日本全体の過去200万年の隆起・沈降分布図が発表されたのは1973年。くしくも日本沈没原作発表の年です。あれから30年、カーナビでおなじみのGPSを用いた最新の観測では、ここ1年間、いや1ヶ月間の日本列島の隆起や沈降の様子を知ることができるのです。

 日本列島の地殻変動 > 最新の地殻変動情報(国土地理院提供)
 http://mekira.gsi.go.jp/project/f2/ja/index.html

右端の「表示形式」を「垂直方向」にしてみると、日本全体の過去1年間程度の隆起・沈降を見ることができます。各々の矢印の根元をクリックすると何センチ隆起・沈降したかもわかります。ただし日本海側のある場所(固定局)の隆起量をゼロと仮定してます。

これをみると東日本が沈み気味で、西日本は浮き気味ですね。それでもせいぜい年1cm程度の速度です。ただし宮城県周辺は去年の8月16日の地震のため、この1年で5.6cmほど沈み気味です。表示地域を選ぶと、各地方の隆起・沈降をもっと詳しく知ることができます。

さらに詳細に解析を進めてみると、東北地方を南北に貫く奥羽山脈は東北のほかの地方と比べても年間5mm程度余分に隆起しているようです。これはおそらくは東北日本が東西からギュウギュウ押されていてそのために真ん中の奥羽山脈が今も盛り上がり続けていることを示しているのだと考えられます。(詳しくは東北日本 GPS 上下変動

あー字ばっかですね。なんか夏休みの宿題をやってる気分になってきました。
つづきます。

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※お盆休みがあったりなんだかんだで記事UPが遅くなりました。
 今後は2日に1記事ペースにもどすぞー

※おまけ
あの東大地震研究所の日本沈没Q&AがどんどんVer. Upしてます。いまQ.58まできました。これはたぶん、単行本になるなあ。Q.51、爆笑です。

※この記事の続きをよむには、サイドバーの「カテゴリーの紹介」をご覧下さい。
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46のガマ

山岡さんはちらっと映ってますよ。田所が総理に354日シミュレーションの説明するシーンで一瞬映ります。

火山屋でむかし映研にいて映が撮ったこともある身からすると、火山噴火の表現や本編演出正直いまいちな映画でしたが(^^;)
by 46のガマ (2006-08-24 22:22) 

MANTA

- おお!そうでしたか、そういう噂は聞きましたが裏をとれませんでした。こりゃDVDでたら、見ないと(^^) 情報ありがとうございます > 46のガマさん
作品としては… まあ私も高校のころは映画に狂ってましたからね、まあ何も言わないことにしましょう。
by MANTA (2006-08-24 22:41) 

みきぱぱ@きょうこん

MANTAさんこんにちは。
このネタに絡んでまたまた告知させてください。
8月27日(日)お台場船の科学館で、「第2回オレっちのノーチラス号コンテスト N-con 2006」(「羊蹄丸」ロビー入場無料)が開催されます。『日本列島は沈没するか?』の作者である、西村氏、藤崎氏も見えられる予定なので、多数の方のご来場お待ちしています。詳しい案内は下記のURLを見てください。
http://homepage3.nifty.com/nishimura_ya/n-con/index.htm

同時開催「水ものフェスティバル」(要入場料)も面白いですよー。
http://twinstars.office110.co.jp/~funekan/index.html
by みきぱぱ@きょうこん (2006-08-25 09:00) 

MANTA

- おもしろそうなイベントですね。文部科学省も後援とは!
私は別に予定がはいってしまったのでいけません。ざんねん。
by MANTA (2006-08-26 09:48) 

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