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いまさらナスカの地上絵を撮影? [▼科学ニュース New!]

19日に種子島よりH2Aロケットによりの陸域観測技術衛星「だいち」(陸域観測技術衛星ホームページ→検索)が打ち上げられます。ぜひ成功して、日本の科学技術力を内外に示し、また宇宙へのロマンを日本人みんなに与えてほしいと祈っています。

ところが気になるのは、打ち上げ後の衛星の運用についてです。Yahoo!News記事「<ナスカ地上絵>衛星データで分布図作成へ 山形大助教授ら」によれば、新たに打ち上げる「だいち」を使ってナスカの地上絵を観測するというのです。うむ?いまさらなぜ?たしかに分解能2.5mで地上を観測できるセンサーを持つ衛星「だいち」はすばらしいですが、Google MapやGoogle Earthでもそれくらいの分解能で見えそうな気がします…たとえば10/4の記事とか。調べて見ますと、1999年に打ち上げられた米国衛星「IKONOS」は商用ですが0.82mの分解能をもってます(日本スペースイメージング株式会社→検索)。米国商用衛星より低分解能の衛星で、南米ペルーの遺跡の調査をすることに本当に意味があるのでしょうか?すでに米国の研究者に研究されているのでは?また2.5mの分解能で足りるのでしょうか?ウィキペディア ナスカの地上絵→検索によれば、地上絵の線の幅は1~2m。「だいち」の分解能では線を捕らえるのがやっとです。これでは飛行機で撮影しなおすほうがよいのでは?

しかも上記の「陸域観測技術衛星ホームページ」によれば「だいち」の運用期間はわずか3年の予定です。打ち上げ後すぐに有意義なデータを得るためには、ナスカの地上絵だけでなく、地球環境変動や自然災害に対する具体的な対象物がもっとあるはずですが、具体的な話はニュースなどでは聞きません。陸域観測技術衛星ホームページをみても「だいち」で具体的になにを行うのか明確には書かれてません。「だいち」そのものは技術衛星なので技術目標が達成できれば目的を果たしているかもしれませんが、これではお役所にありがちな「箱物行政」と批判されかねないですね。またそもそも「だいち」など近年の衛星の設計そのものに問題があるとの批判があり、例えばそのために分解能があがらないと言われています。下記書籍に詳しく述べられてます。

国産ロケットはなぜ墜ちるのか

国産ロケットはなぜ墜ちるのか

  • 作者: 松浦 晋也
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2004/02/05
  • メディア: 単行本


この本では衛星打ち上げの背景や問題についても述べられています。また技術面についてもある程度突っ込んだ取材がされていて、例えば太陽電池パネルの構造に問題があると指摘しています。そういえば打ち上げに成功した「ひまわり」には電源系統に異常がおきていたっけ…

とはいったものの、当該記事は山形大学からの情報のようです。山形大学からはもっとアピール点があったのに記事では削られたかもしれません。また衛星を打ち上げるJAXA(http://www.jaxa.jp/index_j.html)もアピールしたい事があったかもしれません。ただいずれにせよ、JAXAなど関係者はもっと「だいち」によって国民が得るメリットを主張するべきだと私は考えます。またナスカの地上絵の保存が大事である事は、昨日の記事でも引用させていただいたとおりです。「だいち」にはすばらしいデータ取得に成功してほしいです。まずは無事衛星があがらないことには始まりません。がんばって宙まで届け!

なおGoogle Mapではナスカの地上絵を見る事はできないようです。14d43'0"S,75d8'0"Wのあたりのようです。分解能はせいぜい10m程度でしょうか?地上絵そのものが50-150m程度の大きさしかないのでとても判別できません(滑走路のような直線状のものは見えるかも?)…ということはよほど目のよい宇宙人にしか地上絵は見つけられないということですねー

追記:この記事を書くのにいろいろまじめに調べたのでホント疲れました…



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コメント 6

福助

MANTAさん、こんばんは
『だいち』の打ち上げはロケットの不具合で20日以降に延期されたようですね。ちょっと心配しています。

今回の衛星を使ってナスカの地上絵を観測するのは『?』ですが、Google Earthで古代遺跡を発見した例はあるようです。
使い方によっては考古学にも応用できる可能性はあるかもしれません。
↓参考に
http://x51.org/x/05/09/1919.php

私個人の考えですが、『だいち』には災害状況把握での活躍に期待しています。
すでに打ち上げられている情報収集衛星も同様のミッションを持っていましたが、先の新潟地震では『衛星の軌道が解析される恐れがあり、防衛上よろしくない』との理由でまったく情報の提供が無かったと聞いています。
『だいち』は地図作成など平和利用が目的なので、前例のような馬鹿げたことはないと思っています。
もちろん運用期間中に災害が起きないことが一番ですが。
by 福助 (2006-01-19 19:05) 

MANTA

福助さん、コメントありがとうございます。記事拝見しました!遺跡調査はよいですね。人類共通の資産ですもんね。衛星は世界中をくまなくまわるのですから、遺跡調査にしても災害調査にしても、日本だけではなく開発途上国などに情報提供すればこんなにすばらしい国際貢献はないとおもうのです。「だいち」は、ぜひとも大活躍してほしいですね。JAXAさん、打ち上げそのもので大変でしょうけど、打ち上げた後もがんばってー!

余談)情報収集衛星はですね、実はですね、軌道はとっくに解析されているそうです。
・情報収集衛星を打ち上げ直後にはNORAD(北アメリカ航空宇宙防衛司令部)に衛星軌道情報が開示されてしまいました。衛星関係者はあわてて情報開示停止を要請。つまり関係者は衛星軌道の情報は基本的に開示されることをしらなかったそうです。
・その後、世界各地のアマチュア天文家によって軌道解析がなされたそうです。アマチュアとはいえ装備はもはや30年前の軍事施設並みなので、仮にNORADで情報開示されなくても衛星軌道は解析されてしまうそうです。これらは「国産ロケットはなぜ墜ちるのか」に書かれていました。情報収集衛星、ホントウに役に立ってるのでしょうかね?まるで外務省の機密費のようですねー
by MANTA (2006-01-20 07:32) 

福助

MANTAさん、お返事ありがとうございます。
情報収集衛星の件、そうだったんですか。 なおのこと情報提供が無かったことが馬鹿馬鹿しいですね。ご紹介の本、とても楽しそうなので今度捜して読みます。
ところで、NORADって年末にサンタ追跡作戦をやっているところですよね。
ミサイル防衛が本業だと思っていたのですが、衛星の監視もしているんですね。
by 福助 (2006-01-21 08:34) 

MANTA

NORADのサンタのサイトは有名ですね。日本語ページもあるなんておどろきです!。NORADは飛行物全般の監視をしているようですよ。
by MANTA (2006-01-21 12:42) 

i0

だいちの売りはPRISM(パンクロマチック立体センサー)でなんと3Dで衛星画像を取れるのです.
このようなセンサーを搭載した衛星は過去に無いので,再観測でも有意義な情報が得られるでしょう.
運用期間は延長観測の方が色々自由が効くのではやいところ延長観測にしたいとか色々な問題もあるのでしょう(笑)
アメリカの火星探査でも延長期間に色々と楽しい事をやっていましたが.
by i0 (2006-02-27 12:26) 

MANTA

iOさん、コメントありがとうございます。乗船しておりましたのでお返事が遅くなりました。
上記記事を書いた数日後に、JAXAさまのページに分かりやすい解説が載っておりました。なるほど、3Dセンサーは世界初なのですね。解像度だけじゃなかったのですね。
延長観測も"なるほど"です。我々海底観測もそういう場合がなきにしもあらず、です。
by MANTA (2006-03-19 04:10) 

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