QUEEN、美しきかな騒乱音楽(Rock'n'Roll) [HM/HR]
QUEEN熱が止まらなくなっちまったい。(笑)
確か、中学2年か3年の頃だったと思う。FM放送で「今晩はブリティッシュ・ロック期待の新星、クイーンをご紹介します」というようなナレーションで、このQUEENのデビュー作品をノーカットで放送したことがあった。事前に情報を入手していた俺は、もちろんエアチェックすべく親爺から借りた(というか、のっとった)ソニー製のラジオを出来るだけいい受信状態になるようにアンテナの角度を調整し、お年玉で買ったこれまたソニー製の19.800円のカセットレコーダーに繋いで、「それでは5曲続けてどうぞ」のナレーションを合図に録音を開始した。
一曲目のどぎついエフェクターのかかったギターにノック・アウトされたのは言うまでも無いさ。しかし、二曲目のDoing All Rightに差し掛かったとき、どうも音像が安定していないのに気が付いた。ふと見ると、なんとラジオのACアダプターがコンセントから外れているじゃぁないかいっ!あわてて電源をつなげるなり、それまでとはうって変わってボーカルが生々しく聴こえてきた。「ああっ!一曲目のあるべき音を俺は聴いていないのかっ!それはいかんだろっ!」と後悔し、アルバムの一曲目に収録されていたKeep Yourself Alive、邦題「炎のロックンロール」のシングル盤を買ったよ。ジャケットに写る、ロジャーが持っているマルボロのパッケージに憧れたことをはっきりと覚えている。
狭義でのロックンロールはブルースから派生した、3コードを基調とするポピュラー・ミュージックだが、実は広義でのロックンロールはコード進行で決まるものではない。「アカデミズムから離れ、音楽論理上の整合性を最重要課題に置かない、気分を高揚させることを目的とした賑やかで大衆的な娯楽音楽」ではないか、と思っている。
俺はこれを「騒乱音楽」と呼ぼう。そして、今や大英帝国を代表するポピュラー・ミュージックの代表格にして伝説となったQUEENは、間違いなく70年代騒乱音楽を次世代に渡す役割を担った。
QUEEN 発売当時の邦題は「戦慄の女王」
いやあ、今聴いてもやっぱり凄い。一筋縄ではいかない曲展開、普通に聴いたら不自然なほど斬新なコード進行も若さとパワーでたたみかけ、強引に聞き手をねじ伏せる。それぞれのメンバーの創作意欲はとどまることを知らず、次から次へと溢れ出すアイデアを温存することもなく、全身全霊を込めてぶつけてくるさまは爽快だ。特にBrian Mayのギター・ワークは実にカラフルに曲を彩っている。おもちゃ箱をひっくり返したような、と言う表現がぴったりだ。若干未整理な部分は残るものの、なにしろ勢いがある。作品全体に、雄々しさ、気高かさを感じさせ、時として気品さえ漂わせている。圧倒的なスケール感。新人バンドの栄光への序章としては十分な出来栄えだ。
これは自信と誇りがあってこそ成しえた技だ。この作品を録音した時点で、バンドはそう遠くない未来に大成功することを予感、いや、確信していたに違いない。これがデビュー作だなんて、今聴いても信じられない。
個人的にはアナログ盤のB面の一曲目、Liarが一番好きだ。変に悪びれない上昇志向のロックンロール。これこそ騒乱音楽(広義でのロックンロール)の新境地を切り開いた記念碑的作品だと確信している。
それにしても今までこの作品をいったい何回聴いたんだろう?少なくとも数百回は聴いているはずだが、いつ聴いても気分が高揚し、その輝きは色褪せることがない。聴く度に初めて聴いたときのワクワクした感じが蘇ってくるのだ。今日も通勤で二回聴き、何回か鳥肌を立て、自宅に帰ってきてこのブログの文面を打ち込みつつ今も聴いている。今、今日4回目のModern Times Rock'nRollだ。
因みに、俺の記憶が正しければ、この作品の発売当時のキャッチコピーは、「レッド・ツェッペリン + イエス ÷ 2 = クイーン」だったような気がする。ま、ハードロックとプログレの境界線にあるような印象を受けるという意味で、最上級の賛辞のつもりだったのだろう。
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