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天皇問題 [Politics]

最近のニュースで、皇室典範改正先送り、ほど、あっけにとられ、笑った出来事はない。
まるで、現在のニッポンの問題をぎゅっと煮詰めたような出来事である。
皇族の誰かさんが妊娠した、であるから、皇室典範改正(女系天皇を認めるかどうか)を「先送り」。。。なんだ、こりゃ?今時の技術なら男か女かは調べればわかる。皇族に人権などはないのだから早速男女のどちらかを、調べてみましょう、というのなら未だ話はわかるが。。

雑誌世界4月号で憲法学者横田耕一がこの件を論評している。同感するところ多し。

この記事では学者である手前、言っていないが、元々現在の憲法も出来が悪い、こと、天皇条項に関する限り。だいたい、民主主義、が第一原則であるにかかわらず、内閣総理大臣を天皇が任命する、最高裁判所長官を天皇が任命する。。などという規定がどーどーと憲法規定にある、ってんだから、これを大昔読んだわたしは、なんでこうなの?と疑問であった。任命する、ってことは、任命されるひと(国民が選んだ代表が選んだ人々)より、えらい、ってことなんだよ。天皇は国民よりえらい、のかい?そんなわけはない。

憲法第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

とある。この文章、どういう意味なのだろうか?解釈は様々にできよう(憲法解説書にどう書いてあるか、実はあまり読む気がしないのだ)。わたしなら、第一章の天皇(つまり第一条から第八条まで)をそっくり憲法から削除する。むろん、皇室典範も廃止だ。「総意に基づく」という意味は、総意がなければ解任、ということだ。であれば、4年ごとに信任投票すればよいではないか。空位になってもどうということはないのである。

横田喜三郎は終戦後まもなく発刊された「天皇制」でズバリ、上記の天皇問題を指摘している。(最近図書館で借りたのだが、この本、古書店でなんと、6万円の値が付いている。こういう本は安く手に入るようにして欲しいものだ)。天皇護持論者は天皇の伝統維持、をいいたがるが、終戦前の天皇の歴史は明治以来70年の歴史しかない(羽仁五郎が昔、指摘していた)。横田喜三郎も、戦後憲法の天皇、は、それ以前の「天皇」とは内容が全く違うのだからむしろ名前も変えた方が良い、といっている。明治維新直前まで、天皇はほとんどの期間死に体、であり、国民から見向きもされていない。暴力集団である武士階級が実権を握りその ハク、をつけるため 征夷大将軍職を 天子様から委任される、という形式を作った。むろん、政治的に、将軍を指名したり、政策にいちゃモンをつけるということは、あり得なかった。これは、明治以後も同じだ。利用されたのである。明治もそうだが、江戸期以前、デモクラシ、とか主権在民、とかいう制度の無かった時代の天皇概念、をそのまま伝統とか文化、という名目で維持する必要などさらさら無い。ある、という人々は、家元制度にして残しておけばいいだろう。妾などを仰山もうけ、男系、とするも自由だ。(そも、現在の技術からすれば、人工妊娠など簡単にできるのだから、私がかりに男系天王護持論者なら、じゃかすか子供を作るが。。人権など無いのだからバイオエシクス上の問題はそもそも発生しない)。

民主主義、とは、自由を尊び、それ以上に、平等を大原則とする。(いや、奴隷制もよろしい、小作人制度もあってよし、というのも1つの意見だろうが、それを主張する人々は社会に受け入れられない、というツヨイ覚悟で生きる必要がある)であれば、超国民(憲法でいう国民の権利は保障されていない)などの存在を許すのはそもそもおかしいのである。こういう機能の存在がなぜ生じたか?想像するに、江戸末期の武士集団の権力争い(=明治維新)で、武士らは 外国に対しおれたちは国家の主権を担っている。。という意識に欠けるところがあったのだろう(肩身が狭かった)。だから、昔からある(人民の代表ではないが)機能で当面の、recoveryをしたのだ。本来なら明治憲法をつくったところで、主権在民をてっていさせるべきだったのだがこれを行わなかった(だから、北一輝などは第2維新を主張した。結局、北一輝の主張の大部分は戦後、他力による「革命」で実現することとなった。。完全ではないが)。

さて、横田喜三郎は上記著書で、p260
「実際において、最近に、われわれはそのいちじるしい例を経験した。(略)太平洋戦争に至るまで軍部と官僚によって、わけても軍部によって、天皇制は極度に利用され、極端に悪用された。そのさいに、天皇の意志が弱かったことと、天皇制を含む神秘主義とは、非常に大きい役割を演じた。天皇の意志が弱かったことによって、軍部は容易に邪悪な目的を天皇におしつけ、その同意をうることができた。ひとたび、天皇の同意をうれば、天皇制を包む神秘主義によって、やすやすと国民の盲目的な服従と無条件的な追従を獲得することができた。」
と、述べている。

半世紀前の横田喜三郎の心配を受けたかのように、元自衛隊統合幕僚会議議長、来栖弘臣は『日本国防軍を創設せよ』(小学館、2000)の冒頭、改革すべき16の要点、その1として、

(1)天皇との距離を縮める、

と言っている。いわく、「自衛隊は天皇と疎隔されている。天皇が他の官庁や企業を視察されることはあっても、自衛隊をご視察にはならぬ。。。。国がこういう区別扱いをしておいて、首相が訓辞で、精強な部隊たれといくら要望しても無意味である。天皇を元首として身近に仰ぐことが、使命感を高め士気を鼓舞する所以である」。
来栖は、「自衛隊の法制度は不備である、有事には自衛隊は超法規的行動を取る」と発言し、時の金丸防衛長官から解任された(来栖氏は、2004年死亡)。
有事法、がない、というのはそのとおりだが、であれば、有事法を作れ、と主張すればよいダケのハナシである。そもそも、日本国の主権はどこにあるのか、とんと、ご存じないらしいひとであるようだ(もっとも、最近の国会議員にも同じような主張をするひともあるが)。自衛隊は、誰のための軍隊か?来栖は、有事の際、首相や国会の指揮を仰いでいたのでは間に合わぬ、独自の行動を起こす、と言っているのであり、シビリアンコントロールなのへのカッパ、だとおもっている。罷免されたからと言って自衛隊の思考法が一変するわけでもあるまい。国民の言うことなどきけるか!天皇という案山子、をたてて、自由に操ろう、という戦前並みの思考法を未だに隠し持っているのである。もちろん、これは保守系国会議員の利権的思考法、とも合致する。明治以来の、ニッポン的、あるいは、タゴサク的(宮台真司)立憲君主制がゾンビのように生きている。

 

こういう勘違いをスル人間がでてくるのも、現在の憲法第一章が存在するからである。皇族外交したい!などとだだをこねる皇族がいるのも、みても憲法における天皇のありかた、を理解していないのである。政治的行為はいっさいしてはならない、のだ。したければ、皇族を降り(注)、一般人として公務員になるなり、国会議員に立候補して一国民として、義務と責任をもっておこなえばよい。(自らの意志で退位する、という制度もちゃんと用意しておくべきだろう。)

(注)もちろん、憲法第一章を削除しすれば、「皇族」は一般名詞になるのであり、誰が皇族を名乗ってもかまわなくなる。雅子さんや現在の皇太子も一般人になるのだから、国会議員にも立候補できる。これは千宗室氏が国会議員や市会議員になるのと同じこと。子作りに励め、などと干渉されるような現在の、人を人と思わぬ扱いを受けるより(人ではないのだった。基本的人権無いのだからね。国民ではないのだ。。)、一国民として人生を全うされるのが良かろう、とおもう。千宗室が茶道を広めに海外に回るのはそれを待つ人がいるのなら、大いに結構な文化活動でありだれも止めることはできない。日本の元皇族、の訪問を待つ海外の人がいるなら親善訪問に海外を回るのも私人の行為だからだれもとめないだろう。

憲法第九条はそのままほうっておいても、自衛隊(現在の武力は多すぎるが)は残してもさしつかえはなかろう、と私は考えている。憲法というのは理想論を述べている、という点もある、から。あまりに国民の要求するところと隔離してきたら、選挙を通じて変更する道は残されている。主権在民、を徹底させる意味でも、まず、第一章を削除すべきだろう。国民が終戦直後に見せたようにすべてを軍部と天皇に政治責任に負わせたりせず、国民自身の決定に基づいて、その代表を通じて政治を行う、その結果は選挙した国民が負う、という体制を明確にするべきである。押しつけ憲法、というがマッカーサーが押しつけた象徴天皇制、天皇制民主主義こそ、真っ先に、謹んで返上し、完全な民主主義を実現すべきであろう。天皇家にとってもその方が幸せ、安楽な生活が送れるのである。


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健康かむかむ塾

孝明天皇と明治天皇との間には、大きな断絶があります。

つまり、明治天皇は、それまでの「殺生肉食禁断」を破り、肉食をしました。
これに象徴されるように、天皇は「西洋」に利用されるようになりました。

明治憲法下、そして国際法違反である日本国憲法下の天皇は、孝明天皇までの「天皇」とは全く別の存在になってしまいました。

日本国民は、孝明天皇までの「天皇」を学習する必要があります。
私も精進しております。
by 健康かむかむ塾 (2007-06-05 17:06) 

古井戸

>これに象徴されるように、天皇は「西洋」に利用されるようになりました。

明治維新指導者が、そうしたのですね。利用したのです。
江戸以前の、つまり、誰にも気付かれずに人間として生きていた一個人に戻って貰うのがみんなの幸せでしょう。
by 古井戸 (2007-06-05 18:08) 

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