SSブログ

ラ・カサリンガと壁画制作過程 [アトリエから]

長めの日本滞在を終えて先日フィレンツェに戻りました。
南欧は時ならぬ猛暑、フィレンツェも連日30℃を超えて、
新旧インフルエンザウィルスも退散という勢い。
夏に向かってどうなるのかと思っていましたが、
幸い今日から涼しくなりました。

ところで5月8日、丸の内パークビルに
ラ・カサリンガ アンジェラ エ メイコ La Casalinga Angela e Meiko
がオープンしました。

IMG_7965.jpg
オープン前、まだ工事中の「ラ・カサリンガ」
壁画を描くため、店内の様子を下見に来ました。
鍵が到着するまで待てずに覗いているところ。


…と、壁画の話に進む前に、

このレストラン
「ラ・カサリンガ アンジェラ エ メイコ」
についてご紹介しないと、
ですね。

すでにいくつかのblogでご紹介も頂いておりますが…。


…その他、たくさんのblogでご紹介頂きました。
皆様、ありがとうございました。

また集英社のwebサイトs-woman.netの
新雑誌エクラのページ
でも詳しくご紹介頂きました。
その他多くのメディアでとりあげて頂きました。
あわせてお礼申し上げます。

リンク先でもご案内のとおりですが
以下、改めてご紹介致します。

まずは店名
ラ・カサリンガ アンジェラ エ メイコ
のご説明から。

カサリンガcasalingaは「主婦」「家庭の…」という意味。
〈家庭料理をベースにした素朴で飾らない、毎日食べても飽きない料理〉
という店のコンセプトを表現しています。

アンジェラはフィレンツェ在住の主婦、
アンジェラ・ヴィスカAngela viscaさん。
以前の記事、
で、ちらっとご紹介しています。

メイコはもちろんメイコ・イワモト。

アンジェラとメイコがトスカーナの家庭料理をベースに、
実際に料理を作り、試食を重ねながら、
このレストランのメニューとレシピの基本コンセプトをつくりました。

YOIC4454.jpg
右からアンジェラ、メイコ、後述のパティシエ啓子さん
Angela,Meiko,Keiko....da destra

そのコンセプトを活かしながら実際の料理をつくるのは
シェフ星 誠さん、パティシエ長谷川啓子さんを初めとするスタッフたち。

星 誠さんは
…このレストランの最重要人物はMakotoこと星 誠さん。
ヴィアレッジョから届く新鮮な魚介をすべてとりしきっています。
誠さんの自己紹介
「三つ星から…マンマの家庭料理を学んだ料理人。
モットーは『人間が一流なら料理も一流である』。
だが一流とは何か、と毎日 自問自答の繰り返し」
(残念ながら、現在はこのレストランを退職、12月の日本への帰国準備中
でも、日本のレストランで会えるかも?です…)
…と、既にご紹介済みです。

YOIC5444.jpg
(近々、ご紹介記事up予定)

を始め、イタリア各地で研鑽を積む事9年!
有名無名のレストラン修業の果てに流れ着いた

ではなくホントは三顧之礼で招かれたのが
フィレンツェのお洒落で魚介が最高に美味しいレストラン
だったというわけです。

そこで出会った彼の「そろそろ帰国を考えています」
と言う言葉を聞いて、
無理やり「ラ・カサリンガ」に
ヘッドハンティングさせて頂いたという訳です。

パティシエ長谷川啓子さんも
同じくフィレンツェからのスカウト組です。
OL生活から製パンの世界に飛び込み、イタリアにやってきて
フィレンツェ最高のパスティチェリア(洋菓子店)と誰もが認める
ジョルジョPasticceria Giorgio(こちらも近々、ご紹介記事up予定です)
3年間修業した素敵な女性です。
彼女が作るドルチ、中でもズコットとブルッティ・マ・ブオニは絶品です。

ズコットとブルッティ・マ・ブオニ、
馴染みのないお菓子かも知れません。
どちらも日本でご紹介するのは多分、このレストランが最初です。

ズコットzuccottoは後期ルネサンス、マニエリスモ期の建築家
がメディチ家の晩餐会のために発明した
ジェラートの原型とも言われるセミフレッド(半氷結)のケーキです
名前の由来は半球形の形が
司祭の帽子ズッケットzucchettoに似ているからとも言われています。

本邦初公開のメイキング・オブ・ズコット…

YOIC4424.jpg

YOIC4431.jpg

IMG_7381.jpg

IMG_7388.jpg

IMG_7391.jpg

YOIC4386.jpg
中央はMaiさん。メイコの料理教室の第1期からの生徒さんの一人。
フィレンツェにカフェ修業中をスカウト。
ラ・カサリンガのバリスタとして頑張っています。
da sinistra...Keiko,Mai,Meiko

YOIC4439.jpg

YOIC4675.jpg
出来上がり

YOIC4752.jpg
中身はこんな感じです。

ブルッティ・マ・ブオニについてもご紹介したいのですが、
それは次の機会に。

忘れちゃいけないスタッフはまだまだいます。
「ラ・カサリンガ アンジェラ エ メイコ」
のホームページのconcettoページのホスピタリティの写真で
後列左からイタリア体験の長いクオーコGenさん、Makotoシェフ、Norioグランシェフ、パティシエKeikoさん、Koyukiさん、マネージャーHirohikoさん、前列左からクオーコNaokiさん、バリスタMaiさん、クオーカYukoさん、ソムリエKoheiさん、フィレンツェスカウト組ホールRyuheiさん。
その他、写真には写っていない同じくフィレンツェスカウト組ホール担当Kumikoさん、Syokoさん…。

まだまだ紹介したいことばかり(あ、もちろん肝心の料理のご紹介も)ですが、きりがないのでまた機会を改めて。

というわけで
ここから壁画の制作過程です。

casalinga01.jpg
フィレンツェで描いた「絵画/ラ・カザリンガ壁画モデッロ」

写実画壇展で発表した絵↓
展覧会の規格に合わせて左右を折り曲げ上下を延ばしています。
構図のバランスが変わったためモティーフを描き加えています。

casalinga02.jpg

この絵はyk2さんのHearts and Numbersでもご紹介頂いています。
yk2さんが評されているとおり余白が多いのですが、
日本的造形を意識しているからです。
その事を日本の絵描き仲間に言うと冗談のように受け取られてしまいます。
イタリアから見るととても日本的な絵だと思うのだけど。

中央の女性のモデルは
「向かって左の美しい人については秘密です…消しゴム版画調でご紹介!
した誠さんの隣の女性です↓
IMG_6173m.jpg

ところで何故この絵を描いたのかというと
タイトルにあるように
ラ・カサリンガの壁画のコンセプトをまとめるためだったのです。

実はラ・カサリンガの壁画は最初「ヴノリオ」の場合のように、
綿布にテンペラで描いて壁に貼り込むつもりでいました。
そこでフィレンツェで180cm×380cmというサイズで
描き始めました。
この絵とは全然別の、架空の街の風景仮題"La Casalinga 00")↓です。

casalinga00.jpg
"La Casalinga 00"(部分)

ところが綿布を壁に貼り込むのが消防法の関係で難しいとのこと、
現場で直接壁に描く方法に変更しました。
そこで、"La Casalinga 00"は途中でやめて、この絵を描いたという訳です。
"La Casalinga 00"はこの夏完成させてどこかで発表したいと思っています。

YOIC6325.jpg
ところでカサリンガの店内を見て最初に気になった(気に入った)のが、
天井近くの古材で設えた‘梁’です。

YOIC5296.jpg
突然ですが、ダル・ペスカトーレに行く途中立ち寄った
パルマの聖パオロ女子修道院のコレッジョの壁画です。

YOIC5295.jpg
ドーム状の天井の下側のモチーフ

YOIC5295p.jpg
これです↑
1/4球形の窪み(もちろん騙し絵)がズコット型を思わせます。
その下の布に掛けられているのは皿や壺など。レストランのモティーフにぴったりです。

YOIC6392.jpg
そこでこのモティーフを借用することにしました。
もちろんそのままではつまらないので…

YOIC6393.jpg
こんな具合に直接木炭でデッサンしてアクリル絵の具で描いていきます。

YOIC6441.jpg
布のモティーフの下はフィレンツェの大好きな建造物。

YOIC6477.jpg
YOIC6474.jpg
布の上の文字は店の立ち上げに加わった仲間達の名前。

YOIC6472.jpg

YOIC6467.jpg

YOIC6480.jpg

YOIC6478.jpg

YOIC6634.jpg

YOIC6619.jpg

YOIC6485.jpg

YOIC6486.jpg
店名のアンジェラとメイコが誰だか分からないといけないので二人の肖像を追加。

YOIC6564.jpg
実際に働く仲間達を描くべきだと思い直し人物を増やします
人数も最後の晩餐と同じ13人。ちょっと嬉しい。

YOIC6618.jpg
グランシェフNorio氏「僕も描いてよ」…なので追加。
最後の晩餐じゃなくなってしまうけど、かえって良いかも。

YOIC6615.jpg

YOIC6561.jpg
オープンの支度がととのったところです。

営業時間 月-土 11:00~22:00(L.O.)(23:00閉店)
     日・祝 11:00~21:00(L.O.)(22:00閉店)
     ランチタイム 11:00~14:00(L.O.)
     カフェタイム 14:30~17:00(16:30L.O.)

定休日  無休(ビルの休館日に準ずる)

住所   100-6990 東京都千代田区丸の内2-6-1
     丸の内パークビルB1F

TEL 03-5293-1105  FAX 03-5293-1106

地図


↓中央をクリックすると大きく見られるページにジャンプします


【メイコからのお知らせ】

カゴメweb
“KAGOMEトマトキッチンスタジオ”「トマトな季節」
更新しています。
メイコイワモトのトスカーナ家庭料理 春編
ご紹介中。


「トスカーナからミルクの贈りもの」
メイコ イワモト

 

にほんブログ村 海外生活ブログへにほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へにほんブログ村 グルメブログへにほんブログ村 美術ブログへにほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ
nice!(28)  コメント(17)  トラックバック(0) 

nice! 28

コメント 17

emu310

素敵なお店ですねー!

26日27日と東京に行ったばかりでした。
残念!
トスカーナの家庭料理、食べてみたかったです。
もちろん壁画も、見たかったです。

今度行った時はぜひ!うかがいます。
いつになるかわかりませんが・・・

by emu310 (2009-05-28 23:26) 

plot

emu310さん、コメントありがとうございます。
お知らせ遅れてごめんなさい。
ロンドンに寄り道などしていてupが遅くなってしまいました。また皆様のブログへの訪問もすっかり滞っています。
これからまた寄らせて頂きます。
レストラン共々、よろしくお願い致します。
by plot (2009-05-28 23:33) 

pace

日本にいらっしゃる間に伺いたかったんですけど残念!!
先日は実に楽しい時間でした!ありがとうございます
6月は日本におりませんので、7月過ぎに妻と伺いたいものです
by pace (2009-05-29 00:20) 

TaekoLovesParis

すてきな、ゆっくりできるカジュアルレストランですね。
壁画は、コレッジョの壁画がヒントだったんですか。実際にお店で見ると、
高いところのはすわった位置によっては見えにくいので、こうやって見せて
いただくと、なるほど!です。かわいいモチーフがたくさん。
制作過程を見せていただくと、絵に、より親密な感じになります。
今度、行ったときは、もう一度、上の方をじっくりと見ます。

ズコット、とってもおいしかったです。こうやって作るんですね。
中のチョコレートのぶつぶつ感が印象的。
おいしかったのに、まだ記事にしてなくて。。近いうちに。
by TaekoLovesParis (2009-05-29 00:32) 

Inatimy

何が起こるのかずっと気になってました♪
てんとうむしさんのブログで知って、
今度はお店に行ってみたくて、うずうず。
小さく描かれた人まで、そばでじ~っくり見てみたいです。
by Inatimy (2009-05-29 06:32) 

yk2

最近全然自分のblogを更新していないので、伺った日のことも書かずにいてスミマセン(^^ゞ。そうか~、洋一さんの今回のだまし絵風のはコレッジョからの着想だったんですね。美しいあの女性の肖像ばかりに気が行ってしまって・・・(笑)。

東京でトスカーナ・パンが食べられるのがなんとも嬉しかったです。ラ・カサリンガのお料理は材料にとても細やかに心配りがなされてるのが感じられました。さすがはマンマの味をウリとして打ち出すお店だなぁ~と。カプレーゼのトマトの美味しかったこと!(そもそもトマトはメイコさんにとってはトレードマークみたいな野菜ですものね^^)。トリッパの蜂の巣も新鮮で、プリプリしていてとても美味しかったですよ。

場所も東京、有楽町両駅から歩いてすぐだし、上野からも電車に乗ればあっと云う間。美術館帰りにラ・カサリンガでランチや晩ごはんって感じで立ち寄れるお店が出来て嬉しいです。
by yk2 (2009-05-29 07:18) 

てんとうむし

先日は御多忙のなか、楽しいひとときを過ごさせていただき、有難うございました。

ラ・カサリンガでは、美味しいお料理の数々と、居心地のいい空間に時間を忘れて長居をしていしまいました。
そして、このズコット!!とても美味しかった~♡
ふわふわと、サクサクと、カリっとした絶妙の食感がたまりません。

上野で作品を拝見していたので、実際にお店で拝見した壁画の前では、「スタッフさんはきっと最後に描かれたのかしら」なんて制作過程を想像していたので、こうやって見せていただけて嬉しいです。
だまし絵には、はじめ「あ、飾り棚がある」と思ってしまいましたが、猫ちゃんや犬たち、おまけにワイングラスまであったので、「違った^^;」と気づきました(笑)
by てんとうむし (2009-05-29 21:35) 

匁

tigermakiともども寄せていただきます。
元気でご活躍安心しました。
by (2009-05-30 07:32) 

TaekoLovesParis

plotさま、「ラ・カサリンガ」の記事を書いたので、ここにリンクをさせていただきました。
by TaekoLovesParis (2009-06-01 01:55) 

にこちゃん

素敵なお店ですねー
開店おめでとうございます~
ここの入ったら、まずきっと壁面に釘付けでしょうね。
そのつぎはお皿に目が釘付け?!
by にこちゃん (2009-06-02 00:12) 

newyork

おめでとうございます!東京に帰る時は、ぜひお伺いしたいと思います!!
by newyork (2009-06-02 03:26) 

ミモザ

初めまして!おいで下さってありがとうございました。伺って驚きました。私はメイコさんのお料理番組が好きでずっと見ていました。
このチャンネルは時期をおいて何度か放映されるので、その度に
見てはイタリア料理を楽しんでおりました。
手際もお話の仕方もチャーミングで大好きでした。いまもですが(笑)
今回、おいで下さってとても嬉しかったです(*^^)v
福井さんは壁画家さんとの事。深い味わいに引き込まれました。
絵は好きなのですが壁画は初めてです。いいですね。
楽しみが増えました。また、伺わせていただきますね。
by ミモザ (2009-06-02 08:22) 

鈴木浩司

洋一さんご無沙汰しております。
メイコさんオープンおめでとうございます。
正直、この記事読んだとき鳥肌が立ちました。
本当に素敵なお店だと思います。
是非お邪魔させて頂きますね。
とても嬉しい気分です♪♪


by 鈴木浩司 (2009-06-02 23:11) 

plot

皆さま、コメントありがとうございます。

paceさま、こちらこそとても楽しいひとときでした。
またお付き合いくださいませ。

Taekoさま、とても素敵な記事、ありがとうございます。夏にまたお会いできますのを楽しみにお待ちしております。

Inatimyさま、ご無沙汰しております。
またInatimyさまのblogにもご無沙汰してしまって申し訳ございません。また寄らせて頂きますのでよろしくお願い致します。

yk2さま、トリッパ、シェフの自慢の一つです。さすがお目が高いです。是非、ご贔屓にしてあげてくださいませ。

てんとうむしさま、先日は久しぶりにお会いできてとても嬉しかったです。ズコットはメイコとパティシエ啓子さんの傑作だと思っています。ティラミス、パンナコッタの次にブレークしそうな予感です。壁画も丁寧に見て頂きありがとうございます。

匁さま、tigermakiさま、ご無沙汰申し訳ございません。素敵な絵とタイガースのニュース、また楽しませて頂きます。またご来店の折は是非、メイコと洋一の友人とお伝えくださいませ。

にこちゃん!お忙しい中、コメントありがとう!!
いつか近い将来、お店にご招待したいと思っています。

newyorkさま、私達もニューヨークにお邪魔したいと思いつつ、なかなか機会がありません。
でもいつか是非、そちらでお会いしたいです。もちろんコンサートにも。

ミモザさま、素敵なblogですね。また、そうとうマニアックというかマイナーなメイコの料理番組、見て頂いてとても嬉しいです。今後ともよろしくお願い致します。

鈴木浩司さま、こちらこそ大変ご無沙汰、失礼しております。
ウズベキスタン戦、応援よろしくです!!!
by plot (2009-06-02 23:59) 

COCO

こんばんは。
ご訪問とniceをありがとうございました。
とっても素敵なお店をオープンされたのですね。
内装も素晴らしいし、お料理も美味しそう!
ぜひお伺いしたいと思いました☆
by COCO (2009-06-03 18:55) 

kotobuki1946

美味しそうなお店です。 出かける事が出来ないのが残念です。
by kotobuki1946 (2009-06-05 19:27) 

tonpoo

ご無沙汰してます・・・
ほんとにとーってもステキなお店ですね。
お店のコンセプトはもちろんのこと、
インテリアいいですねぇ・・・こういう雰囲気大好きです。
plotさんの壁画も見られるんですね。
近いうちに是非お伺いしたいです。
by tonpoo (2009-06-20 00:48) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

イタリア中部地震展覧会のお知らせ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。