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ワーグナー「ローエングリン」バイロイト1990年 [オペラ映像]

 keyakiさんの記事「フィッツカラルド」に関連して、バイロイト音楽祭の「ローエングリン」1990年です。映画監督のウェルナー・ヘルツォークの演出です。
 
 およそ15年振りにみましたが、やっぱりちょっと冴えません。だらだらして盛り上がりにくい・・・。演出家、映画に対するほどの情熱は持ち合わせていないのかも。特に王様と伝令とその他大勢の、文化圏不明はともかくも、なんとなくだらしな系の衣装は興醒めですけど、舞台はとても美しいです。惹句は「冬のローエングリン」一幕と三幕後半は、凍り付いた世界。フィナーレは雪が降りしきっている。二幕は石と岩の世界。実際に舞台上に湖が造られていて、月光が波に揺れ、オルトルートはじゃぶじゃぶ入って呪いの言葉を叫びます。教会への道中も土と岩だけの世界。三幕の寝室の場は、空中に浮いているようにも、山頂のようにも見える、狼たちに守られている(見張られているのかも)緑の野原。登場人物の存在感がなんだか薄い。エルザとオルトルートは時に魅力的に見えるし、二幕の二人の構図は美しいのですが、どうものりにくい。

ローエングリンはいかにも異次元から出現という演出ですが、舞台を埋めるぼろ系衣装の集団に気が散ります。ローエングリンのお伴は白鳥の剥製に巻き付かれたような子どもで魔法の悲惨さを感じるというところかしら。ワインの簡単栓抜きか電動ドリルの先みたいな剣にも注目。

ペーター・シュナイダー指揮、ウェルナー・ヘルツォーク演出
ローエングリン:パウル・フレイ
エルザ:シェリル・ステューダ
オルトルート:ガブリエラ・シュナウト
テルラムント:エッケルト・ウラシハ
ハインリッヒ王:マンフレート・シェンク

雪景色の中、オルトルートとエルザが手を取り合うという幕切れは、絵になってますし、その未来を暗示しているようで、興味深いです。

    


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コメント 6

ヴァラリン

舞台は本当にキレイですよね。スチューダー、ウィーンの映像よりもこっちの方が断然魅力的ですし、映像で見られるシュナウトは、これが一番素敵かなっと思います。魔女っぽくて(^。^;
by ヴァラリン (2006-08-01 09:43) 

keyaki

これは、真夏にピッタリ、部分的にかいつまんで見ると魅力的ですね。
リンクとTBありがとうございます。
こちらからもTBさせていただきますね。
by keyaki (2006-08-01 13:53) 

TARO

この映像は見逃してて、初めて見ました。ちょっと聞いただけでもステューダーが素晴らしくいいんじゃないでしょうか。
ローエングリンはもう少し凛々しさがほしいですね。
by TARO (2006-08-01 14:59) 

euridice

>スチューダー、ウィーンの映像よりもこっちの方が断然魅力的
同感です。彼女の映像の中では、伯爵夫人(アバド指揮、アンディ亜ウィーンフィガロの結婚)とこれがいいと思います。それから、バイロイトのタンホイザー(エルザ)ワーグナーの二つはどちらもお相手がちょっと・・なのが残念です^^;
by euridice (2006-08-01 17:42) 

たか

私もこのビデオはフィッツカラルドのヘルツオーク演出ということで当時は期待して見たのですがやっぱり変な演出だと思いました。歌手もスチューダはまさに全盛期ですが主役のポール・フライがちょっと....この人ベルリン・ドイツ・オペラのローエングリンとマイスターで来日した時も浮いていた感じがしました。この時のマイスターはその後ドイツでビデオ収録されたのですがそこではウィンベルイに代わっています。
このヘルツオークのビデオがあるので82年のフリードリヒ盤のDVD化は見送られてしまうのではないか心配していたのですが、さすがに82年盤の方が商品価値が高いことは明らかなようですね。
by たか (2006-08-03 22:32) 

keyaki

映画監督とオペラの演出:一覧表のヘルツオークの項にリンクさせていただきましたので、よろしくお願いします。
by keyaki (2006-08-17 14:25) 

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