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大きさ [PH]

2010.7.22 追記
ユーチューブの関連動画にありました。ずっと前にもあったのですが、そのときはミレイユ・マチュウの別の動画とセットでした。画質は一段と落ちてるみたいですが、単独なのでリンクします。スカボロフェアのデュエットです。



これを見ると、ミレイユ・マチュウがとっても小柄なのかもしれませんけど、オペラ(映像)で共演している女声歌手がいかに大きいかわかります。

以下、過去記事
keyakiのメモ、メモ......orfeo.blogで、オペラ歌手の大きさや体格が話題ですので、ちょっと違うかもしれませんが、便乗です。

オペラ歌手は、言葉通り、第一義的には「歌手」であるというのが、日本に限らず世界的通念だと思います。それでも、オペラはやっぱりお芝居だから楽しいのも間違いないところでしょう。演じる人と登場人物のイメージの乖離の激しさと、何が何でも歌ってしまうというのが、写実的な演劇、ひいては映画やテレビ・ドラマに慣れ親しんだ現代人には、なんとも納得し難い違和感となりがちです。歌手自身もそういう気分は皆無ではなさそうです。

『 ところで、ベートーベンは、半死半生のフロレスタンにひとつのアリアを書いている。このアリアを歌うには、完璧な健康、つまり、力が必要だ。よくある整合性に欠けるオペラの物語だ。説得力を持ってはじめて、最高の芸術なのだ。もしかしたら、最期にものすごい多幸感を体験するという肺結核患者と同じなのかもしれない。歌手としては、ただひたすら前に進むしかない。終りまで力強く歌わなければならない。力が衰えてはいけない。そして、その後、救出されるのだ。フィナーレのあと、腹一杯食べて、ビールだって飲める。それから、また歌の先生のところへ行くことだってできるのだ。

 あるいは、腹ぺこの詩人ロドルフォだ。彼はイタリア・オペラのスターだ。スパゲッティが目の裏まで来てるみたいな状態で、目一杯大声を張り上げるが、たらふく詰め込んでいるものだから、ほとんど動くこともできない。それでも、歌い、演じることで、食べるものがまったくないのだということをとにかく納得させるべきなのだ。そんなふうにテノールが魅惑的に歌えば、なにはともあれ、『ボエーム』の結末では、だれもが涙を流しはじめるということが起こり得る。それはそのように作曲されているのだから、感動させなければならない。彼がちゃんと悲しんで、『ミミ』と叫ぶところではむせび泣きをすれば、たとえそれが平均的な並の上演でも、ただそこにいるだけで、そのたびに、大泣きすることができるだろう。

 演じることなく、ただそこに立っているだけで、人々を感情の渦に巻き込み、大量の涙を流させる歌手たちが存在するが、イタリア人テノール、ベンジャミーノ・ジーリは、こういう人たちのひとりだった。

 声は、間違いなく、人間の体験能力を映す鏡である。表面的な愛し方をする冷静なタイプは、そういうふうにしか歌わない。

 それでも、例えばヨーゼフ・シュミットの場合のように標準以下の大きさの場合、オペラの舞台では実に不利な立場にある。そういう場合、一般的なテノールの役でもほとんど歌うことができない。巨大・ジークリンデ対ミニ・ジークムント、何がおかしいって、これはもう絶対に耐えられない。(P.ホフマン)

 別のところ、シェロー演出でジークムントを担当するに当たって、事前に水泳パンツ姿の写真を要求され、一体全体、どういうことなのか。何をさせようというのだろうかといぶかりながら、がらくたを引っ掻き回して休暇中の写真からターザンみたいなばかげたポーズを取った水泳パンツ姿の一枚を苦労して探し出して送ったという話があります。歌手としては、「シェローはサイズとタイプをちょっとみたかっただけなのだ。いくらなんでも、ちびででぶの金髪男と長身黒髪のスラブ女を双児のペアとして売り出そうとする演出なんてあるはずがないのだから....」と後で納得したということです。

※(ネット検索による情報)
ヨーゼフ・シュミット:戦前に活躍した、欧米では今なお人気のあるテノール歌手。1904年ルーマニア生まれ。戦前のドイツ語圏と英語圏を中心に絶大な人気を誇り、しばしばハイDまで出したという伝説がある。身長が150cm強とオペラの舞台に立つには低かったため、キャリアのほとんどをコンサートに限った。オペラには一度しか出演していないらしい。ラジオ放送やSPの録音が多数あり、映画俳優としても活躍。1942年5月、ユダヤ人として収容所に送られ、心臓発作で死亡。1904.3.4 - 1942.11.16 詳しい話はこちらへ..... ものはついでなので抄訳をつけました。






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コメント 9

keyaki

>いくらなんでも、ちびででぶの金髪男と長身黒髪のスラブ女を双児のペアとして売り出そうとする演出なんてあるはずがないのだから....
そうなんですけど......ね。

オペラ歌手の背比べTBします。
by keyaki (2006-07-04 02:00) 

TARO

このとっても素敵な添付写真の意味は?
双子の兄弟とか?
by TARO (2006-07-04 10:43) 

euridice

>双子の兄弟とか?
心は・・・ 双子みたいに仲が良い...ツーカーで、という点で
国際的に同感の笑いが・・^^;

ですが、別に深い意味はないです。
あえて言えば「大中小」、左から言えば、「中、大、小」
歓迎会準備に携わって感激、興奮!の米国務省のインターンシップ学生から送られてきたほかほか写真の一枚です。カメラ・アングルが公式ではなさそうでしょ?
by euridice (2006-07-04 10:57) 

たか

>双子の兄弟
笑いました。本当はこんなに身長違うのですね。公式アングルでは伝わらないところです。

>水泳パンツ姿の写真を要求され
それはちょっとアブないですね。身長体重やスリーサイズを確認するだけならともかく演出家が水着の写真を求めてくることは普通ないと思います。シェローはひょっとしてオ●マなのですか?
by たか (2006-07-04 21:02) 

keyaki

たかさん、横レスです。
>シェローはひょっとしてオ●マなのですか?
ゲイなくして芸術は語れませんので、どうだったかなシェローは。カミングアウトしてましたっけ。でも、水着の写真=ゲイという発想は、私はないですけど。彼は、出演者に合わせた演出をする演出家ですから。
最近のオペラの演出家で私はけっこう好きなんですが、マクヴィカーは、カミングアウトしてますね。

euridiceさん
ヨーゼフ・シュミット,私のリストに加えさせていただきます。
波乱万丈の人生だったんですね。
「戦場の小さなテノール」とか映画になれば、涙を誘いますね。
小さいことを売りにしていたダドリー・ムーア(ピアニストでコメディアン)は、159センチだったようですが、もうちょっと低かったんでしょうね。
by keyaki (2006-07-06 13:29) 

euridice

>もうちょっと低かったんでしょうね。
リンクした記事に、154cm との記載があります。
by euridice (2006-07-06 20:13) 

ヴァラリン

あら、ヨーゼフ・シュミットさんって結構ハンサムなんですね(^^;
勿体無いです…
by ヴァラリン (2006-07-06 20:37) 

たか

>ハイD
それはすごいですね。やはり背が低い方が高音は強い。今度CDを探してみようと思います。ネットで音源転がっていないかしら? 昔映画で活躍した歌手は長く愛されていますね。アメリカに行くとマリオ・ランツァのCDを未だに良くみかけます。

>マクヴィカー
ゴキブリリゴレットで有名な演出家ですよね。乱●シーンがリアルで私の知り合いの主婦は「これ子供に見せられない」って言っていました。
by たか (2006-07-07 00:14) 

keyaki

>>マクヴィカー
そうです、あの気色悪いリゴレットです。
DVDはそうですけど、NHKは、あの問題部分を、別の画像にうまく差し替えるという姑息な手を使って、放送したんですよ。DVDを見ていた人達は、あそこをどうするのか楽しみにしていたんですよね。(笑

edcさん、
ヨーゼフ・シュミットの波瀾万丈の人生さっそく読ませて頂きました。ありがとうございます。
by keyaki (2006-07-07 21:51) 

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