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出会い〜ローエングリン(1) [PH]

ローエングリン*歌劇さて、カラヤン指揮のCDでローエングリンにはまっていたころ、メトロポリタン歌劇場の舞台収録のレーザーディスクが目に留まりました。かなり迷った挙げ句、思い切って買いました。それこそ大枚を投じて、自分の中にあるイメージが壊れるのを警戒したものです。

第一印象、悪くないというところ。やはり、字幕付きで映像を観るのは、理解が深まり、おもしろさが増すのは間違いのないところです。登場人物、視覚的には、正直言って、ローエングリンはちょっと老けてるし、エルザはごっついし、悪役夫妻は品がないな、というところでしたが、三幕の寝室の場にいたって違和感なしに。しばらくは、あのシーンばかり繰り返してました。

ワーグナー ローエングリン メトロポリタン歌劇場1986年
ジェームズ・レヴァイン指揮、アウグスト・エヴァーディング演出
ローエングリン :ペーター・ホフマン
エルザ:エヴァ・マルトン
オルトルート:レオニー・リザネク
テルラムント:レイフ・ロール
ハインリッヒ王:ジョン・マカーディ
伝令 :アンソニー・ラッフェル  

余談ですが、オペラの映像って、カメラに、つまり撮り方にも問題があるんじゃないかと思います。舞台だから難しいのかもしれませんけど、もっと美しく撮れないのかしらと感じることがよくあります。

これがP.ホフマンとの遭遇だったわけですが、まだ歌手個人には全然興味がなかったというのが本当のところでした。

次いで、聴いたのが、バイロイト音楽祭1982年のCD(SONY)
それまでは、映像はメトの、音だけ聴くのはカラヤンのだったんですけど、私にとっては、わくわく感が違うという感じで、もっぱらこちらを聴くようになりました。コロの柔らかい、優しい声よりも、ホフマンの強くて張りのある声ときついというか厳しい調子の表現に惹かれました。
そして、間もなくこのレーザーディスクを観ることになります。
観客を入れずに特別上演したものをビデオ撮りしたもので、カーテンコールがないのはちょっと物足りないし、画質も最上とは言えませんが、実際の舞台はとても美しいものだっただろうことが想像できます。この映像、まだDVDになっていません。

このころには、名前もちゃんと確認し、LDとCDの解説、歌手紹介もちゃんと読みました。
最初に目にしたP.ホフマンの紹介文(メトロポリタン歌劇場ローエングリンのLD)を引用しましょう。

ぺ一ター・ホフマンPETER HOFMANN(1944.8.12マリエンバート*註1))ドイツのテノール。生れたのはチェコのマリアンスケ・ラズネ(旧名:マリエンバード)であるが、西ドイツ、ダルムシュタットで育った。はじめロック・バンドでギターを弾いたり歌ったりしていたが、棒高跳や十種競技の選手としても知られるようになった。*註2)兵役でドイツ国防車のパラシュート降下部隊に入ったが、その頃から声楽の個人教授を受けて、兵役終了後、カールスルーエ音楽大学でエミー・ザイバーリッヒ*註3)に師事した。1969年に卒業*註4)、1972年にリューベック市立歌劇場での「魔笛」タミーノでオペラ・テ"ビュー、1974年にはヴッパータル、1975年からシュトゥットガルト歌劇場で歌うようになった*註7)。1976年にパリ・オペラ座とバイロイト音楽祭に出演*註5)、「ワルキューレ」のジークムント、「パルシファル」の題名役でセンセーショナルな大成功を収めた。ホフマンは、また有名なスピード狂で、1977年にオートバイの交通事故にまきこまれて*註6)重傷を負い、休演の止むなきにいたった事もある。1979年にはバイロイトの「ローエングリン」が大評判となり、1980年にメットに同じ役で出演、同年のザルッブルク音楽祭での「パルシファル」(カラヤン指揮)も、現代に於ける最高のパルシファルと賞賛され、現在にいたっている。(小林利之文)

*註1):細かいことですが、誕生日は、1944.8.22(最終的には、本人のHPを根拠として、間違いのないところ)
*註2):この文はあいまい。ロック・バンドもスポーツもあたかもすでに「職業」であったかのように取れます。それに、順序としてもスポーツを先にするべきだと思います。「高校時代には、棒高跳や十種競技の選手として活躍し実績をあげた。また、仲間とロック・バンドを結成し、ギターを弾いたり歌ったりしていた」というところでしょう。参考までに言うと、義務兵役で軍隊に入ったのは、18歳(1963年3月)のときです。
*註3):個人教授の先生がエミー・ザイバーリッヒだったのですが、この文では不明確。「その頃からエミー・ザイバーリッヒに師事、声楽を個人教授で学び、兵役終了後、カールスルー工音楽大学で専門教育を受けた」のでした。
*註4):1969年(の終わり頃らしい)に除隊して、音楽大学の正規の学生になりました。
*註5):これも細かいかもしれませんが、1976年夏、バイロイト音楽祭に、ジークムント(ワルキューレ)、パルジファルで出演、パリ・オペラ座は、同シーズン中ですが、翌年1977年のことのようです。
*註6):これでは、スピードの出し過ぎ、つまり暴走行為でオートバイ事故を起こしたように取れます。こういう簡単な紹介に「有名なスピード狂」という表現は不適切だと思います。この表現が読者に与えるイメージは一定ではないからです。実際は、警察車両の交通規則違反による、とんでもない事故だったのです。

さらに言えば、「...に巻き込まれ」も「......いたったこともある」も「スピード狂」振りを強調する表現になっており、この文の主意は、ホフマンは「スピード狂」であるということだと感じます。

*註7):まあ、かまいませんけど、各年に各劇場と専属契約を結んだということです。リューベック時代から、各地に客演していたということです。・・・・・ 次へ


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おさかな♪

P・ホフマンさんとの出会いにNice!を差し上げます♪
確かに上手(綺麗)に撮って欲しいですよね。
ゲオルギューさんの椿姫の3幕、迫真の演技でとっても良かったのですが、あまり真実味がなくても良いから、顔色良くかわいく死んじゃうのもありかな・・・って思いました☆
アラ&ゲオのボエームでDVDが出ないかなぁ・・・と思うこの頃です。
by おさかな♪ (2005-05-15 14:34) 

ユルシュール

おお、『ローエングリン』が出てきた!
>もっと美しく撮れないのかしら
これは……他の映像(複数)ですけれど、私も感じます。こと、(オペラ映画ではなくて)舞台を収録した映像だと、特に。難しいのかもしれませんが、舞台での素晴らしさが映像だと半減くらいしてしまうのでは、と思ってしまう時があるのです。私がオペラの映像になかなか手が伸びない理由のひとつだったりします(えうりでぃちぇさんのおっしゃる「自分の中にあるイメージが壊れるのを警戒」というのもまた大きな理由のひとつですが)。

先週、やっとブーレーズ&シェロー“リング”を観終わったので(音楽資料館にて。何年かかったんだ……)、次に音楽資料館に行った時には’82年バイロイトの『ローエングリン』にチャレンジしてみたいと思います。楽しみです!
by ユルシュール (2005-05-16 01:16) 

ヴァラリン

週末を挟んだので、出遅れました(^^;
>>もっと美しく撮れないのかしら

同感です!時々、顔のパーツ部分の異様なアップなどありますし(--;

また、歌っている人の表情も大切ですが、その時の他の人の動きなども気になるので、アップは適度に、且つ(あまり小さいと寂しいですが・・)舞台全体とまでは難しいかもしれませんが、
・・そうですね、カラダが全身入るくらいでの距離感でもいいんじゃないかしら?と思う時もあります。

私はこの映像、ホフマンにはまった後で図書館で視聴し、即DVDを購入しました(^^;
後述のバイロイトの映像がDVDになっていない現在、最も優れたローエングリンの映像でしょうね(^^!
by ヴァラリン (2005-05-16 21:03) 

euridice

>後述のバイロイトの映像がDVDになっていない現在、最も優れたローエングリンの映像でしょうね(^^!

そうですね。カーテンコールなどからも、舞台の雰囲気が伝わってきます。カーテンコールといえば、最後をはしょらないで、ゆっくり映してほしかったです^^;

余計なおしゃべりですが;
オペラ映像は、舞台の代替品にすぎないといえば、それはそうなんですけど、やはりそれ自体の価値を追求してもらいたいです。代替品だとしても、実際の舞台に限りなく近いか、それ以上の感動を与え、実際に舞台でみたら、もっとすばらしいだろうと思わせるのが理想でしょう。この代替品という場合、原則として、実際に劇場に足を運べない人が対象であるべきだと思います。劇場の雰囲気がない分、工夫が必要です。優れたオペラ映像もたくさんありますが、シェローの「リング」も、フリードリヒの「ローエングリン」も、優れた映像になっていると感じています。

最近は安易な感じのものが多くなっているように感じます。まあ、あっという間にDVD化される時代ですから、玉石混淆も甚だしいです。
by euridice (2005-05-17 10:46) 

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