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夜顔 (2006) France <Belle toujours> [film reviews]

 『昼顔』の後、連続して今作を鑑賞。その時いた観客のほとんどが、そのまま劇場に残っていました。『昼顔』においてユッソン役だったミッシェル・ピコリが主役となり、セヴリーヌ役はカトリーヌ・ドヌーヴからビュル・オジエに。ドヌーヴが何故セヴリーヌを再びやらなかったのかが、上映を待つ間、とても気になりました。続編はやらない主義なのかな、スケジュールが合わなかったのかな、それとも、ふくよかになってしまったドヌーヴに監督が難色を示したのかなetc.考えを巡らせつつ上映開始を待ちました。

初老となったユッソンは、パリのある劇場にてセヴリーヌを偶然みかける。彼女はユッソンの友人の妻だったが、ユッソンを避けるように立ち去ってしまう。しかしユッソンは諦めることなく彼女の居所を探り、ついに彼女を捕まえると、あることの真相を告白するという条件と引き換えに、強引にディナーの約束をとりつけるが---

ほとんどの観客が今作に期待していたことは、作品のコピーにもなっているセヴリーヌの過去における秘密を、はたして夫の友人だったユッソンは、亡くなった夫に明かしたのかどうか―だったと思う。しかしマノエル監督はこの疑問を明かさないまま、エンディングを迎える。これには、詐欺にあったかのような憤りを感じてしまった。マノエル監督がつくる『昼顔』のその後は、スクリーンに映える明暗のコントラストや、バーにたむろする娼婦たちのカンバセーションを、"粋"に感じてとりいれただけの、つまらない続編になっている。

そして、ドヌーヴが今作においてセヴリーヌをやらなかった理由。真実はわからないけれど、脚本が気に入らなかったんじゃないかと推測する。もちろん監督が最初からオファーしなかった可能性もあるけれど、やはりドヌーヴがどんなにふくよかになっても、セヴリーヌを演れるのは彼女しかいなかったハズ。今作のセヴリーヌには、監督の趣向かSMチックなセリフを連発させて、私が解釈した『昼顔』とは別の方向へと向かってしまった。そんなセヴリーヌ像にドヌーヴが共感しなかったんじゃないかと。

そして主役を張ったユッソン。彼のキャラクターは『昼顔』のときから好感が持てないキャラだったにも関わらず、主役に持ってきたのは主犯的ミスじゃないかと思う。やはり今作においてもユッソンは気持ちが悪い一面をみせていて、年をとっても根本的な性質は変わらないことを教えてくれる。結論、名作の続編づくりにおいては、慎重な決断が必要だと云いたい。

 

◇監督:マノエル・デ・オリヴェイラ <Manoel de Oliveira> ◇脚本:マノエル・デ・オリヴェイラ <Manoel de Oliveira> ◇撮影:サビーヌ・ランスラン <Sabine Lancelin> ◇美術:クリスティアン・マルティ <Christian Marti> ◇衣装デザイン:ミレーナ・カノネロ <Milena Canonero> ◇出演:ミッシェル・ピコリ <Michel Piccoli> ビュル・オジエ <Bulle Ogier> リカルド・トレパ <Ricardo Trepa> レオノール・パルダック <Leonor Baldaque> ジュリア・ブイセル <Julia Buisel> ローレンス・フォスター <Lawrence Foster>


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コメント 2

ken

主役の代わった続編は観る気しないねえ。
声優の代わったサザエさんみたいなもんです。
by ken (2008-01-10 12:45) 

クリス

ふくよかになったドヌーヴ=セブリーヌもきつかったと思いますけどね。
やっぱり彼女にやって欲しかったかな。
by クリス (2008-01-10 23:21) 

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